SNS各社の業績の明暗
DeNA、GREE、mixiといったSNS3社の2010年4~6月期の業績が出揃った。最も好調なDeNAが売上高241億9,300万円(前年同月比175%増)営業利益119億8,900万円(同282%増)、GREEは売上高109億4,000万円(同118%増)営業利益52億9,400万円(同100%増)、mixiが売上高40億1,300万円(同102%増)、営業利益10億7,400万円(同562%増)となった。
いずれも好調だが明暗を分けたのがソーシャルゲームへの対応だ。内製と外部と両方のゲームを展開するモバゲータウン (DeNA) が最も好調で、内製ゲーム中心のGREEが次ぐ業績、ゲームを内製しないmixiが最も低調となった。ソーシャルゲームでは広告よりもゲーム内課金が大きな収益源だが、自社でソーシャルゲームを展開しないmixiは、ゲーム内課金を自社の収益として取り込めず、2社の後塵を拝した格好だ。
ソーシャルゲーム市場の動向
SNS上で提供されるソーシャルゲームの市場は急激に伸びている。PCのブラウザ上で提供されるFacebook向けのブラウザゲームは「Zynga Game Network」などが先行していたが、ケータイ向けゲームが成長を牽引していることが日本市場の特徴だ。ソフトバンクはZyngaに1.5億ドル以上を出資し、Zyngaは日本で「まちつく!」などの人気ゲームを展開するウノウを買収した。買収金額は非公表だが数十億円との報道もある。日本の携帯電話は機種ごとで画面解像度や処理性能にバラつきがあり、多くの機種で動作するゲームを作るには手間とノウハウを要する。
社会問題に?
ソーシャルゲームは無料でも遊ぶこともできるが、お金を払うことで高性能なアイテムを容易に入手できる。ネット上の仲間との協調や競争の中で優れたアイテムをほしくなるように誘導され、ヘビーユーザの中には月数万円から数十万円を使う利用者もいるという。5月には携帯ゲーム中毒の主婦がゲーム代を稼ぐために知り合いの女子中学生に売春をさせ逮捕されるなど社会問題も生じており、国民生活センターは昨年12月に業界団体に改善を要請している。
ソーシャルゲームの今後の課題
今後の課題のひとつにiPhoneをはじめとしたスマートフォンへの対応がある。mixiが5月31日に、GREEは8月9日にiPhone向けの新たなUIを発表したが、まだ基礎的なSNS機能しか対応しておらず、ソーシャルゲームとの連携はこれからだ。DeNAも5月10日、海外のAppStoreでモバゲータウンのゲームとコミュニティをベースにしたMini Nationを提供するなど、やはりスマートフォン対応に力を入れている。
iPhoneはボタンが少なくタッチパネル中心の操作で、これまでの携帯ゲームとは異なる操作性が要求される。世界中で共通の端末が提供されているため市場が大きく、高性能で表現力が豊かな分、本格的な3Dゲームも数多く提供されている。一方でこれまでソーシャルゲームが磨いてきたネット上のコミュニティ連携やゲーム内課金の活用はこれからだ。日本でも携帯電話に占めるスマートフォンの割合が徐々に増えることを見越して、今後はスマートフォン向けソーシャルゲームを巡る競争が過熱するのではないか。