LAMP開発者のためのWindows Azure講座

第2回Azure上にPHP開発環境を構築しよう

Web PIによる開発環境の整備

前回は、Widnows Azure Platformを利用するためのサブスクリプションの購入と、開発環境を簡単にインストールできるツールとして「Microsoft Web Platform Installer(Web PI⁠⁠」を紹介しました。今回は、Windows Azure上でLAMP環境を構築するステップとして、PHPの開発環境を整える手順を紹介します。

Windwos Azure Platform向けの統合開発環境としては、マイクロソフトが提供するVisual Studioや、Visual Web Developer Expressがあります。これらは、ASP.NETアプリケーション作成できるだけでなく、プロジェクトにPHPを追加することで、Windwos Azure上で動作するPHPアプリケーションを作成することもできます。

図1 Visual Web Developer 2010 Expressのスタート画面
図1 Visual Web Developer 2010 Expressのスタート画面

もっとも、LAMP開発者にとっては、新たな統合開発環境を利用するよりも、Eclipseやテキストエディタといった使い慣れたツールを利用したいところでしょう。そこで、ここでは、まず、Visual Web Developer Expressによる開発環境を整備し、そのうえで、PHPのインストール、PHPの開発環境としてEclipseを導入する手順を紹介したいと思います。開発用PCは、Windows 7 Home Premium(英語版)を利用します。

まず、Web PIのサイトからプログラムをダウンロードします。Web PIを起動すると、以下のような画面が表示されます(バージョン3.0)

図2 Web PIの画面
図2 Web PIの画面

続いて、画面右上の検索ボックスに「Visual Web Developer Express」などと入力します。すると、以下のように、検索結果として「Visual Web Developer 2010 Express SP1」が表示されるので、右側にある「追加(Add⁠⁠」をクリックし、⁠インストール(Install⁠⁠」ボタンを押します。

図3 Web PIで「Visual Web Developer Express」を検索した画面
図3 Web PIで「Visual Web Developer Express」を検索した画面

インストールボタンを押すと、すると、以下のような確認画面が表示されます。インストールされるアプリケーションのリストには、Web Developer Express本体のほか、依存関係のあるアプリケーションが表示されていることがわかります。

図4 インストールされるアプリケーションの確認画面
図4 インストールされるアプリケーションの確認画面面

リストの中には、SQL Server Express 2008 R2も含まれています。SQL Serverを利用する予定はないかもしれませんが、開発用ストレージとして利用するためインストールが必要になります。続く画面では、SQL Server Expressの認証モード設定画面が表示されるので、パスワードを設定します。

図5 SQL Server Expressの認証モード確認画面
図5 SQL Server Expressの認証モード確認画面

インストール完了画面が表示されたら、Visual Web Developer Expressのインストールは終了です。

続いて、IISを有効化します。Windows 7の場合、標準でIIS 7.5がインストールされていますので、コントロールパネルのプログラムと機能から「Windows機能の有効化または無効化」を選択し、必要な機能を有効化します。ここでは最低限必要になる以下の機能を有効化します。

Microsoft .NET Framework 3.5.1
  • Windows Communication Foundation HTTP Activation
インターネット インフォメーション サービス
  • HTTP 共通機能
    • HTTP エラー
    • 既定のドキュメント
    • 静的コンテンツ
  • World Wide Web サービス
    • ASP.NET
    • CGI

IISの機能を有効にしたら、再びWeb PIを使って、Windows Azure Toolsをインストールします。先ほどと同じように、Web PI上で「azure tools」などと検索すると、⁠Windows Azure Tools for Microsoft Visual Studio 2010」が表示されるので、⁠追加(Add⁠⁠」をクリックし、インストールします。

図6 ⁠azure tools」で検索した結果。⁠Windows Azure Tools for Microsoft Visual Studio 2010」を追加します
図6 「azure tools」で検索した結果。「Windows Azure Tools for Microsoft Visual Studio 2010」を追加します

次に表示される画面で開発に必要なSDK(Windows Azure SDK、Windows Azure AppFabric SDK)もあわせてインストールされることが確認できます。

図7 インストールされる内容の確認。⁠Windows Azure SDK(Dependency)」が見える
図7 インストールされる内容の確認。「Windows Azure SDK(Dependency)」が見える

以上で、Visual Web Developer Expressのインストールは完了です。これでASP.NETを使った開発ができるようになりました。

PHPのインストールとEclipseを使った開発環境の整備

次に、PHPを利用できる環境を整えます。

Windows版のPHPはPHP for Windows図8からダウンロードできます。

図8 PHP for Windows
図8 PHP for Windows

トップページのメニューからDownloadを選択し、PHP 5.3(5.3.8)「VC9 x86 Non Thread Safe」からファイルをダウンロードします。ここでは、インストーラー形式のファイルをダウンロードし、インストールします。

図9 ⁠PHP for Windows」からPHP 5.3.8をインストールする
図9 「PHP for Windows」からPHP 5.3.8をインストールする

すでにローカル環境にPHPをインストールしている場合は、新たにインストールする必要はありません。

次に、php.iniを編集して以下を追加し、Azure上で拡張モジュールが動作するように設定します。php.iniは、上記手順でデフォルトインストールした場合、C:\Program Files\PHPフォルダ内にあります。

extension_dir = "./ext"

デフォルトでは、⁠; extension_dir = "ext"」とコメントアウトされているので、コメントを解除し、相対パスに変更します。

次に、PHPの開発環境として、Eclipseをインストールします。ここでは、Eclipse PDTを利用することにします。

まず、JDKをJava SE ダウンロード - Sun Developer Network (SDN)からダウンロードし、インストールします。

次に、Eclipse PDTをセットアップします。Eclipse PDTは、PHP Development Tools (PDT) - Downloads「Eclipse PDT 2.2.0 All In Ones/Eclipse PHP Package」からダウンロードできます。ここでは、Windows版を選択し、ダウンロードしたzipファイルを展開しておきます。

図10 ⁠Eclipse PDT」サイト。⁠All-In-One Windows」を選択
図10 「Eclipse PDT」サイト。「All-In-One Windows」を選択

次に、EclipseにAzureでアプリケーションを開発するためのプラグインWindows Azure Tools for Eclipse⁠WindowsAzure4e)をセットアップします。

図11 ⁠Windows Azure Tools for Eclipse」のページ
図11 「Windows Azure Tools for Eclipse」のページ

Eclipseを起動し、⁠Help」メニューから、⁠Install New Software..」を選択します。すると、以下のような画面が表示されます。

図12 ⁠Available Software」画面
図12 「Available Software」画面

上方にある「Add」をクリックして、Nameに「Azure Tools for Eclipse」⁠何でもよい⁠⁠、Locationに「http://www.windowsazure4e.org/update」を指定して、OKを押します。

図13 リポジトリ追加のダイアログ
図13 リポジトリ追加のダイアログ

すると、Work Withで今追加したサイトが利用できるようになり、下記のように、⁠PHP Development Tools for Windows Azure Platform」から「Windows Azure PHP Development Toolkit」が選択できるようになります。

図14 ⁠Windows Azure PHP Development Toolkit」を追加
図14 「Windows Azure PHP Development Toolkit」を追加

Windows Azure PHP Development Toolkitを選択し、Nextを押して、画面の指示にしたがっていきます。インストールが終わると、Eclipseが再起動します。

以上で、Azure上でPHPアプリケーションを動作させる環境がひとまず整備できました。次回は、Eclipseから実際にPHPアプリケーションを動作させるための手順を紹介し、PHPでMySQLを利用するにはどのような方法があるのかに触れたいと思います。


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