Stonking(Ubuntu 26.10)の開発; ロードマップと音声入力
stonkingのロードマップが公開されました。このロードマップには28.04 LTSまでの全体感が含められており、「次のLTSへの第一歩」としてのstonkingの位置付けが示されています。
まず、28.04 LTSで目指すべきビジョンとして次の4点が挙げられています。
- A robust platform built on GNOME(頑強なGNOMEベースのプラットフォーム)
- Simple by default, flexible by design(デフォルトではシンプル、設計は柔軟)
- A context-aware desktop(コンテキストアウェアなデスクトップ)
- A trusted and integrated platform(信頼できる、統合されたプラットフォーム)
それぞれの具体的な説明も行われています。簡単に見ていきましょう。
- 頑強なGNOMEベースのプラットフォーム:
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- GNOME 51をstonkingで投入し、dbus-daemonからdbus-brokerへの移行を完了する。
- また、RISC-VベースのUbuntu Desktopを投入し、Flutterエコシステムの改善を含めて、WCAG 2.2 AAに準拠するアクセシビリティを提供する。
- マルチメディアサポートを改善する。
- デフォルトではシンプル、設計は柔軟:
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- 日常的な作業をシンプルにする。
- エキスパートが利用する高度な機能を削除するのではなく、柔軟性を提供していく。
- パッケージ依存しないApp Centerを開発する。
- ドライバー管理機能の改善を行う。
- インストーラーの改善によるパーティショニングとストレージ設定のシンプル化、そして初回起動時のオンボーディング体験の更新。
- コンテキストアウェアなデスクトップ:
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- 将来の(28.04での)ゴールとして、「ユーザーが何を達成しようとしているのかを理解し、アプリケーション、サービス、そしてデスクトップ環境自体からの情報を組み合わせることで、その達成を支援できるデスクトップ」を開発する。音声認識エンジンによる音声ベースの操作を目指す。オフラインベース。
- 26.10では音声ベースのテキスト入力機能を実現する。
- 信頼できる、統合されたプラットフォーム:
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- authdの強化。Microsoftパスワード認証とMFA認証、そしてIDプロバイダーからUID・GIDを取り込めるようにしつつ、リモート管理アカウントのローカルパスワード認証を無効にする設定を可能にする。
- ネットワークにおいてPKCS#11とスマートカード認証をサポートし、YubiKeyなどのハードウェアトークンを用いたVPN認証を実現する。
- Ubuntu Certified情報をGNOME設定から参照できるようにする。
またこれら以外に、「Ubuntu Wikiの更新を行い、Windows版Ubuntuのパフォーマンス向上、イメージサイズの最適化、ドキュメントの品質向上、保守性の向上を行う」といったことが示されています。特にポイントとなるのは『コンテキストアウェアデスクトップ』、つまり「ユーザーのやりたいことを先読みする」デスクトップ環境の実現というゴールが設定されていることです。
GNOMEを使う方針とこのゴールが同時に成立するためには、「GNOMEのコンテキスト認識能力を拡張する」という方向性が必須になるはずで、実現すればLinux Desktop業界を大きく動かすことになります(そしてさらに、現時点ではWindowsやmacOS、あるいはUnixlike OSが提供する環境においては「コンテキストアウェア」を実現したものは存在しないので、「それはどういう動作をするデスクトップ環境なのか」という点に、一定の答えを出していく必要があるでしょう)。
stonkingは「このビジョンの一部」という方向性です。具体的にどれがどこまで、という点はまだ明確ではありませんが、開発が順調に進むという前提において、なんらかのローカルAIベースの音声入力機能(Speech To Text)が導入されることになるでしょう。
こうしたロードマップ的なものとは別に、今回もx86-64-v3ベースのパッケージがビルドされていたり、明示されないテストや実験が行われていくことになりそうです。
各種改善と対応の整理
26.04 LTSの振り返りを含めて、いくつかの作業やサマリーの提供が行われています。まず、Ubuntu MATEの26.04での利用法(ISOイメージは提供されないが、パッケージの導入による設定は可能)や後任となる開発者が決まりつつあることが表明されています。
OEMリリースにおける事前テストツールを兼ねたシステムの動作テストツール、Checkbox 7.3.0がリリースされています。AMD Sorano(EPYC 8005シリーズ)への対応とi.MX8MMのカメラデバイスのサポートが謳われており、また、「Ubuntu Core 26向け」と「CE-OEM 26」[1]テストセットが提供されることが示されています。Ubuntu 26.04 LTSやCore 26ベースのOEM製品が出てくる(そして、その一部はUbuntu Certifiedである)ことが予想されます。
OpenJDK 26の提供も26.04向けに開始されています。OpenJDK 26は中間リリースであり、今年の9月までサポートされます。
また、今後の将来の展望を含めて、AMDのROCmについてのリリース状況が整理されています。26.04 LTSで投入された7.1から今後7.2へのインプレースアップグレードが提供されること、そして7.13や8.0も継続的にサポートされること(そしてそのために、Debianを含めてAMDとの共同作業が継続されること)が提示されています。
その他のニュース
- Ubuntu 25.10(“Questing Quokka”)が7月9日にEOLを迎えます。現在利用している場合は26.04 LTSにアップグレードしましょう。
- RISC-VサポートがRVA23必須となった背景と、RVA23で実現できる機能について。