「ベアメタル型アプリプラットフォーム」では、コントロールパネルからサーバを追加することも可能です。今回は、物理サーバのプロビジョニングの流れを解説します。
物理サーバを全自動でプロビジョニング
多くのクラウドサービスに共通する特長の1つに、必要な作業をオンデマンドにユーザ自身で行えることが挙げられます。たとえば一般的なIaaS(Infrastructure as a Service )であれば、Webブラウザでコントロールパネルにアクセスすると、そこで仮想サーバを立ち上げたり削除したりできます。このメリットを物理サーバで実現するのがベアメタルクラウドであり、IaaSの使い勝手と物理サーバの高いパフォーマンスを両立しているのが特長です。
実際、リンクのベアメタルクラウドサービス「ベアメタル型アプリプラットフォーム」では、Webブラウザ上の操作だけで物理サーバを構築できます(図1 ) 。もちろん、ユーザが物理サーバを使えるようになるまでの処理はすべて自動化されています。これを可能にしているのが独自に開発したプロビジョニングシステムです。
図1 コントロールパネルから物理サーバを追加しているところ。「 追加」ボタンをクリックすれば、物理サーバの自動プロビジョニングが始まる
このシステムは、リモートでのLinuxのプロビジョニングと制御を実現しています。ユーザがコントロールパネル上で物理サーバの構築を選択すると、必要な処理をプロビジョニングシステムが行い、OSをインストールした状態でユーザに提供します。
物理サーバの構築を指示されたときの具体的な手順を見てみましょう。まずプロビジョニングシステムがOSをインストールするために必要な設定(MACアドレスやIPアドレスの指定、Linuxのインストールを自動化するkickstartファイルの登録など)を行います。各種設定が終わると、IPMI(Intelligent Platform Management Interface )を使ってリモートで物理サーバの電源を入れます。これにより、物理サーバは「PXE(Preboot eXecution Environment )ブート」で起動します。PXEブートは別のサーバにあるOSイメージを使って起動するための仕様であり、OSのリモートインストールやシンクライアントの起動などに使われます。
プロビジョニングシステムはこのPXEブートを利用し、物理サーバにリモートでLinuxをインストールします。PXEブートで起動した物理サーバがDHCPでIPアドレスを要求すると、プロビジョニングシステムは事前に設定したIPアドレスを割り当て、TFTPサーバのアドレスを通知します。物理サーバは、このTFTPサーバからブート処理を行うNBP(Network Bootstrap Program )をダウンロードして起動します。NBPはサーバからOSのインストールイメージを取得してインストーラを起動します。これには事前に作成したkickstartファイルも含まれ、その内容に沿ってインストールが進みます。一連の処理が完了すると、コントロールパネル上に物理サーバを操作するためのUIが表示され、ユーザによる操作が可能になります(図2 ) 。
図2 物理サーバのプロビジョニングの流れ。PXEブートによるOSインストールのしくみを利用し、全自動でプロビジョニングを行う
さらにベアメタル型アプリプラットフォームには、物理サーバ上のハイパーバイザー(KVM)を操作するしくみもあります。前述のプロビジョニングシステムと、ハイパーバイザを制御するためのライブラリ「libvirt」の組み合わせにより、仮想サーバの作成と削除、OSのインストールなどがコントロールパネルから実行できます。
クラウド活用を支援する手厚いサポートも魅力
このように、ベアメタル型アプリプラットフォームでは、事前に用意された物理サーバへ人手を介さずにOSをインストールするしくみが整えられています。この自動化はオンデマンドなサーバの利用を実現するほか、効率的サービスの実現による低価格化につながっています。
物理サーバを仮想サーバのように扱えるベアメタル型アプリプラットフォームでもう1つ見逃せないのは、手厚いユーザサポートが提供されている点です。これからクラウドを本格的に使い始める企業はもちろん、すでにクラウドサービスを利用している企業であっても、初めて使うサービスに不安を覚えるのは当然でしょう。そこでリンクでは、サービスの導入や運用においてユーザと密にコミュニケーションを図って、細部まで丁寧にサポートする体制を整え、ベアメタル型アプリプラットフォームのスムーズな導入を支援しています。こうした手厚いサポートも、ほかのクラウドサービスにはない魅力です。゚