徹底取材!注目企業たちのクラウドコンピューティングへの取り組み

フリービット編

インタビュイー

国吉健一 氏

フリービット株式会社 MeX営業部 サブジェネラルマネージャー


前島和之 氏

メディアエクスチェンジ株式会社 営業・カスタマーサービス部 主任

自由度の高さに加え、強固なセキュリティも実現し、安心して利用できるクラウドサービスとして提供されているのが、フリービットの「MeX VDC ENTERPRISE-FARM Pro」です。今回、このサービスが持つさまざまな特徴のほか、クラウドを活用することで得られるメリットなどを伺いました。

Q:フリービットとしてのクラウドに向けた取り組みについて教えてください。

A:私たちのクラウドサービスは、データセンターで動いているものをそのままご提供していくという「デスクトップデータセンター」という考え方に基づいています。従来であれば、実際にデータセンターに出向き、機器を配置したりケーブリングする必要がありましたが、これをすべてWebブラウザから操作できるようにしています。これによってインフラ部分の運用負荷を低減し、お客さまにはもっとも重要なアプリケーションの部分に集中していただきたいと考えています。

Q:想定するターゲットと利用シーンについて教えてください。

A:直近でもっとも多いのはインターネット上で提供される各種サービス、あるいはソーシャルゲームなどのエンターテインメントの分野のお客さまです。その後の動きとしては、SaaSのプラットフォームとして使われるケースが増えていくと考えており、具体的に検討するフェーズに入っているお客さまも少なくありません。従来、こうしたサービスはオンプレミスで提供されるケースが主流でしたが、サービスとしての競争力を高めるために、クラウドを利用して運用コストを削減するという流れのようです。

さらに将来的には、ユーザー企業で使われている各種サーバがクラウド化していくことも十分考えられます。Windows 2000 Serverの延長サポートが終了することなどもあり、こうした社内サーバのクラウドへの移行というのは増えていくのではないでしょうか。

Q:フリービットで提供する「MeX VDC ENTERPRISE-FARM Pro」のメリットと特徴について教えてください。

A:前述したデスクトップデータセンターがキーワードとなっているほか、ネットワーク部分に大きな特徴があると考えています。まずMeX VDC ENTERPRISE-FARM Proでは標準で7つのプライベートセグメントを作成することが可能で、たとえばWebサーバとアプリケーションサーバ、データベースサーバのセグメントを分けるといった使い方ができます。またL4のロードバランサを標準で提供しており、個々の仮想マシンに負荷を分散する構成も容易に作れます。

さらにIPsec VPNとSSL-VPNのインターフェイスも標準で提供しています。これにより、仮想環境とお客さま拠点のLANをVPNで接続するといったことに対応しているほか、リモートでのメンテナンス、あるいはサーバへのリモートアクセスもSSL-VPNを利用することによってセキュアに実現可能です。

お客さまによっては、既存の物理データベースサーバをそのまま使いたいなどといった要望をいただくことがあります。こうしたケースに対応するため、データセンターとMeX VDC ENTERPRISE-FARM Proの仮想環境の接続を可能にしています。また、UTMにはフォーティネットの「FortiGate」を利用しているため、ファイアウォールに加えて、アンチウイルスやアンチスパム、IPSなどを標準機能として提供していることも特徴です。

Q:クラウドと既存ホスティングとの違いについてどのように考えていますか?

A:データセンターと比べて、ラックや電源の費用がかからないという点では、クラウドもホスティングも違いはありません。ただ、必要なときにオンデマンドでサーバリソースを増減させるというのは、やはり既存ホスティングサービスでは対応が難しいと思います。しかしクラウドであれば、状況に応じてリアルタイムにリソースを追加する、あるいは不必要なリソースを削減するといったことが簡単に行なえます。こうした柔軟性の高さがクラウドサービスの大きなメリットではないでしょうか。

Q:最後に、日本のクラウドシーンに向けて一言お願いいたします。

A:海外のデータセンターを利用するクラウドサービスでは、ネットワークレイテンシやセキュリティ面での問題があります。ただ、これらは日本にデータセンターを設置すれば解消されるため、国内で提供するクラウドサービスとの差別化要因になるとは思いません。むしろお客さまと近い位置にいるということで、相談を受けた内容に従ってサービスをコーディネイトし、最適な形で提供できるといったことが大きなポイントになると考えています。

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