Linuxとは黎明期からのつき合いです
私がLinux開発に参加したのは、まさにLinuxの初期です。1991年後半のバージョン 0.11から関わりました。ネットニュースのcomp.os.minixでLinusの有名な投稿を目にして、決心したのです。─自分もIntel 386SXベースのPCを何とか手に入れて参加しようと。それからはずっと、何らかの形でLinuxに関わってきました。
正直なところ、今はそれほど活動的なカーネル開発者とは言えませんが、長年にわたって数十のカーネルパッチをコントリビュートしてきました。開発者として一番大きく関与したのは、1990年代のXFree86へのコントリビューションです。その後SuSEのCTOになりました。そしてもちろん現在も、IntelのLinux & オープンソースのチーフテクノロジストとして、Linuxスタックのさまざまな面に密接に関わっています。
今やLinuxはいたるところで使われるようになりました。サーバや組込みなどの多くの分野ではOSとしての地位が確立していますし、モバイル分野でも急速に普及しています。Androidのすばらしい成功やMeeGoの評判なども、ご存知のとおりでしょう。
モバイルLinux 「MeeGo」とは?
MeeGoはモバイル向けのLinuxです。Linux Foundationが運営するオープン ソース プロジェクトであり、IntelやNokiaをはじめ、多くの企業やコミュニティメンバーが活発に貢献しています。
MeeGoを理解するには、アップストリームコントリビューションにフォーカスすることが大切です。MeeGoは既存のプロジェクトが分岐してモバイルバージョンを開発しているのではなく、プロジェクトのアップストリームと積極的に連携して変更機能をコントリビュートしているのです。そのため、プロジェクトで常にメンテナンスされる部分となり、すべてのユーザがその恩恵を受けます。
AppleのiOS(iPhone OS)とMeeGoは基本の部分でまったく異なります。iOSは塀で囲まれた“私有地の庭園”です。OSからアプリケーションにいたるあらゆる面が1つのベンダによって完全にコントロールされています。けれどもMeeGoはすべてにおいてオープンで選択自由です。OEM、OSベンダ、通信事業者、ユーザに制約がありません。
日本はLinux開発にとって重要な国
日本の主要なメーカは、何年もの間Linuxの最大のスポンサーです。そして日本がLinux開発上位国である所以はここにあります。大規模なカンファレンスが日本で定期開催されるのは当然のことでしょう。個人的には、そのおかげで大好きな日本に定期的に行けるので、とても嬉しいです。'90年代後期から少なくとも毎年1回は日本を訪れていますから。
伝えたいMeeGoの開放性と重要性
私の講演では、まずMeeGoの概要とアーキテクチャについてお話しし、MeeGoの開放性について紹介します。それから、モバイルLinuxエコシステムにおいてアップストリームプロジェクトに直接関与することがなぜそれほど重要なのかについて時間をあてたいと思っています。
カンファレンスで皆さんに早くお会いして、MeeGoのすばらしさをお伝えしたいです。昨年に引き続き、東京でのカンファレンスが大成功することを願っています。
- LinuxCon Japan:Dirk Hohndelさんのセッション「MeeGo: An Update」
- URL:http://events.linuxfoundation.org/2010/linuxcon-japan/hohndel