企業活動において関心の高い「システム運用」。ITサービスで成功させるシステム運用を期待しながらも、運用費用とサービス品質とのバランスに苦しんでいます。
第2回は、システム運用の効率化を図るジョブ運用について解説します。
企業活動の管理と同じシステムの運用管理
企業のCIO(情報最高責任者)にとって、戦略的な業務システムの投入と合わせ、関心の高いのが「システム運用」であることは第1回の記事で紹介しました。システム運用は企業活動同様、ITの投資対効果を確認しながら、PDCAサイクルをまわすことです。
ここで、Planはシステム運用計画を、Doは日々のシステム運用の実践、Checkはシステム運用の問題点の把握、Actionはシステム運用の見直しを行いPlanにつなげます。
その中で、システム運用が担うタスクは、企業活動への対応、利用者サービスの向上、そしてシステム運用の効率化です。システム運用の効率化においては、保有しているハードウェアやソフトウェア資産の最適化、常に最適な状態に保つ維持管理、業務を最適な状態で自動化することにより、システム運用工数の削減を図ります。今回は、業務を自動化するジョブ管理にスポットを当てます。
自動運用へのアプローチ
昨今、業務のIT化によってエンドユーザの利便性と負荷は格段に軽減されていますが、その反面運用管理者の負担は増加の一途をたどっています。
企業内では、受発注と在庫管理システム、受発注システムと経理システムなど多くの業務システムが連動して動いています。これらの業務運用を担当者の作業で運用している場合も多く、運用業務量の増加と人的ミス件数の増加が止まりません。また、業務都合によりシステム運用を夜間まで延長した場合、夜間における運用操作や障害に対する備えなど、システム管理者の負担は更に増加します。
そこで、エンドユーザに対するサービスのレベルを下げずに、この課題を解決するのがシステム自動化ツールの導入であり次のような効果が期待できます。
運用管理者の作業負荷を軽減
手作業で操作していた各種コマンド投入をツールによって肩代わりし、運用管理者の負担を軽減します。
運用管理者の操作ミスの防止
各種コマンド投入をツールによって肩代わりすることにより、信頼性が増し操作ミスの防止が図れます。
自動運用の適用に際しては、これらの2つの効果からアプローチします。作業負荷を軽減できる自動運用の例として、次の業務が挙げられます。
- 早朝・深夜など人員を割り当てにくい時間帯に実施する業務
例えば、早朝にサーバの電源を投入する、全ての業務が終了したら、データベースのバックアップを採取するなどです。
- 毎回、決まった時刻に繰り返される業務
例えば、毎日輸送用トラックが到着する前の決まった時間に発行しなければならない商品の出荷指示書発行業務や、月末に実行する請求書の発行業務などです。
このような業務を自動運用にすることで、システム管理者の負担を軽減し、信頼性の高いシステム運用を実現します。
具体的な業務の自動化例
まず、運用業務を年間、月間、週間……と細分化し、それぞれの業務をどのタイミングでどの様な手順で実行するかを洗い出します。そして、それらの業務のスケジュールを立てます。JP1を使った運用では、カレンダーによるスケジュールの登録を行うことで実現します。
次にそのスケジュールに従って、運用管理者がどのような操作をするかを洗い出します。業務実行の操作手順をフローにしたら、JP1ではそのフローを運用手順としてマウスを使って絵を描くようにGUIで定義します。
そして、重要なのが監視と障害の回復です。
監視はPDCAを回すためにも大変重要です。JP1では監視画面やレポートを印刷できるようになっています。
一方、残念なことに、想定通り業務が動かないから運用管理者が対策に振り回されるのです。しかし、大半は予想できる障害であり、回復手順も確立されています。この回復操作も障害判定と合わせて自動化すれば良いのです。そしてどうしても手に終えない障害だけを運用管理者に報告する様にすれば良いのです。