さて、いよいよMRTGの導入作業に移ります。今回は、まず、MRTGを使う上で必要な基本ツールのインストールについて解説します。
MRTGの導入
今回は、MRTGのインストールを行います。ベースとなるOSには、FreeBSD 7.1Rを使っています。FreeBSDではPortsからインストールする方法もありますが、ここでは標準で配布されているソース(tarball)からコンパイルしてインストール手順を示します。
先にGD Graphics Libraryをインストールする
MRTGが監視した結果は、グラフで表示されますが、その描画はGD Graphics Library(以下、GD)に委ねられています。またGDは、別のライブラリを必要とします。インストールはそれらの周辺ライブラリから先に行います。
MRTGのインストールに必要なプログラム群
以下に、必要なライブラリとそのインストール手順を示します。インストール手順は、MRTGのtarballに含まれているdoc/mrtg-unix-guide.txtを参考にしています。なお、インストールにはCコンパイラのほか、Perlも必要になりますが、これらはすでにインストール済みとして話をすすめます。
表 MRTGインストールに必要なものと入手先※バージョンは2009年2月5日時点のもの
ここでは、各tarballの保存パスと展開用のワークパスを以下のようにしています。ご自分の環境に合わせて変更してインストールを進めていってください。
保存領域パス: /usr/local/src/archive
作業領域パス: /usr/local/src/work
MRTGのインストールを始める
ワークパスに移動
% cd /usr/local/src/work
zlibのコンパイル。インストールは不要
% tar zxvfp ../archive/zlib-1.2.3.tar.gz
% mv zlib-1.2.3 zlib
% cd zlib
% ./configure
% make
% cd ..
libpngのコンパイル。インストールは不要
% tar zxvfp ../archive/libpng-1.2.34.tar.gz
% mv libpng-1.2.34 libpng
% cd libpng
% vi make.sh
(以下、make.shのソース)
make -f scripts/makefile.std \
CC=gcc ZLIBLIB=../zlib \
ZLIBINC=../zlib
% sh make.sh
% cd ..
GDのコンパイル。インストールは不要
% tar zxvfp ../archive/gd-2.0.35.tar.gz
% mv gd-2.0.35 gd
% cd gd
% vi configure.sh
(以下、configure.shのソース)
env CPPFLAGS="-I../zlib -I../libpng"
env LDFLAGS="-L../zlib -L../libpng"
./configure \
--disable-shared \
--without-freetype \
--without-jpeg
% sh configure.sh
% make
% cd ..
MRTGのインストール
%tar zxvfp ../archive/mrtg-2.16.2.tar.gz
% cd mrtg-2.16.2
% vi configure.sh
(以下、configure.shのソース)
./configure \
--with-gd-inc=../gd \
--with-gd-lib=../gd/.libs \
--with-z=../zlib \
--with-png=../libpng
% sh configure.sh
% make
% sudo make install
以上でMRTGのインストールは完了です。この手順により、以下のパスにファイルがインストールされました。
% ls -F /usr/local/mrtg-2
bin/ lib/ share/
これらは、MRTGの実行に必要なプログラムと、実行に必要なパラメータの作成支援プログラムになります。
この後の作業は?
今回の作業でMRTGの実行プログラムのインストールは完了しましたが、この後に以下の2つの作業が必要になります。
① MRTGで監視される機器の設定
② その機器に合わせたパラメータの設定
これらについては、次回以降に行います。
次回は
次回は、まずMRTGで監視される機器の設定を取り上げます。ところで、MRTGが監視できる機器は、SNMP(Simple Name Management Protocol)が使えることが基本になっています。しかし、最近の家庭用ルータはSNMPが実装されていないので、MRTGで監視することができません。そこで次回はUNIXサーバにSNMPを実装する手順を示します。このUNIXサーバを監視対象機器にしてMRTGの学習を進めていきます。