Ubuntu Weekly Recipe

第60回OpenOffice.org 3.0を使用する

OpenOffice.org(以下OOo と略します⁠⁠ 3.0.1がリリースされた頃からでしょうか、Ubuntuに最新版のOOoをインストールしたいという声をよく聞くようになりました。また、活用するためのテクニックもまとまってきたので、ここで一緒に解説します。インストール方法自体は9.04 リリース以後はあまり役に立たないでしょうが、活用方法はその後も有用なはずです。

対象とするUbuntuは、8.04と8.10です。8.10にはタイミング次第ではOOo 3.0が入る可能性もあり、バグ報告もされましたがメンテナに即刻却下されています。確かにユーザにとっては新しいものが使えることが理想的でしょうが、リリースする立場にとっては必ずしもそうでないこともあります。

インストール

もちろんSun Microsystems提供による[1]オフィシャルバイナリをインストールすることもできますが、ここではPPA[2]からインストールする方法を紹介します。

Ubuntu 8.04の場合

  1. /etc/apt/sources.listに以下の行を追加する
    deb http://ppa.launchpad.net/openoffice-pkgs/ppa/ubuntu hardy main
    deb-src http://ppa.launchpad.net/openoffice-pkgs/ppa/ubuntu hardy main
  2. 鍵をインポートする
    $ sudo apt-key adv --recv-keys --keyserver keyserver.ubuntu.com D2BB86E0EBD0F0A43D4DB3A760D11217247D1CFF
  3. リポジトリのアップデート
    $ sudo apt-get update
  4. OOoのアップグレード
    $ sudo apt-get dist-upgrade

Ubuntu 8.10の場合

1.の⁠hardy⁠の部分を⁠intrepid⁠に変更してください。具体的には以下のようになります。

deb http://ppa.launchpad.net/openoffice-pkgs/ppa/ubuntu intrepid main
deb-src http://ppa.launchpad.net/openoffice-pkgs/ppa/ubuntu intrepid main

注意点

このPPA には開発版のバージョンが入ることもあります。バージョンアップしたくない場合は、/etc/apt/sources.listの追加した行をコメントアウトしておくといいでしょう。

IPAフォントのインストール

なにはともあれ、OOoを使う上ではIPA フォントのインストールを推奨します。IPAモナーフォントでもかまいませんが、問題があるので使用しない方がいいでしょう。

Ubuntu 8.10の場合

8.10は日本語環境セットアップヘルパから簡単にインストールできます。[システム]-[システム管理]-[日本語環境セットアップヘルパ]を起動してください。

図1 セットアップヘルパでIPA フォントを選択
図1 セットアップヘルパでIPA フォントを選択

Ubuntu 8.04の場合

Ubuntu 8.04にはIPA フォントのパッケージは存在しないため、8.10のものを使用します。

  1. Firefoxを起動し、以下のURIにアクセスする

    http://archive.ubuntulinux.jp/ubuntu-ja/intrepid-non-free/ttf-ipafont_00203-1ubuntu0ja1_all.deb

  2. ファイルを開くダイアログが表示されるので、[プログラムで開く]を選択し、[プログラムを開く]では[/usr/bin/gdebi-gtk]を選択する

  3. パッケージのダウンロード後gdebiが起動するので、指示に従ってインストール

    フォントはバージョンやアーキテクチャに依存しないので、こうやってインストールするが安全かつ確実です。

図2 gdebi-gtkを選択したところ
図2 gdebi-gtkを選択したところ

日本語の設定を行う

残念ながらOOoのデフォルト設定は、必ずしも日本語向けとはいえません。そのため、本来ならばここでつらつらその設定の説明を始めるところですが、その手間を大幅に省いてくれる拡張機能があります。

この拡張機能は、以下のページから、ダウンロードすることができます。

とても役立つわりには控えめなページになっていますが、これはやはり今後も改良の余地があるということでしょう。確かに足りないところがあるのは事実で、拡張のインストール後、次の設定を行ってください。

  1. Writerのフォント設定

    [ツール]-[オプション]-[OpenOffice.org Witer]-[既定のフォント(西欧諸言語)]を日本語のフォントと同じにする

  2. カーニングと文字間隔

    [ツール]-[オプション]-[言語設定]-[日本語レイアウト]の[カーニング]を[半角英字と日本語の区切り記号]に、[文字間隔の調整]を[句読点のみを詰める]に変更

    図3 既定のフォントを変更
    図3 既定のフォントを変更
    図4 カーニングの変更
    図4 カーニングの変更

Sun Presenter Consoleを使用する

話は変わり、OOo 3.0から使えるようになった拡張機能を紹介します。いくつかあるのですが、ここでは思い切って表題に挙げた、Sun Presenter Consoleのみの解説にとどめます。

Sun Presenter Consoleとは、Impress用の拡張機能で、Microsoft PowerPointの「発表者ツール」に相当する機能です。すなわち、発表者用のディスプレイと聴衆用のディスプレイに異なる出力を行い、発表者がプレゼンテーションをしやすくするための機能です。

インストール

通常拡張機能のインストールは一つ一つ手作業で行いますが、Presenter Consoleに関してはパッケージが用意されているので、これをインストールします。次のコマンドを入力してください。

$ sudo apt-get install openoffice.org-presenter-console

xorg.confの設定

2画面使用するためには、/etc/X11/xorg.confに解像度の設定を追記する必要があります。なお、これから説明する方法は筆者が常用しているもので、愛機Dell mini9に施しているものです。mini9の解像度は1024x600ですが、プロジェクタは横長画面には対応していないことが多いので800x600に解像度を落とし、これの2画面分、すなわち1600x600が使用する解像度に設定しています。これは、Screenセクションに対して以下のように設定することで実現できます。

Section "Screen"
     Identifier "Default Screen"
     Monitor "Configured Monitor"
     Device "Configured Video Device"
     Subsection "Display"
     Virtual 1600 600
     EndSubSection
EndSection

この設定はUbuntu 8.10用のものですが、8.04でも同じかと思います。なお、設定が終わったらXを再起動してください。

解像度の変更と外部ディスプレイの接続

通常1024x600の解像度を800x600にすると、横に間延びした画面になってしまいます。しかし、次のコマンドを実行すると中央に収まります。

$ xrandr --output LVDS --mode 800x600 --set PANEL_FITTING center

外部ディスプレイを接続し、次のコマンドを実行してください。

$ xrandr --output VGA --right-of LVDS --mode 800x600

この状態でOOo Impressを起動し、[スライドショー]-[スライドショーの設定]を表示してください。もし起動していた場合は、一度終了させ、もう一度起動してください。

図5 ⁠表示モニター」にモニターが追加されている
図5 「表示モニター」にモニターが追加されている

[マルチモニター]の[表示モニター]に何らかの選択肢が出てきていれば問題なく設定が行われています。Presenter Console自体には特に設定項目はないため、このままプレゼンテーションを行ってください。

終了後

まずは外部ディスプレイをオフにします。

$ xrandr --output VGA --off

次に、解像度を1024x600に戻します。

$ xrandr --output LVDS --mode 1024x600

なお、ここで挙げたxrandr コマンドはあくまで参考です。お使いの環境によってオプションが異なっている場合もありますのでご注意ください。

おすすめ記事

記事・ニュース一覧