resolute(Ubuntu 26.04)の開発; 要求スペックの変更とUbuntu Mateの新メンテナ募集
Betaがリリースされた後、Kernel Freeze などの各種「最後に完成するもの」が投入されるタイミングになりました。カーネル7.0パッケージが準備され、来週のFinal Freezeに向けた準備が進められています。
resoluteのリリースノートの要求スペックセクション には、次のような記載が追加されました。
「Ubuntu Desktop 26.04 LTS requires a 2 GHz dual-core processor or better, a minimum of 6 GB RAM and 25 GB of free storage space for a comfortable experience. Although it’s possible to install Ubuntu Desktop on systems with lower specifications, we recommend using an Ubuntu flavor instead in that case.」
(意訳:Ubuntu Desktop 26.04 LTSの快適な利用には、2GHz以上のデュアルコアプロセッサ(ないしそれ以上) 、最低6GBのRAM、および25GBの空きストレージ容量が必要です。スペックの低いシステムにもUbuntu Desktopをインストールすることは可能ですが、その場合はUbuntuの派生版を使用することをお勧めします)
これまでは4GBメモリが要件となっていたため、「 Windows 11よりも多くのリソース(特に、6GBメモリ)を要求する」ということでいろいろ な技術サイト でさまざま な話題になって います。
なんとなく言葉遊びとして不毛な部分もありつつ、「 Windows 11の新規インストール要件はTPM2.0などのより複雑な要件(=比較的新しいCPUが搭載された環境)を要求する」「 そもそもメモリを消費するのはアプリケーションで、特にWebブラウザがどれぐらいのメモリを消費するかが支配的」といった点が議論されており、「 古くなったマシンをLinuxデスクトップを用いて再生する」といった捉え方がまだまだ残っていた、ということがわかります(Xubuntu, Lubuntuは2GBメモリが最低要求なので、「 メモリが少ないマシン」での利用はこれらを使うことになるでしょう) 。
なお、現代的なPCの場合はswapがSSD上に形成されることから、「 メモリ不足」によって引き起こされる動作の遅延が発生するとは限らず(これはこれで「SSDの寿命」というトレードオフがありますが) 、実際に利用するワークロードによって「適切なメモリ量」は大きく変わるため、「 どれぐらいのメモリが実際には必要なのか」については簡単に解が出せるものではないということと、「 26.04は最大で15年のサポート期間が続くので、snapを駆使していろいろなアプリケーションが2041年までサポートされる」という文脈があることを把握しておきましょう。6GBメモリの要求は将来性への担保という側面もあるはずです。
Beta以降、ドキュメントの整理が継続されており、RISC-V入門 (UbuntuにとってのRISC-Vサポートの位置づけの見直し)やUbuntu Serverの現状の方針の整理 といった、これまであまり多く提供されてこなかった「それぞれの視点でのまとめ」が準備されています(特にUbuntu Serverのまとめは、事実上Ubuntu Server 26.04 LTSのリリースノートに近いものとなっています) 。ドキュメントを充実させるという最近の方針が反映されたものと言えるでしょう。
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注目すべきセキュリティー的な視点: 同一のリリースを長期利用する
いわゆるエンタープライズ向けLinuxディストリビューションの多くは、長期間のパッケージサポート期間を持っています。Ubuntuはデフォルトでは5年、有償サービスであるUbuntu Proを購入することによりプラス5年(合計10年) 、あるいはさらにLegacy Supportを購入することでさらにもう5年を追加できます。つまり最大で15年のあいだ、OS環境としてはサポートされる可能性があります。
こうしたサービスを利用するには、事前によく設計されたシステムが必要です。特にUbuntuはリポジトリがmain, universe, multiverse, restrictedの4つに分かれており 、それぞれでサポートポリシーが異なります。
まず、Ubuntu Proを利用していない場合を考えてみましょう。この場合、十分なサポートが得られるのは「main」リポジトリのパッケージだけ です。「 universe」リポジトリに含まれるパッケージは、コミュニティによってサポートされるとはいえ、明確なサポート基準があるわけではありません。もちろん自分たちでパッチを作成し、それを提案できる場合は、これは大きな問題になりません。コミュニティの手を借りてQA(品質保証)も可能であり、単独で保守するのに比べると、より安定した体制が得られるとさえ言えるでしょう。
一方、自分たちでパッチを作成する能力のない組織の場合、universeに含まれるパッケージを利用し、かつ、そのパッケージが提供する機能の攻撃面が外部に晒されているのであれば、対策を考える必要があるでしょう。この場合は「侵害された場合にどこまで影響があるか」つまり生じる不都合と発生率を検討する必要があります。この問題を避けるためには、Ubuntu Proを契約し、universeに含まれるパッケージへの能動的なセキュリティサポートを確保する必要があります。
これによって、一定の範囲の問題は解決されるということができるでしょう。あくまで「一定の」です。これらはOS標準のパッケージに依存している場合に限られるからです。
たとえば現状、AIエージェントの多くはOSの標準パッケージのみでは構成できません。APIを直接利用するようなモデルであっても、なんらかの言語処理系をインストールし、その上の依存関係を構成することになります。こうした環境の場合、長期サポートを考慮するには、言語処理系そのもののメンテナンスのサイクル、あるいは周辺パッケージの寿命、そしてAIエージェント側の寿命を十分に考える必要があります(ほとんどの場合、Ubuntu側のサポート期間よりもAIエージェントの対象モデルのサービス提供終了のほうが先に来ることになるでしょう) 。
これはAIエージェント以外にも各種Web処理系、あるいはJVM・JDKとその周辺ライブラリなどでも発生する問題です。長期間システムを適切に稼働させるためには、OS以外にも検討するべきものが大量に発生するという点を覚えておくと良いでしょう。