システムを構築する際、ハードウェアを単純なスペックとコストだけで判断してはいないでしょうか。もしハードウェア選定を軽視すれば、無用なトラブルに巻き込まれることにもなりかねません。この連載では、ハードウェア選びのポイントをサードウェーブテクノロジーズに伺っていきます。
用途にマッチしないハードウェアが引き起こすトラブル
CPUやマザーボード、メモリ、ハードディスクなどのパーツを自由にカスタマイズできる“ BTO製品” は、思い通りのスペックのマシンを作ることができるため、個人用途の他、業務で利用されるケースも増えてきました。ただ、いわゆる民生用のパーツを使って組み立てたBTOパソコン、あるいは各メーカが販売している一般業務用のBTOサーバ、ワークステーションを自社アプライアンス製品に採用した場合、思わぬトラブルに直面する可能性があります。
具体的な例としては、検査装置や画像・映像処理装置などの産業システムとしてハードウェアを選定する場合、コストや設置するスペースにのみ注目した結果、温度や湿度の環境変化により動作や耐久性に問題が出ることがあります。また、同じBTO製品を購入したのに途中のロットから急にうまく動作しなくなったりなど、失敗してみないとわからない問題が潜在的に存在します。
他にも、利用しているパーツの経年劣化が挙げられるでしょう。使い始めは問題がなくても、利用し続ける間に不調になり、最終的には正常に動作しない、あるいは電源が入らなくなってしまうといったケースです。そもそも民生用の製品は製品寿命や耐用年数よりもコストを重視することが多く、業務利用を前提としたものよりも短期間で故障する可能性が高いのです。
株式会社サードウェーブテクノロジーズ 営業部東京営業課課長代理 営業第一グループ グループ長 塚本丈英氏
「近年、ハードウェアのコストは低減し続けているため、調達の度、故障の度に新しいものに買い換えればよいという考え方もあるでしょう。ただ、そうした考え方が問題になるケースもある」と話すのはサードウェーブテクノロジーズの塚本丈英氏です。
「そもそも民生用のパーツやPCの多くは、半年程度でモデルチェンジし、同じモデル名でも、内部に使用されている部品が異なります。そのため長期間に渡って同じPCを使い続ける必要がある用途においては購入の度に検証が必要になり、非常にランニングコストがかかります」
では、具体的に民生用と業務利用を想定した製品では何が違うのでしょうか。塚本氏は次のように説明します。
「スペック的なところでは、民生用と業務用、あるいは産業用のコンピュータで違いはあまり出てこないんですね。大きく違うのはまずマザーボードの供給期間、それから電源や冷却ファンといった駆動部分の部品です。これらは故障しやすい部分であるため、業務用や産業用のハードウェアでは耐用年数の長い部品が使われています」
業務用/産業用コンピュータで使われている電源の例。リムーバルバッテリパックが内蔵でき、長期間の連続稼働にも耐える耐久性を備える。
このように民生用と業務用/産業用コンピュータでは、信頼性や耐久性といった観点で大きな違いがあるほか、主要パーツの供給期間の長さからトラブル発生時の障害切り分けのし易さも大きく異なります。ただ、当然ながら純粋な業務用/産業用コンピュータは高価であり、予算の関係から導入できないといったケースも多いでしょう。こうしたジレンマを解消するため、サードウェーブテクノロジーズではカスタマイズによって顧客の要望にマッチするコンピュータを提供していると塚本氏は話します。
「サードウェーブテクノロジーズでは、まずお客さまの要望を伺い、その要望に応じて最適な製品をご提案するための体制を整えています。たとえばホコリの多い環境で使うけれども、防塵仕様の産業用コンピュータを買うまでの予算はないといった場合、発熱の小さいパーツを使って極力ファンの数を減らし、耐久性に最も影響を与える電源とマザーボードだけ産業用のパーツを使うなど、お客さまのニーズに合わせてカスタマイズした製品をご提供することができます。このように、お客さまの要望と長年の経験で培われてきた私たちのノウハウをマッチングさせることにより、最適な製品を提供できることが私たちの大きな強みです」
さまざまなニーズに対応するサードウェーブテクノロジーズ
顧客の要望を第一に考え、ニーズに合った最適なハードウェアを提供するサードウェーブテクノロジーズの姿勢は、多くの企業に支持されています。産業システム向けのサーバやPCだけでなく、ホスティング事業者で利用される低電力集積化サーバ、あるいは大学および官公庁などで使われる科学技術計算用のワークステーションです。特に後者は案件ごとにきめ細かなカスタマイズが必要になるため、一般的なハードウェアベンダーで対応するのは容易ではありません。しかしサードウェーブテクノロジーズでは、案件ごとに徹底的にヒアリングを行い、必要とされるパフォーマンスを満たした最適なマシンを提供しています。
さらに現在では、画像処理や映像関連のためのシステムで使われるハードウェアの提供にも力を入れています。
このようなシステムでは、独自のアプリケーションや専用の拡張ボードを外部調達したPCに組込み、セットで販売する形が一般的になっています。ただ塚本氏によれば、汎用PCでは思ったようなパフォーマンスが出なかったり、そもそも拡張ボードのパフォーマンスが出ないといったトラブルが起きるケースが多いとのこと。そこでサードウェーブテクノロジーズがそのシステムに合った最適なPCを製造し、パーツメーカとも協力してシステムベンダーに対して製品提供を行うというわけです。多くのPCやサーバを製造し、さらに多種多様なカスタマイズを手がけてきたサードウェーブテクノロジーズだからこそ対応できる領域だと言えるでしょう。
大容量データ向けフラッシュストレージサーバ、高速SSDを16基(S16/SMC-U2)搭載
Windows Embedded Enterprise/Serverプリインストールマシンも提供
さらに長期間利用され続けるハードウェアに対し、サードウェーブテクノロジーズでは供給期間や保守などのサポート要求にも対応できる体制を整えているほか、「 Windows Embedded Enterprise」および「Windows Embedded Server」をプリインストールした製品の提供も行っています。
Windows Embedded Enterprise/Serverは、組込み用途向けにマイクロソフトが提供している製品で、Windows XP Professional/Vista/7、あるいはWindows Server 2003/2008とまったく同じ機能が利用できます。組込み用途に限定されていますが、最低15年間の製品供給期間が保証されているほか、製品サポートも最低10年間受けられることがこれらの製品の大きなメリットになっています。
組込み用途では、同じOS、同じハードウェアで長期間使い続けるケースは珍しくないでしょう。その際、OSのサポート期間が終了し、そもそも製品自体の供給も行われていないということになると、継続利用に大きなリスクが生じることになってしまいます。しかしWindows Embedded Enterprise/Serverであれば、このようなリスクを背負い込むことなく安心して利用し続けられるというわけです。組込み用途ではぜひ活用したいライセンス形態だと言えるでしょう。
取材協力/サードウェーブテクノロジーズ
URL:http://hojin.dospara.co.jp/