ビジネス用途からヘビーユーザまで対応する多機能デスクトップ型ファイルサーバ
ファイル共有の概念が一般化しているビジネス界では、それを簡単に行うためのファイルサーバをオフィスに設置することが日常となってきています。基幹システムとは別に部門部署毎に機器を設置することも多く、その場合は一般的なラック型ファイルサーバとは異なるデスクトップ型ファイルサーバがよく使われます。
今回紹介するネットギア「ReadyNAS NV+ RND4410」 (以降、RND4410)は、スマートな筐体に1Tバイトのハードディスクを4台搭載するNASです。この製品は、Windows Server Active Directryをサポートし、ユーザグループ、ワークグループによって共有フォルダへのアクセスを制御できるセキュアなファイルサーバを簡単に構築することができます。
またそれだけでなく、フォルダごとのクォータ管理やスナップショット、NAS本体に内蔵しているRsync対応のバックアップマネージャによる、バックアップタスクのスケジュール機能を使った万全のバックアップ体制がとれるのも特長です。
ReadyNAS NV+ RND4410
ReadyNAS NV+ RND4410(背面)
このほか、AppleのiTunesに対応するなどメディアサーバとしても活用でき、BitTorrentクライアントを内蔵するなど、マルチメディア機能も充実しています。また、こうした機能はネットギア独自のAdd-onによって拡張することができるため、将来ネットギア、または同社のパートナーからAdd-onが提供されれば簡単に機能を拡張することが可能です。ビジネス用途からヘビーユーザまで、多機能でセキュアなNASが簡単に導入できる製品だといえるでしょう。
ネットギア独自開発による自動ボリューム拡張機能「X-RAID」
RND4410をはじめネットギアのNAS製品群に搭載されているのが、自動ボリューム拡張機能「X-RAID」です。この製品は「Flex-RAID」によるRAID0、RAID1、RAID5の任意切り替えに対応していますが、ネットギアが独自に開発したX-RAIDを使えば現在のディスク台数に応じた最適なRAID設定を自動で行ってくれます。
1台のハードディスクで運用している場合は単独ボリュームなので冗長性はありません。しかし、X-RAID環境でもう1台のハードディスクを追加すると、すぐに自動で同期をはじめます。ハードディスク容量にもよりますが、数十分から数時間で同期が完了するので、その時点で2台のディスクはお互いのデータを保護するため冗長性が持たれることになります。ただし、この場合、ディスク領域は2台分の合計ではなく、冗長性を保つための領域に1台分が割り当てられるため、総ディスク容量は残りの1台分となります。
さらにもう1台のハードディスクを追加すると、データボリュームは自動で拡張されます。今度は冗長性を保つための領域の1台分の容量と、2台分のディスク領域が割与えられます。同様に4台目を追加した場合も3台分のディスク容量と1台分の冗長性を保つための領域となります。すなわち、1Tバイトのハードディスクを2台導入した場合は1Tバイトのボリュームと1Tバイトの冗長性を保つための領域、3台導入した場合は2Tバイトのボリュームと1Tバイトの冗長性を保つための領域、4台導入すると3Tバイトのボリュームと1Tバイトの冗長性を保つための領域になるわけです。
X-RAIDの概念
こうしたハードディスクの追加は、ファイルアクセスをストップすることなく電源を入れたまま行うことができます。そのため、最初は500Gバイトを2台で運用し、ファイルの増加に伴いディスク容量が切迫してきた場合に新しくハードディスクを追加するといった運用の仕方もできるのです。さらにそれでもボリュームの容量が足りなくなった場合は、ディスク自体の容量をすべて大容量のものへ変更することでボリュームの容量を大きくしてゆくことが可能です。専門知識なしで冗長性を保つことができるファイルサーバを構築できるのは大きな魅力といえるでしょう。
なお、容量の異なるハードディスクを追加した場合、ボリュームサイズは容量の少ないハードディスクに合わせられます。500Gバイトのハードディスク2台で運用していた場合、そこに1Tバイトのハードディスクを追加しても、各ディスクから500Gバイトずつ使用されるのでボリュームとしては合計1Tバイトになります。しかし、500Gバイトのハードディスクを2台とも1Tバイトのものに変更すれば、合計で2Tバイトのボリューム領域として運用できます。X-RAIDを使って段階的な拡張を考える際にはこのことに注意してください。
ホットスワップ対応なので、NASを止めることなく安全にディスクを追加、または大容量ディスクへ変更可能
豊富な機能と容易な管理
では、実際にRND4410を使ってみましょう。最初に接続されたNASを検出しIPアドレスを調べるために、付属のCD-ROMから「RAIDar」を管理PCにインストールします。インストール後、ネットワーク上に接続されているNASを検知してくれるので、IPアドレスを確認します。
ユーティリティソフト「RAIDar」を使いネットワーク上のNASを検出する
RND4410の詳細設定のほとんどはブラウザから行います。ブラウザに「https:IPアドレス/admin 」と入力すると管理画面のFrontViewが表示されます。このときIDとパスワード要求されますので、マニュアルに記載されているデフォルトのIDとパスワードを入力してください。ここでは大きく分けてネットワーク設定、セキュリティ設定、サービス設定、ボリューム管理、共有設定、バックアップ設定、プリンタ設定、システム管理、ステータス管理が行えます。
管理画面のFrontView
最初に行っておきたいのは「セキュリティ」にある「管理パスワード」の設定です。FrontViewは暗号化されているとはいえ、セキュアなNASにID/パスワード管理は欠かせません。次に必要に応じて「セキュリティ・モード」や「アカウント管理」を設定し、「 ネットワーク」からネットワークを管理しましょう。「 共有」で共有フォルダを作成すれば、ファイル共有を安全にスタートできます。
管理画面のFrontView
データを安全に運用するために欠かせないバックアップも設定しておきたい項目です。RND4410では差分バックアップ、フルバックアップのほかにも、LAN上にある他のNASへのバックアップジョブをスケジュール設定で行わせることが可能です。さらにCIFS、NFS、FTP、HTTP、RSYNCプロトコルを利用して、リモートによるバックアップも行えます。
この他にもUSBメモリを本体に挿入し、バックアップボタンを押すことで、あらかじめ設定してあるフォルダ内のデータを接続されているUSBメモリにコピーすることもできます。柔軟なバックアップタスクが用意されているので、ビジネス用途に際しても信頼性の高い体制を持たせることが可能です。
バックアップ元、バックアップ先を設定したのちスケジュールタスクを追加
また、マルチメディア機能は「サービス」にある「ストリームサービス」「 インストール済みAdd-on」で設定することができます。冒頭で述べたようにiTunesメディアサーバやメディアストリーミングサーバ、BitTorrentサーバ、Web上で画像の共有が行えるReadyNAS Photosサービスなど、シーンに合わせて設定することでNASをより楽しく使うことが可能となります。
iTunesサーバ機能をオンにすることで音楽ファイルの共有が楽に行えます
Add-onで提供されるReadyNAS Photosサービスを使えば画像をアルバムで共有できます
省電力機能も搭載!お買い得高性能NAS「RND4410」
冷却ファンは92mmボールベアリングファンが背面に搭載されています。コンシューマ向けファンレスNASと比べるとやはり風鳴り音は聞こえますが、稼働音としては低めに感じられます。オフィスで使う分にはまったく気にならないレベルといえるでしょう。
このほか、未使用時のディスク回転数を制御する機構や、パワーオンタイマー、UPSによる電源バックアップ機能も搭載しているため、消費電力の低減対策や障害が起きたときの備えも万全です。ちなみに250Gバイトのハードディスクを4台実装したときの参考消費電力は最大で55Wとなっています。
RND4410はビジネス用途にも耐えるNASとしての機能を搭載するだけでなく、マルチメディア用途のヘビーユーザでも使いやすい製品といえます。今回ご紹介している「ReadyNAS NV+RND4410」の実勢価格は30万円前後となっており、本体は5年の保証がつけられてます。こちらは1Tバイトハードディスク4台を搭載した4Tバイトモデルですが、250Gバイトハードディスクを4台搭載する「ReadyNAS NV+ RND4425-100AJS(実勢価格10万円前後) 」などもラインアップしています。予算、用途に合わせて導入できる高機能高性能デスクトップ型NASとして「ReadyNAS NV+RND4410」はぜひ検討したい製品です。
参考:ベンチマークテスト
パフォーマンスの参考として、ハードディスク ベンチマークツールFDBENCH を用いたベンチマーク、および大容量ファイル(1Gバイト)を転送する時間を計測しました。
共通環境
テストマシン
CPU:Pentium Core 2 Duo E6750
メモリ
2Gバイト
ネットワーク
1000BASE-T
使用ハードディスク
Seagate ST31000333AS (1Tバイト)×4
RAID-5モード/ドライブサイズ100Mバイト
表1 Read/Write(KByte/s)
Disk
Read
Write
RandomRead
RandomWrite
1回目
22801
39069
11535
30376
10223
2回目
22340
37290
11636
30242
10192
3回目
22340
37290
11636
30242
10192
表2 Copy(Operations/min)
Variable 2k 32k 256k 1MB
1回目 3457 6030 4446 1746 1608
2回目 3615 6558 4536 1764 1602
3回目 3633 6606 4560 1752 1614
表3 Copy(Kbyte/Sec)
Variable 2k 32k 256k 1MB
1回目 6324 134 1588 5022 18551
2回目 6317 146 1620 5072 18432
3回目 6317 146 1620 5072 18432
RAID-5モード/ドライブサイズ1Gバイト
表4 Read/Write(KByte/s)
Disk Read Write RandomRead RandomWrite
1回目 12300 17635 11509 9819 10238
2回目 12160 16377 11493 10443 10327
3回目 12662 18253 11556 9750 11089
表5 Copy(Operations/min)
Variable 2k 32k 256k 1MB
1回目 3577 6444 4512 1752 1602
2回目 3627 6594 4524 1776 1614
3回目 3604 6486 4536 1782 1614
表6 Copy(Kbyte/Sec)
Variable 2k 32k 256k 1MB
1回目 6315 143 1611 5045 18463
2回目 6368 146 1616 5104 18607
3回目 6376 144 1620 5131 18608
X-RAIDモード/ドライブサイズ100Mバイト
表7 Read/Write(KByte/s)
Disk Read Write RandomRead RandomWrite
1回目 20190 31248 11434 26897 11181
2回目 20557 34711 10568 25937 11013
3回目 20445 33651 10776 26249 11105
表8 Copy(Operations/min)
Variable 2k 32k 256k 1MB
1回目 2911 5316 3666 1452 1212
2回目 2895 5256 3624 1446 1254
3回目 2893 5310 3594 1428 1242
表9 Copy(Kbyte/Sec)
Variable 2k 32k 256k 1MB
1回目 4903 118 1309 4185 14000
2回目 5013 117 1295 4166 14474
3回目 4966 118 1284 4128 14336
X-RAIDモード/ドライブサイズ1Gバイト
表10 Read/Write(KByte/s)
Disk Read Write RandomRead RandomWrite
1回目 15138 28500 10455 11201 10397
2回目 15381 28576 10452 12041 10457
3回目 16311 31496 10982 12429 10337
表11 Copy(Operations/min)
Variable 2k 32k 256k 1MB
1回目 2928 5316 3660 1446 1290
2回目 2916 5238 3672 1458 1296
3回目 2986 5400 3750 1488 1308
表12 Copy(Kbyte/Sec)
Variable 2k 32k 256k 1MB
1回目 5127 118 1307 4179 14904
2回目 5145 116 1312 4203 14950
3回目 5213 120 1339 4287 15108