KVMで始めるプライベート・クラウドへの第一歩

第7回KVM環境のリソース監視

KVM環境のリソース監視

今回は、ホスト Linux と仮想マシンのリソース監視について説明します。

KVM 環境を運用するために必要な監視対象項目は、簡単にまとめると最低でも10項目近くあります表1⁠。

これらの項目をvirt-managerや virsh、そしてIBMの提供するソフトウェア(IBM Systems Director VMControl)でどのように監視できるかを説明いたします。

表1 KVM 環境の監視対象項目と監視ツールの対応
監視項目virt-manager,virsh
(※1)
System Director VMControl
(※2)
ホスト
Linux
死活監視×
CPU使用率
メモリ使用量
ディスク使用量×
ハードウェア障害×
仮想マシン死活監視
CPU使用率
メモリ使用量[3]
ディスク使用量×

virt-managerやvirshによるKVM環境のリソース監視

KVM環境のリソース監視は、GUIツールのvirt-managerやvirshコマンドなどのコマンドラインツールで行います。

virt-managerでは仮想マシンの稼働状況やCPU使用率などを一覧表示で確認できます。また、仮想マシンを選択した状態で「Edit⁠⁠ → ⁠Virtual Machine Details」を選択すると、仮想マシンへのメモリ割当量も確認できます。ホスト Linux に関しても同様の操作で CPU 使用率やメモリ使用量、ディスクの使用量を確認できます。

図1 virt-managerの管理画面
図1 virt-managerの管理画面

コマンドラインツールのvirshでも virt-manager とほぼ同様の情報を確認できます。

たとえば、仮想マシンの死活監視であれば、

# virsh list --all

を実行し、仮想マシンが稼働中であれば「実行中⁠⁠、停止中であれば「シャットオフ」と表示されます。

virshの他のオプションについては以下のサイトをご参照ください。

Chapter 30. Managing guests with virsh
http://docs.redhat.com/docs/en-US/Red_Hat_Enterprise_Linux/6/html/Virtualization/chap-Virtualization-Managing_guests_with_virsh.html

しかし、これらのツールではハードウェア障害を検知することができないため、ハードウエア障害により予期しないダウンタイムが発生する場合があり、ハードウエア障害は別の仕組みで監視する必要があります。

Systems Director VMControlによるKVM環境のリソース監視

Systems Directorとは、IBMが提供するプラットフォーム管理ソフトウェアで、1台の管理サーバ(Systems Director サーバ)を用意するだけで、サーバやスイッチ、ストレージなどさまざまなIBMハードウェアの一元管理(アラート受信も含む)ができます。これに VMControlプラグインを追加すると、KVM/VMwareを初めとしたさまざまな仮想化環境もWebブラウザ1つで同じ操作で一元管理でき、運用担当者の管理負担を軽減できます。

図2 Systems Director がカバーする範囲
図2 Systems Director がカバーする範囲

Systems Directorに関する情報は、以下のサイトをご参照ください。

IBM Systems Director スマート・システム管理術
http://www.ibm.com/jp/domino04/pc/support/Sylphd07.nsf/jtechinfo/SYJ0-016ADB4

2011年5月時点でVMControlの最新バージョンである2.3.1.2は、RHEL5.5(x86-64)KVM環境をテクノロジープレビューとして限定サポートしています。ここではRHEL5.5環境をベースに説明を行います。

VMControlプラグインを追加したSystems Directorサーバでは、ホストLinuxと仮想マシンを一覧表示でき、死活監視が一目で行えます。

図3ではHS21KVMというホストLinux上でkvmrhel54-1が稼働していて、kvmrhel54-2が停止していることが簡単に判断できます。また、CPUの数や割り当てられたメモリ量、ホスト Linuxと仮想マシンのCPU使用率がリアルタイムで確認できます。

図3 VMControl による KVM 環境の一覧表示
図3 VMControl による KVM 環境の一覧表示

さらに、仮想マシンにSystems Director共通エージェントをインストールすることで、仮想マシンのCPUやメモリ、ディスクの使用状況をリアルタイムに把握できます。

図4では、仮想マシンのCPU使用率/ディスクの空きスペースの割合/メモリの使用量をリアルタイムに把握しています。さらにディスクの空きスペースの割合が20%を切ったら警告、10%を切ったらクリティカル通知するようにしきい値も設定しています。

図4 Systems Director による仮想マシンのリソース監視
図4 Systems Director による仮想マシンのリソース監視

Systems Director には上記のリソース監視の他にもハードウェア障害監視やイベント自動対応機能など、運用担当者の通常運用にかかる負担を軽減する様々な機能が搭載されています。

その他の機能については第8回で説明いたしますので、そちらをご参照ください。

IBM、IBMロゴ、Systems Director VMControlは、世界の多くの国で登録されたInternational Business Machines Corporationの商標です。他の製品名およびサービス名等は、それぞれIBMまたは各社の商標である場合があります。現時点でのIBMの商標リストについては、www.ibm.com/legal/copytrade.shtml をご覧ください。

他の会社名、製品名およびサービス名等はそれぞれ各社の商標です。

この記事に掲載されている情報は、2011年4月15日現在のものです。事前の予告なしに変更する場合があります。

おすすめ記事

記事・ニュース一覧