さくらインターネットが昨年12月にリリースした「さくらのマネージドサーバ」は、運用や管理はさくらインターネット側で対応しつつ、1台のサーバを1ユーザで占有して使えるというサービスです。
このサービスで、今回新たにCore 2 Duoを搭載した「さくらのマネージドサーバ Core 2 Duoプラン」の提供が始まりました。この新プランの特徴についてお話を伺いました。
──まず、さくらのマネージドサーバを提供することになったきっかけを教えてください。
天内氏:さくらインターネットでは、従来から「さくらのレンタルサーバ」という共用型のホスティングサービスと、占有型の「専用サーバ」を提供していました。さくらのレンタルサーバは低コストでご利用頂けるサービスですが、1台のサーバを複数のユーザで共用するため、ほかのユーザの影響を受ける可能性があります。一方、専用サーバは1台のサーバを1ユーザで使用するため、その様な心配はありません。ただサーバの管理はユーザ側で行う必要がありました。この両者の中間に位置するサービスとして、「さくらのマネージドサーバ」を企画しました。
このサービスでは専用サーバと同様に、1台のサーバを1ユーザで利用する形になるため、パフォーマンス面でほかのユーザに影響を受けることはありません。一方、運用や管理、セキュリティパッチの適用などはさくらインターネット側で対応するため、これまでサーバの運用管理の経験がないユーザでも安心してご利用頂けると考えています。
──サーバを占有して利用できること以外で、さくらのレンタルサーバとの違いはどういった点になりますか。
天内氏:基本的には、さくらのレンタルサーバで提供している機能を継承していますが、いくつかさくらのマネージドサーバオリジナルの機能も用意しています。
具体的には、たとえばロードアベレージやトラフィックの情報を簡単に参照できるモニタリングツールを提供しているほか、メールでは送信できない様な大容量のファイルを社外とやり取りできるファイル共有機能(WebDAV)インターフェースを用意しています。また、MySQLで利用できるデータベースの数に制限を設けていないことも、さくらのマネージドサーバの大きな特徴です。
──今回、サーバのCPUをCore 2 Duoにした「さくらのマネージドサーバ Core 2 Duo プラン」が追加されました。どういった経緯があったのでしょうか。
天内氏:最初にAtomを搭載した「さくらのマネージドサーバ Atomプラン」を提供させて頂いた直後から、さらにパフォーマンスの高いサーバを提供してほしいという要望を頂いていました。そこで、上位のプランとしてCore 2 DuoをCPUとして利用した「さくらのマネージドサーバ Core 2 Duoプラン」を提供することにしました。
Core 2 Duoのプランは単にCPUが高速化されているだけでなく、メモリも4GBとAtomプランの倍の容量を搭載しています。また、4GBのメモリをフルに使うことができる64ビット対応のOSを利用することで、パフォーマンスを大幅に引き上げています。
──さくらのマネージドサーバは、Core 2 Duoプランでも月額料金が9,800円と利用しやすい価格設定になっています。これだけの低価格で提供できた理由は何でしょうか。
後藤氏:さくらのマネージドサーバでは、AtomプランとCore 2 Duoプランともに、筐体サイズを1Uサーバの1/4に抑えた自社設計のオリジナルサーバを利用することにより、データセンターでの集積率を向上させて、さらに消費電力も抑えることで低価格化を実現しています。
なお、今回のサーバは1Uのスペースに4台、1ラックに最高で160台まで詰め込むことが可能ですが、従来の空調システムでは熱の問題が発生するため、そこまで集積率を高められません。今回のサーバを設置しているデータセンターのフロアでは、「前後列アイルキャッピング方式」という空調システムを導入しています。データセンターの空調システムは、ラックの床下から冷やした空気をラック内に流しサーバを冷やす方法が一般的ですが、前後列アイルキャッピング方式では、下から吹き上げる冷気をラックの前後通路の両方で囲い込むアイルキャッピングを導入し、ラック前後両面からの吸気するもので,これによってラックの前後に設置されたサーバを効率的に冷やすことを可能にしています。
──さくらのマネージドサーバでは、どういったユーザを想定しているのでしょうか。
天内氏:コマンド等の知識はないけどサーバ1台専有したい、サーバの運用保守は面倒だなどといったニーズをお持ちのお客様を想定しています。例えば、Web制作会社の方々などですね。本業はWebサイトの制作であり、サーバの管理はアウトソースしたいといったケースです。
特に今回のCore 2 Duoプランはパフォーマンスを向上させているので、アクセスが多い、あるいは膨大なコンテンツを提供しているWebサイトの公開や、Webアプリケーションを積極的に使いたいといった用途にも対応できると考えています。
──さくらのマネージドサーバ Atomプランを提供されてからそろそろ半年が経ちますが、やはりレンタルサーバから移られているユーザが多いのでしょうか
天内氏:私たちが見ているところですと、実はさくらのレンタルサーバから移られているユーザは多くありません。むしろ専用サーバを使っていて、サーバの管理というところで課題を持つユーザが移るケースが多いと感じています。
──やはり専用サーバは管理しきれないというユーザは少なくないのですね。
後藤氏:専用サーバを利用する場合、まず導入時に使えるようにするまでが大変です。WebサーバやDNSサーバ、FTPサーバの立ち上げから始まり、さらにはドメインの設定もしなければなりません。しかしさくらのマネージドサーバであればそういった設定は最初から済んでいますし、オリジナルのドメインの利用もコントロールパネルで設定するだけと簡単です。基本的に、コンテンツさえアップロードすればすぐにWebサイトを公開できます。
さらに運用面でも大きな違いがあります。たとえばハードウェアのトラブルですね。専用サーバではユーザ側でハードウェアのステータスをチェックする必要がありますが、マネージドサーバではさくらインターネットですべて監視しています。ディスクエラーが発生していたり、あるいは故障につながる予兆があればすぐに交換します。もちろんOSやサーバ部分のパッチを適用する作業もユーザ側では不要です。こうした違いは大きいのではないでしょうか。
──最後に、さくらのマネージドサーバのメリットはどういったところにあると考えているのかを伺わせてください。
天内氏:ユーザの視点で考えたとき最も重要なのは、やはり安定性ではないでしょうか。さくらのマネージドサーバであれば、たとえばHDDはRAID1構成にしているため、1つのHDDに障害が発生しても、もう一方のHDDでカバーするという構成にしています。また、バックアップもオプションではなく標準提供しています。毎日バックアップを取得しているため、最悪の事態が発生しても1日前の時点まではさかのぼれるわけです。
最初から実用上必要な機能を装備している点も注目して頂きたいポイントです。
基本的にすべての機能を標準で無償提供しているため、改めてオプションなどを申し込んで頂く必要はありません。こうした面でのコストパフォーマンスの高さはぜひアピールしたいですね。
後藤氏:運用の手間が省ける点が大きなポイントだと考えています。実際にさくらのマネージドサーバの運用を担当する社内メンバーを見ていると、この作業をユーザ側で対応するのは大変だなと感じています。専用サーバを使いたいが管理面での不安を感じているというユーザには、ぜひ使って頂きたいと思います。
──本日はありがとうございました。
次回は、実際にさくらのマネージドサーバ Core 2 Duoプランを試用しながら、具体的にどういった機能が用意されているのか、サービスのポイントとなるコントロールパネルの使い勝手はどうかといった点をレポートします。