at+linkの魅力を探る

第1回技術者に人気のat+link─その秘密は徹底したヒアリングによる提案力と最新動向を研究し続ける技術力にあった

まず1回目は、⁠株)リンクの取締役営業部長である眞神克二氏に、サービス提供の経緯やat+linkの特徴を伺いました。

オリジナルサーバだから実現できる手厚い保守対応

――まず、専用サーバサービスの提供を開始した経緯をお聞かせください。

『at+link専用サーバサービス』を開始したのは1996年11月です。専用サーバに特化したサービスとして提供し続けて14年になります。サービススタート当時、アメリカには廉価な専用サーバサービスがありましたが、日本にはまだないという状況でした。共用サーバでも月間利用料が5万円程度という時代に、at+linkは専用サーバで1万9000円という価格で提供を開始したのです。

1996年といえばインターネットが普及し始めて間もないころで、インターネット上にサーバを公開して運用するといったノウハウはまだ広まっていませんでした。しかし、運用をアウトソースできるホスティングサービスはまだまだ高価で手が出しづらい状況であり、自社で運用するにも回線コストや運用コストが大きな負担でした。こうした状況において登場したのが、月額1万9000円で利用できるat+linkの専用サーバサービスだったというわけです。

ただ、現在は安価な専用サーバサービスも増えており、突出して安価というわけではありません。にも関わらず多くのユーザが利用しているのはどういった理由なのでしょうか。引き続き眞神氏にサービスの特徴を伺いました。

――at+link専用サーバサービスの特徴はどういった部分にあるのでしょうか。

我々の特徴は、提供しているサーバのほとんどが共同事業者であるエーティーワークスの製品であるという点です。そのため、ハードウェア障害が発生しても、我々が持つ保守用の部材で無償交換を行います。5年、10年と経過すれば当然型が古くなり保守部材もなくなりますが、そうしたケースでも無償で新たなサーバに入れ換えを行います。オリジナルサーバを利用していることで、基本料金の中でこうした安心感の提供を可能にしているわけです。

「at+link」データセンター
「at+link」データセンター

これに加え、保守対応のスピードも重視しています。保守部材はすべてデータセンター内に保管しており、さらにリンクとエーティーワークスが共同で設立したオンサイト保守専門の会社であるネットフォースが24時間365日常駐しています。トラブルがあればスタッフがすぐにラックに駆け付け、迅速に復旧します。こうしたスピード感は、他社との大きな違いではないでしょうか。

“一歩踏み込んだ”サーバ運用監視サービスを無償提供

特にショッピングサイトやWebサービスを展開している場合、長時間サーバがダウンするといろいろな損失が発生します。その意味において、短時間で対応してくれる安心感は極めて大きいと言えるのではないでしょうか。

ただ障害はハードウェアだけではありません。たとえば何らかのトラブルにより、Webサーバのソフトウェアが停止するといったことも起こりえます。こうしたケースでは単にそのプロセスを再起動するだけで復旧するとは限らず、別の原因によって引き起こされている可能性も考えられます。これらをすべて把握して対応するのは容易ではない上、下手に操作すると致命的なダメージを与えかねないため、ホスティング事業者側で復旧させるのはなかなか困難です。

しかし眞神氏は、こうしたトラブルであってもat+linkは踏み込んだ対応を行っていると話します。

たとえばトラブルが発生した場合にサーバの負荷状態を計測し、高負荷となっている状況であればアクセス過多・プロセス暴走等、原因の切り分けを行い、その上で『この方法で復旧するであろう』という判断ができれば能動的に対応します。これは24時間365日変わらず、深夜であっても同様の対応を行います。

この言葉は多くのサーバ管理者にとって非常に魅力的ではないでしょうか。ハウジングをはじめ、自身で運用管理を行っている場合、もし夜中に障害が起こってしまったら、電話で叩き起こされるか、あるいは気付かずにサービスが止まり続けるということになってしまいます。しかし積極的に対応してくれるat+linkであれば、寝ている間に直っているということになるわけです。こうした対応をオプションではなく、標準サービスとして提供しているのもat+linkの強みでしょう。

専用サーバサービスに加え、コロケーションサービスも提供

ちなみに現在at+linkのサーバ稼働台数は9000台と、膨大な数を誇っています。そこで気になるのは、どういったユーザが利用しているのか。続けてその辺りを伺いました。

――at+link専用サーバサービスのユーザはどういった企業が多いのでしょうか。

コーポレートサイトの運用は少なく、ショッピングサイトや携帯公式コンテンツ、そして最近ではソーシャルアプリ等の非常にクリティカルなサービスに多くご利用いただいています。技術力が高く、企画から開発まですべてを社内で行っているようなユーザが多いのもat+linkの特徴だと思います。

サーバ台数が100台を超えるようなユーザにとっては、フルサポートつきの専用サーバサービスでは利用料金が高くなってしまうため、2007年にサポート範囲をハードウェア保守に限定した「at+linkコロケーションサービス」をリリースしました。これは、ラックと回線が低価格ということに加えて、オリジナルサーバ利用の場合は30分で駆けつけるオンサイト保守を付け、通常4時間かかるメーカ製のマシンとの差別化を図っています。

『at+linkコロケーションサービス』の専用ホームページ
『at+linkコロケーションサービス』の専用ホームページ

ユーザに最適な提案をするために自ら他業種のサービスを展開

当社は、at+link以外にも、さまざまなサービスを展開しています。ケータイサイト用のCMSサービスである「MobileController⁠⁠、あるいはクラウド型IPビジネスフォンサービスでコールセンターも構築可能な「BIZTEL」などです。

これらを提供している背景として、眞神氏は「間接的にホスティングサービスを利用しているユーザを増やすことが目的のひとつ」と言います。MobileControllerやBIZTELといった SaaS/クラウド型サービスはat+linkのサーバ上で動作しており、利用者は間接的に専用サーバサービスのユーザになるというわけです。

『BIZTEL』の専用ホームページ
『BIZTEL』の専用ホームページ

さらに眞神氏は、自社でサービスを運営することはユーザのニーズに合ったサービスの提供にもつながると話します。

ホスティングサービスのユーザに満足していただくためには、ユーザが抱えている課題の解決につながる提案ができるかが重要だと思います。適切にユーザをサポートするには、やはりその業界、あるいはそのサービスに対して理解が深ければ深いほど有利です。その一番の近道はまず、そのサービスのプレイヤーになることではないかと考えたことから、多様なサービスを展開しているという経緯もあります。

サーバ上で何らかのサービスを展開するといった場合、必要なスペックがどれくらいなのかはサービスの内容や展開する規模などによって大きく左右され、なかなか分かりません。ユーザ側としても、自分たちのサービスにおいてどの程度のパフォーマンスを持つサーバが必要になるのかを見積もることは容易ではないでしょう。そこでat+link自身もサーバ上でサービスを展開すれば、ユーザと同じ視点で考えられるようになり、結果的に的確なアドバイスの提供につながると考えたわけです。

さらに眞神氏は、現在需要が伸びているソーシャルアプリのサーバとしての用途に対しても、同様の施策を展開していると言います。

ソーシャルアプリの市場は拡大し続けており、at+linkでもソーシャルアプリ事業者が増えています。ここをさらに強化するためにはどうすべきかというと、やはり我々自身でソーシャルアプリの運営事業者になり、実際に動かすことによって経験を積むことが重要だと思います。それによって必要なリソースやパフォーマンスなどを学び、ユーザにとって最適な提案をしたいと考えています。

at+linkからソーシャルアプリ向け専用サーバサービスが登場!?

そのソーシャルアプリを提供するためのサーバとして、現在幅広く使われているのがIaaS型のクラウドホスティングサービスです。クラウドホスティングはスモールスタートが可能で、さらに必要に応じて柔軟かつ迅速にリソースを追加できるといったメリットがあり、ソーシャルアプリを提供するプラットフォームとして最適であると考えられてきました。しかし本当にソーシャルアプリにはクラウドが最適なのでしょうか。at+linkでの状況を聞いてみました。

――現在ソーシャルアプリが話題になっていますが、at+linkにおけるソーシャルアプリ事情はどのようなものでしょうか。

確かに人気が出るかどうかの予測がつきにくい中でソーシャルアプリの提供を開始するといった際には、スモールスタートが可能なクラウドホスティングにはメリットがあります。ただ、人気が出てアクセス数が増えてくると、リソースを他のユーザと共有しているクラウドでは割高になってしまうんですね。実際、クラウドサービスでスタートし、必要なリソースが見極められたところで当社の専用サーバに移ってくるというユーザもいます。

クラウドの持つ柔軟性と専用サーバの高パフォーマンスを併せ持つ新しい枠組みを準備しています。これはソーシャルアプリに特化したインフラや監視の仕組みを備えたまったく新しいサービスです。楽しみにしていてください。

ユーザに的確な提案をするため、自社でソーシャルアプリを開発しているというお話には驚いてしまいました。さらに、そのソーシャルアプリに特化したサービスとはどのようなものでしょうか。期待して発表を待ちたいと思います。

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