Ubuntu Weekly Topics

Ubuntu 26.10(Stonking)開発; Betaの位置付けの変更⁠Arm64向けLivepatchの提供⁠Ubuntu Coreと“Golioth”よるMCU管理

Stonking(Ubuntu 26.10)の開発; Betaの位置付けの変更

Ubuntuのリリースにおいて、stonking以降ではベータリリースの位置付けが変わることになりそうです。

Ubuntuのベータリリースは、これまでは各フレーバーごとに任意に行われる側面がありました。また、⁠ベータ段階では完成どころか投入すらされていない新機能」というものも、まれには存在してきました。こうした歴史的経緯を踏まえつつ、resoluteで発生した「Ubuntu Kylinにおいてベータを逃しつつ最終リリースに滑り込んだ」という奇跡の事案を受けて、次の2点を制約にすることが宣言されています。

  • すべてのフレーバーは、ベータリリースをスケジュールタイムラインに合わせた形でリリースしなければならない。これは正式リリースが安定的に行われることを目的として実施される。
  • ベータと正式リリースの間でのパッケージの差分は、できるだけ少なく、かつ、バグフィックスだけが含まれるべきである。

おおむね「ベータが正しくベータ版として機能するようになる」方向の変化で、品質に寄与することになるはずです。

またフレーバーの管理という意味では、⁠後継者を探している」というフェーズにあったUbuntu MATEについて、後任のメンテナーチームの立ち上げが宣言されています。主にはMATEの開発者とパッケージングの支援という構成のボランティアチームで、現状では「stonkingにおいて安定的にリリース作業がおこなわれること」を目的として作業を行っていくという意思表明という段階です。今後の開発についてはまだ未定という側面もあり、あらためて情報が発信されることになりそうです。

Arm64向けLivepatchの提供

Arm64向けのカーネルのライブアップデート、Livepatchサービスの正式提供開始がアナウンスされています。利用可能な環境はUbuntu 26.04 LTSとUbuntu Core 26です。

2023年の時点ではまだ「そもそもカーネルのスタックトレースが安定的に出力できない」⁠GCCやobjdumpやkpatchなどの依存ツールも安定的に動作すると言えない」⁠そもそもArm64カーネルの完成度や安定度にも検討の余地がある」という段階から環境を整え、Livepatchの生成に必要なArm64システムのクラスターを構築し、リグレッションテストを充実させ、といった形で、一筋縄ではいかなかったことが解説されています。

Ubuntu Coreと“Golioth”によるMCU管理

Canonicalが3月に買収したGolioth社のソリューションとUbuntu Coreを連携させることで、IoT環境におけるさまざまな課題を解決できるという記事が公開されています。

いわゆるIoTの文脈では、⁠インテリジェントな」センサーやモーターデバイスを無数に配置する必要があります。こうした用途には、デバイスは安価で「過酷な環境でも動作する」必要があります。一方、すべてのノードに高い性能が必要なはずもなく、⁠セキュアな通信を確立してデータを送信できる」といった処理で十分なこともあります。このような用途には、一個につき数百円程度のコストで調達できるマイクロコントローラー(MCU)が用いられます。

典型的なMCUは「最新かつ高性能」なデバイスであっても32bit Arm(最近ではCortex-M4⁠⁠、1MB前後のフラッシュメモリとKBオーダーのメモリ、そしてBluetooth等のIOといったもので、フルスペックのUbuntuやUbuntu Coreを動かすことは困難です。一方で通信は適切な暗号化によって保護される必要があり、さらにはセキュリティ面では定期的なアップデートが必要になることがあります。記事では、⁠数千ものMCUノード」について、⁠午前2時に、現場にある1万個の温度センサーにファームウェアの修正を適用する」⁠256KBのフラッシュメモリを搭載したデバイスで証明書をローテーションする」といった課題が挙げられています。

こうした環境では「MCU向け」ソフトウェアソリューションが用いられます。Canonicalが買収したGoliothはこの用途、つまり「大量のMCUデバイスの管理」のためのクラウドベースの管理システムとSDKを提供するソリューションです。Goliothを用いて構成したファームウェアをMCUに導入し、そして、Ubuntu Coreが搭載されたインテリジェントエッジデバイスと連携させることで、MCU側のソフトウェアや証明書を更新できるようになるというモデルが提示されています。

Ubuntuそのものが動くわけではありませんが、Ubuntuが利用できる場所が増えるという形で、今後いろいろな工場や流通倉庫といった「現場」で目にすることになるでしょう。

その他のニュース

  • byobuの作者のDustin Kirklandが、⁠trustmux」というbyobu/tmuxのスマートフォン向けのアプリケーションをリリースしています。
  • Ubuntu Summitのセッションのまとめ
  • Anbox(Android向けアプリケーションのクラウドテスト環境)仮想Androidが提供されるようになりました。これまでの「AndroidアプリケーションをAnboxの提供するAndroidコンテナで実行する」という動作から、⁠仮想化されたAndroid」上でも動作させることができるようになります。
  • Launchpadに報告されたTarアーカイブの展開に関する脆弱性を解決したこと、またユーザーが何か対応する必要はなく、悪用された痕跡も現状では発見されていない、という報告。
  • Azure環境におけるUbuntuのクラウドイメージが、50世代保持から20世代保持になる旨のアナウンス。
  • autopkgtestをLXDベース(以前はOpenStackのVMベース)へ移行することで発生した、比較的長期間の停止についての整理と対応。
  • RISC-Vでカスタム命令に対応する方法。カスタムカーネルのクックブックを参照してカーネルをリビルドし、hwprobeを用いて実行バイナリを切り替える方法が解説されています。

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