Ubuntuで構築したデスクトップ環境を使っていく上で、どうしてもテスト的にソフトウェアをインストールしたいことがあります。こうした場合、常用環境を壊さないように、別のマシンで試してみたくなるはずです。ですが、そうそう多くの物理的なハードウェアを用意することはできません。
その際、仮想マシンを使うのが常套手段です。そこで今回は、(多少ハードウェアを選ぶとはいえ)Ubuntuで手軽に仮想マシンを使う方法を説明します。
Ubuntuにおける仮想マシン
「仮想マシン」とは、ソフトウェアを用いて物理的なハードウェア(PC)をエミュレーションし、あたかも複数台のPCが存在するかのように扱うことができる技術のことを指します。古くから存在するVMwareなどが代表的な例ですが、Microsoft VirtualPC・VirtualBox・Xen・KVMなど、代表的なものだけでも多くの実装が存在します。
仮想マシンソフトウェアを導入すれば、アプリケーションの一つとして仮想マシンを動作させることができます。
どのような形で仮想マシンを使うにせよ、仮想マシンイメージをどこかから入手するか、作成する必要があります。Ubuntu上でもVMwareやVirtualBox・Xen・KVMを利用することができ、また、VMwareとVirtualBoxについてはJapanese Teamのページから仮想マシンイメージをダウンロードすれば、それだけで仮想マシン上で動作するUbuntuを手に入れることができます[1]。
通常の場合、仮想マシンは通常のPCを起動したのと同じように動作しますので、Ubuntuのインストールも通常通りに行えば問題ありません。
ですが、UbuntuにはServer Edition向けの機能として、「コマンドラインから仮想マシンイメージを生成する」という機能があります。今回はこれを使って、KVMを使った仮想マシン環境を手軽に構築してみましょう。
ubuntu-vm-builder
それではUbuntu独自の仮想マシン作成機能、ubuntu-vm-builder[2]を使ってみましょう。この機能は8.10以降で利用できますが、快適に利用したい場合は9.04を利用する方が安全です(この内容も9.04が前提です。9.04はすでにAlpha6で、あと一ヶ月程度でリリースされますので、実験的な環境を準備できない方はリリース日である4月23日をお待ちください[3])。
ubuntu-vm-builderはコマンドラインから利用するユーティリティなので、以下の操作は全て[アプリケーション]→[アクセサリ]→[端末]とたどり、gnome-terminalを起動して操作します。
まず、ubuntu-vm-builderを次のコマンドでインストールします。
インストールが完了すれば、「ubuntu-vm-builder」というコマンドが利用できるようになります。仮想マシンのインストールを行ってみましょう。これも以下のコマンドをタイプするだけです。ただし、ubuntu-vm-builderはカレントディレクトリ直下に仮想マシンを格納するディレクトリを作成しますので注意してください。
以下では念のためホームディレクトリ直下に「vm」というディレクトリを作り、そこに移動しています。
以下のようなメッセージが出力され、マシンの仮想HDD領域の作成・フォーマットやソフトウェアのインストールが始まりますので、しばらく待ってください(マシンの性能にもよりますが、30~40分ほどの時間がかかります。この間ユーザーが行うことはありませんので、そのまま待っていてください)。
こうして仮想マシンの生成が完了するとプロンプトが表示されます。エラーメッセージ等がなければ、~/vm/ubuntu-kvm/以下に、仮想マシンのためのイメージ一式が準備されているはずです。この仮想マシンを起動してみましょう。
この操作でUbuntuがインストールされた仮想マシン(図1)が起動し、コンソールベースのログイン画面(図2)が表示されるはずです。既存の仮想マシンを使ったことがある方にとっては非常に拍子抜けするかもしれませんが、ubuntu-vm-builderにより、仮想マシンがこのように、非常に簡単に作成・起動できるようになります。
ウインドウには「QEMU」と表示されていますが、これはKVMが専用のQEMUを利用して起動しているためです。これで最小限のUbuntuが利用できる状態になりました。
ユーザー名・パスワードともに「ubuntu」でログインが可能です。
多くの場合は仮想環境上でもデスクトップが必要と思われますので、以下のコマンドでDesktop関連の機能を導入してください。サーバー的な用途でのテスト環境であれば、このまま利用しても問題はありません。