IaaSの提供でLinuxがそのまま稼働するように
米Microsoftは6月6日(米国時間)、Windows Azureの大幅なアップデート「Windows Azure Spring Release」を実施しました。LAMP環境についての大きなトピックは、Linux OSに対応したIaaS機能「Virtual Machines」の提供、MySQLなどに対応したWebサイト制作機能「Web Sites」の提供、HTML5に対応した管理ポータルの提供です。
このアップデートにより、これまで紹介してきたようなPaaS上でLAMP環境を動作させるための手間や作業は必要なくなりました。MacやLinuxなどのクライアントからブラウザで管理ポータルを開き、事前に提供されているテンプレートを使って“素の”Linuxマシンを10分程度で稼働させることができます。
対応しているLinuxは現在のところ、CentOS 6.2、SUSE Linux Enterprise Server、Ubuntu Server 12.04、openSUSE 12.1となっています(図1)。
10分もかからずにLinuxマシンを作成できる
最終回となる今回は、このアップデートを受けて、新しくなった管理ポータルでLinuxマシンを作成して稼働させる手順を紹介することにします。新しい管理ポータルのURL(http://manage.windowsazure.com)にアクセスします。ログイン情報を入力すると、自動的に図2の画面になります。
もし、旧管理ポータルが表示されたら画面の下部の「新しいポータルへ移動」で移動できます。
新しい管理ポータルの左下の「NEW」から「VIRTUAL MACHINES」、「CREATE A VIRTUAL MACHINE」、「FROM GALLARY」を選択すると図1になりますので、そのままCentOS 6.2を選び「→」を押します。図4の画面になります。
続いて、Virtual Machineの名前(ホスト名)、ユーザー名、パスワードを入力して「→」を押します。
続いて、URLとなる「DNS NAME」、ストレージアカウントなどを入力して「→」を押します。
そのまま、チェックボタンをクリックして終了です。5分程度でVirtual Machineが作成され、次のような画面になると思います。
Virtual Machineの名前「centos」をクリックすると、図8のような設定画面に移動します。
ここでCPU、ディスクの使用状況や各種設定を確認することができます。ディスクやネットワークは自動的に作成され、すでにSSHでアクセスできる状態になっています。
Virtual Machineの作成は以上です。なお、Virtual MachinesとWeb Sitesはプレビュー版なるので初回時に利用登録が必要で、これには少し時間がかかります。
SSHでVirtual Machineにアクセス
では次にSSHでアクセスしてみましょう。クライアントとしては、Macのターミナル.appを利用することにします。下記のように、先ほど作成した情報を使ってアクセスします。
初回は、CentOSを普通にインストールしたときのようにknown hostsとして追加するかどうかの確認がでますのでyesとします。続いて、ログインパスワードが促されますので、先に登録したパスワードでログインします。図9のようにログインできるはずです。
基本的には以上です。ログイン後は、sshd_configを編集して、パスワードログインを禁止したり、公開鍵認証を行うための作業を行って、より安全にSSHアクセスできる環境しておきます。この辺りはLinuxと同じです。
参考までに、以下にインストール直後の各種情報を載せておきます。インスタンスは「ExtraSmall(Shared Core, 768 MB Memory)」で作成しています。
MicrosoftによるOSSサポート
このようなIaaS上でLinuxを動作させるメリットとしては、スケールアップやスケールアウトが容易であることが挙げられます。AzureのVirtual Machinesでも、CPUやディスクのスケールアップは管理ポータルから可能です。また、スケールアウトについても、複数のVirtual Machineを稼働させ、ロードバランスさせることで対応できます。
これら以外にも、MacやLinux向けのAzure SDKの配布、gitによるデプロイなど、OSSのサポートという点で多くの改善が加えられました。少なくともこれまでのようにムリをしながらLAMP環境を作る必要はなくなりました。自社でどのような活用できるか検討してみてはいかがでしょうか。