Windowsアプリケーションの実行
では、実際にアプリケーションを稼働した結果をレポートします。
秀丸エディタ
基本的に、まったく何の問題もなくインストールされ、動作しております(図1~5)。
インストールはwineコマンドを用いてインストーラ(hm708_signed.exe)を実行させましたが、インストール終了後は、デスクトップ上に作成されたショートカットファイルをダブルクリックしています。日本語の入力も、GNOME上から普通に使えています。
UTF-8 TeraTerm Pro
インストール時に、日本語のメッセージ表示がされないという問題が発生しましたが(図9~11)、言語を"English"にすることできちんと表示されました(図6~8)。
ただし、インストールしたプログラムを動作させようとしたところ、
SSHログイン時にフリーズした
という障害が出ております(図12、13)。
ちなみに、telnetログインについては普通に動作します(図14)。
意外によく動く~動作速度にストレスは感じない
2つのアプリケーションについて、インストール~使用までを簡単に行ってみましたが、動いてしまえば速度面でのストレスは感じません。ただし、TeraTermのSSHログインのときのように、「なんで?」というところで使えなかったりするので、覚悟は必要でしょう。
きわめておおざっぱな所感~使えることは使えるが、覚悟と注意は必要。とはいえ「あたりまえ」を実現する方法が増えた
もともとの目的を考えると、「よく動かすなぁ」というのが正直なところです。筆者もこのあたり、覚悟しながら使ってみたわけですが、「意外によく動く」という、うれしい不意打ちを食らいました。
ただ、プログラムによって動作に不具合が出る可能性も否めず、今回は筆者がよく使う2つのプログラムを選定したら、前述のような不具合が出てきております。
もともと、動作に「完全なる動作保障」をしているソフトウェアは皆無ですが、それでも「本来開発側が想定した環境」で動作させているわけではありません。このあたりは留意して使っていただく必要があります。もちろん、Wineでの動作もサポートするようなソフトウェアは別です。
その他、前編の冒頭に「注意」とも書きましたが、これは「プログラムそのものの動作」以前に「そのプログラムを動かして良いか」という話や、「Wine環境で使って良いか」という話に気をつけなければならない、という意味です。
具体的には、プログラムやデータを使用する際の「ライセンス」がどうなっているかを確認する、ということです。もし「技術的に動作させられる」としても、「ライセンス上適正でない」ものは結局実際に使うわけにはいきません。
たとえば、最近Windows XP向けにメイリオフォントの配布が始まりましたが、このフォントのダウンロードページにいくと、「正規の Microsoft Windows を実行中のお客様にご利用いただけます。」という文言が明記されています。
Wineはあくまで「正規のWindows」向けの配布物であり、これをWineの上で使えるかといわれると、ライセンス上は使えないということになります。
もっとも、このようなことを気にせず使えるものソフトウェアであれば、自己責任の範疇ではありますが使えるのは良いことと言えます。
たとえば、Windowsで使い慣れたエディタを使いたい、という単純な(でもものすごく制限があった)要望も満たせるようになってきます(今回は解説しませんでしたが、サクラエディタについては、インストール時の画面表示がおかしい以外は普通に使えるようです)。
「あたりまえ」を実現する方法がまた1つ増えたと考えると、すばらしいことです。
新たなる脅威~Windows向けMalwareの動作の危険性
「あたりまえ」を実現する手段が増えることはすばらしい、と書きましたが、これは「Windowsではあたりまえ」とされる脅威がLinuxにもやってくる、ということも意味してます。
これについては、WindowsのあたりまえをLinuxでも実践する、ということが必要になります。
すばらしいツールを悪夢のツールにしないように、使う人も気をつけてください。