「Windows Azureをたしなむ」、というコト。

第4回動画配信のオールラウンダーWindows Azure Media Servicesを知る

「Microsoftの動画配信ツールって、メディアプレイヤーじゃなきゃ再生できないのでは?」といった都市伝説が、巷ではまだささやかれているとかいないとか(古すぎ?⁠⁠。実際はまったく逆で、動画配信に必要な便利ツールやアシスト機能がふんだんに盛り込まれた「かゆいところに手が届く」サービスになっています。ではそのポイントをご案内しましょう。

動画素材さえあればボタンひとつで動画配信完了

新しくなったWindows Azureの中でも画期的なソリューションのひとつ、Windows Azure Media Servicesの商用展開がスタートしました。他のサービスにない特徴としては、Windows Azureの強みであるスケーラビリティに加え、あらゆるプラットフォームに対してSDKおよびプレイヤーのフレームワークを提供。言い換えれば動画素材さえ準備すれば、主要なデバイスに対してオンデマンドのビデオを配信することができます。広告表示がないため、自社コンテンツ内に動画配信機能を構築したり、企業や団体においてスタッフ教育用ビデオを配信するなど、利用シーンも広がりそうです。また「利用した分だけお支払い」というよりは、視聴された回数だけ料金を支払うWindows Azureならではの従量課金で提供されるところも嬉しい限りです。

豊富なストリーミングフォーマットを用意して、あらゆる聴取環境に柔軟に対応

これまでの動画配信には、ストリーミングサーバの準備や動画配信ソフトの購入、サーバのレンタルなど、金銭的にも物理的にもさまざまな準備と用意が必要とされ、スペシャリストの存在は不可欠でした。しかしWindows Azure Media Serviceなら、動画素材さえ準備すれば、個性的な動画サイトを簡単に作り上げることができます。それは、Windows Azure Media Servicesがメディアコンテンツに特化したPaaSのサービスとして提供されるところにあります。

また従来の動画配信では、さまざまなデバイスやクライアントの仕様に合わせてひとつずつビデオをエンコードする必要があり、配信までの準備はとても手間のかかる作業でしたが、Windows Azure Media Servicesの登場により、ハードとソフトの接続、設定、配信後の保守といった負担を軽減。標準的なルールにのっとって自動で処理がなされるため、特殊なエンコード技術がなくても美しい動画を配信することができます。これまで煩わされてきた基盤の構築ほか、現場の雑事に追われるのではなく、コンテンツのブラッシュアップなどの本来的な活動にエネルギーを注ぐことができます。

図1 Windows Azure Media Servicesを知るための要点
図1 Windows Azure Media Servicesを知るための要点

煩雑だったワークフローを簡単、便利に

オンプレミス環境で行ってきた動画配信では、動画配信サーバ、認証用サーバなど、ひとつひとつ自力で調達する必要がありました。これがWindows Azureでは、データ作成→エンコード→アップロードという3段階のプロセスを経て、配信したいデバイスを選択したらボタンひとつで動画配信が完了。

基本的な流れについてはコチラ(cloud.config動画)をご覧ください。

アップロード:複数のオプションを用意

少数ファイルを頻繁にアップロードする場合

REST API、.NET、Java SDKを使用して、AES 256で暗号化。HTTP/S経由でサーバにファイルをアップロードできます。これは、ファイル数が少ない場合のアップロード時におすすめです。

大量ファイルや大容量ファイルをアップロードする場合

複数のファイルや大容量ファイルのアップロードにはBulk Ingest .NET Library、またはUDPを使用して高速でファイルを移動させるAsperaなどのパートナーソリューションを使用できます。これらを活用した並列アップロードを実施することにより、大幅に時間を短縮することができます。

200Mバイト以下の軽いデータをアップロードする場合

200Mバイト以下の軽いデータなら、Windows Azureの管理ポータルから直接アップロードが可能。やるべきことは動画素材を用意して、Windows Azureを契約するだけ。動画をアップロードするアプリを自前で調達する必要がないため、⁠プログラムを作らずに簡単にアップロードしたい」という方には利用価値が大きいでしょう(簡単アップロードについてはコチラをご覧ください⁠⁠。

エンコード/配信

常に「大変」「不便」がつきまとう動画のエンコード作業。Windows Azure Media Servicesでは、ひとつのメディアを異なるファイルフォーマットにエンコーディングできる機能を提供しています。このため、エンコードのソフトやインフラを自前で用意する必要がありません。RESTコール(または.NETおよびJavaのSDK)を送るだけで、Windows Azure Media Servicesが処理およびスケール調整を行います。このとき、Windows Azureの管理ポータルにある「SCALE」を使うと、予約エンコーディング数を追加することができるため、複数のエンコード作業を同時に行うことができるほか、スケールをアップすることでエンコードを素早く実施することができます。またエンコードユニットとストリーミングユニットをスケールアップすることで、ファイルのエンコードとアップロードを同時多発的に実施することができます。さらにストリーミングユニットの利用により、たくさんの人がアクセスしても快適な環境でコンテンツを楽しんでもらうことができます。

ワンソース・マルチデバイス対応も嬉しいポイント

iOSやAndroid、スムーズストリーミングなど、配信方式に合わせたファイルフォーマットの用意が不要となります。Windows Azure Media Servicesの占有型(有償版)の利用により、ひとつのソースから、複数のファイルフォーマットを作る手間なく各デバイスに配信できるため、作業時間をカットします。

図2 Windows Azure Media Servicesワークフロー
図2 Windows Azure Media Servicesワークフロー

以上、Windows Azure Media Servicesを紹介しました。これを読んで興味をお持ちになった方はぜひ一度試してみてはいかがでしょうか。

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