BSD界隈四方山話

第60回FreeBSD 11.0-BETA1登場、正式リリースは9月はじめ

FreeBSD 11.0-BETA1登場

2016年7月10日(協定世界時⁠⁠、FreeBSD 11.0-RELEASEへ向けた最初のBETA版の提供がはじまりました。アナウンスメールはFreeBSD 11.0-BETA1 Now Availableで確認できます。インストーラISOメージなどはFTPサーバからダウンロードできますので、興味がある場合には試してみてください。

用意されているインストールイメージの種類は次のとおりです。

  • 11.0-BETA1 amd64 GENERIC
  • 11.0-BETA1 i386 GENERIC
  • 11.0-BETA1 powerpc GENERIC
  • 11.0-BETA1 powerpc64 GENERIC64
  • 11.0-BETA1 sparc64 GENERIC
  • 11.0-BETA1 armv6 BANANAPI
  • 11.0-BETA1 armv6 BEAGLEBONE
  • 11.0-BETA1 armv6 CUBIEBOARD
  • 11.0-BETA1 armv6 CUBIEBOARD2
  • 11.0-BETA1 armv6 CUBOX-HUMMINGBOARD
  • 11.0-BETA1 armv6 GUMSTIX
  • 11.0-BETA1 armv6 RPI-B
  • 11.0-BETA1 armv6 RPI2
  • 11.0-BETA1 armv6 PANDABOARD
  • 11.0-BETA1 armv6 WANDBOARD
  • 11.0-BETA1 aarch64 GENERIC

ARMv6版のインストールイメージが提供されているところがポイントです。

9月の正式リリース

今回のFreeBSD BETA-1まではリリースエンジニアリングは順調に進みました。しかし、BETA-1の前後でショーストッパーになりそうな問題が発見され、現在解決へ向けた取り組みが進められています。タイムスケジュールよりも遅延する可能性がでてきました。

2016年7月15日BETA2ビルド開始
2016年7月22日BETA3ビルド開始
2016年7月29日RC1ビルド開始
2016年8月5日RC2ビルド開始
2016年8月12日RC3ビルド開始
2016年8月19日RELEASEビルド開始
2016年9月2日RELEASEアナウンス

これまでX.0リリースを振り返ると、大きな新機能の追加や大きな変更が取り込まれる反面、タイムスケジュール通りにはリリースされずに延期を繰り返す傾向が見られました。今回はこれまでよりはオンタイムで進みそうですが、現時点で遅延しそうだといったメールがメーリングリストに投函されていますので、当初の予定よりもリリースは遅れるのではないかと見られます。今後の動向を見つつ、スケジュールをお伝えたいと思います。

また、11系ではすでに結構たくさんの機能を10系へバックポートしているため、たとえば今10.3系を使っているのであれば、11.0系にアップグレードすることでそれほど大きく環境が変わるということはないと思います。デフォルトで有効になっていない機能が有効になるとか、動作に関係する違いはあると思いますが、これまでのX.0リリースほどは大きな隔たりは感じないでしょう。

サポートやアップグレードはどうなる?

FreeBSDプロジェクトは現在のリリースバージョンごとのセキュリティサポートから、ブランチごとにセキュリティサポートへ切り替えていくことをこれまで何度か示してきました。当初、FreeBSD 11系がその最初のブランチになるのではないかと考えられてきましたが、今のところこの動きに関する正式なアナウンスはなく、従来の通りリリースバージョンごとのサポート体制となる可能性があります。リリース後にセキュリティチームからどのようなサポート体制でいくのか発表があると思いますので、公式にはそれまで待つ必要がありそうです。

また、現在はFreeBSD Update(freebsd-update(8))を使ったシステムのバイナリアップデートが提供されていますが、現在プロジェクトではこの部分もpkg(8)でアップグレードできないかという模索を行っています。実験的に11系にはすでにこの機能が存在していまして、開発の状況はPackaging Base|PkgBase|FreeBSD Wikiなどで確認できます。当初、この機能は11.0-RELEASEで投入されるといった雰囲気でしたが、この前のBSDCanでの話の内容からすると、とりあえず11.1-RELEASEでの導入を目指すということになりそうです。

もしPkgBaseが11.1-RELEASEから有効になった場合、11.1-RELEASEからセキュリティサポートがリリースバージョンごとのサポートではなく、ブランチ単位での5年間サポートになる可能性もありますし、やはり12系まで新しいサポートモデルの採用はない可能性もあります。今後の正式なアナウンスを待つ必要があります。

2016年8月にはケンブリッジでFreeBSD開発者会議「BSDCam」があるので、このあたりのより詳しい話もあるかもしれません。なにか特記すべきことがあればそのときにまたお伝えします。

安定した運用を望む場合、X.0の採用は見送り、マイナーバージョンがいくつかでてから、X.2やX.3を採用するといったことがあります。しかし今のところ、11.0はそれほど安定性の面で不安は見られないように思います。評価をはじめて安定していることが確認できれば、11.0の採用または11.0へのアップグレードは十分にありではないかと思います。

FreeBSD勉強会 告知

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今回のFreeBSD勉強会ではデータセットにおけるクォータやディスク容量の管理、リザーブや圧縮、重複排除、スナップショット、クローンなどの機能を解説します。ZFSの提供する機能は多岐にわたり、これまでのファイルシステムでは実現が難しかった機能が簡単なプロパティの設定などで実現することができます。こうした機能を知ることで、今よりももっとZFSを使いこなせるようになるはずです。

第53回目の勉強会ではZFSの基礎(データセット、プール)を、第54回目ではデータセットのプロパティの設定や、プールの追加、削除、リシルバリングなどについて解説しました。第55回目となる今回はZFSが提供している個々の機能に焦点を当て、使い方やその効果などを紹介します。

参加申請はこちらから。

※現在、2016年9月以降の勉強会の会場を探しています。ご提供いただける場合にはぜひご連絡ください。よろしくお願いいたします。

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