BSD界隈四方山話

第46回OpenBSD新しいルーティングテーブルバックエンドART導入

OpenBSDに新しいルーティングテーブルバックエンドART導入

2016年3月24日に実施されたコミットで、OpenBSD-currentにおいてARTルーティングテーブルバックエンド実装がデフォルトで動作するようになりました(ARTルーティングテーブルに関してはART – Allotment Routing Table – A Fast Free Multibit Trie Based Routing Table, by Yoichi Hariguchi, Cisco Systems [PDF]」をご参照ください⁠⁠。

この新しいルーティングテーブルバックエンドは次のスナップショットリリースから利用できるようになるため、コミットした開発者はユーザや開発者に対して広く試験を呼びかけています。この新しい実装で発生するであろうリグレッションバグをつぶしたのち、充分に機能すると判断されたあとでKERNEL_LOCK()からルートルックアップを取り除くことになるようです(New routing table code (ART) enabled in -current|OpenBSD journalをご覧ください⁠⁠。

OpenBSDでは現在、ネットワークスタックやネットワークインターフェース回りでマルチコア/マルチプロセッサ回りの性能向上へ向けた開発が取り組まれています。今回、ルーティングテーブルバックエンドをARTに切り替えることはマルチコア/マルチプロセッサにおいて性能を発揮することにつながるとされています。

OpenBSDマルチコア/メニーコアでの性能向上

マルチコアやメニーコアのシステムで高いスケーラビリティと高い性能を発揮するには、カーネルの内部構造のさまざまな場所を書き換える必要があります。どこか1ヵ所を書き換えれば良いというものではなく、ネットワークスタックやらファイルシステムやら、いろいろな部分を改善し、場合によっては大幅に書き換えるか、別の方式に入れ替える必要があります。

この分野ではFreeBSDの開発が先行しています。OpenBSDはこれまでその方向での開発にはあまり力を入れていないようでしたが、ここ数年、このあたりの性能向上に関する取り組みが進められています。とくに向こう数回のリリースではこうした性能向上が毎回進むことになると考えられます。

次のリリースでは新しいセキュリティ機能であるpledge(2)システムコールの導入と、このシステムコールを利用したコマンドがベースシステムに登場する見とおしになっています。仮想化機能vmmも登場が期待されるなど、OpenBSDは向こう数回に渡って注目度の高いリリースが続くことになるとみられます。

FreeBSD勉強会 告知

第51回 4月14日(木) 19:00~ FreeBSD 10.3R / 11.0 新機能紹介

2016年3月末または4月の値には安定板の最新バージョンとなるFreeBSD 10.3-RELEASEのリリースが予定されています。さらに今年の夏となる7月末または8月には、次期メジャーアップグレードバージョンとなるFreeBSD 11.0-RELEASEのリリースが予定されています。FreeBSD 11.0-RELEASEには現在の10系にはバックポートされていない魅力的な機能がたくさん用意されており、リリースが楽しみなバージョンです。

第51回目となる今回はFreeBSD 10.3-RELEASEの登場のタイミングに合わせて、10.3-RELEASEの新機能を紹介するとともに、11.0-RELEASEで登場が予定されている新機能や変更点を先取りして紹介します。最近のFreeBSDがどうなっているのか、最新版に移行しようかどうか迷っているので詳しく内容を知りたい、そんな方向けの勉強会です。

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第52回 5月26日(木) 19:00~ FreeBSD翻訳に貢献しよう!基本的なツールの使い方

ソースコードが読めないからドライバを書いたりカーネルを書き換えたりできないし、新しくportsを作るのもちょっと難しい……そう思ってはいませんか? プロジェクトに貢献するのはなにもソースコードだけではありません。FreeBSDにはFreeBSD Handbookという優れたドキュメントがあります。このドキュメントを翻訳するだけでも、多くの日本のユーザに貢献することになります。

FreeBSD Docチームは最近POの機能を取り込んだ翻訳システムを構築して活用しています。このシステムを導入する前に比べると自動化できる部分も増えましたし、システマティックに変更部分を判断することもやりやすくなりました。こうした新しい翻訳作業に関してdocチームは各国で開催されるカンファレンスやサミットでチュートリアルを開催するなど、こうした仕組みを広く伝える取り組みを行っています。

今回の勉強会では、翻訳するにあたって使われているツールやサービスについて紹介したり、実際にどうやって作業を行っているのかの紹介を実施します。実際に翻訳作業をするわけではなくても、新しいドキュメント管理の方法を学ぶという上でも役に立つのではないかと思います。多くの方のご参加をお待ちしております :)

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