今回はゴールデンウィーク特別企画として、Ubuntu Japanese Teamのメンバーが実際にどのようにUbuntuを使っているのかを紹介します。前編は私いくやが担当します。息抜きにでも読んでいただけると幸いです。
なお、後編は水野さんが担当します。ゴールデンウィークということで、1週間待たずに公開される予定です。
筆者とUbuntu
まずは筆者とUbuntuの関わりをお話します。
Ubuntu Japanese Team代表の小林氏が、『Ubuntu Linux 入門キット 改訂版8.04対応』 において軽く触れているとおり、当時筆者がUbuntuにないパッケージを追加して配布していて、同僚氏の環境にインストールしたのを小林氏がご覧になって気に入った、というのがそもそもの発端になっています。しかし、筆者は当時の様子をあまりよく覚えていません。もともと記憶力があまりよくないというのはありますが、おそらく筆者にとってはUbuntuを使ってもらうのがとても自然なことで、あまり印象に残らなかったということなのでしょう。
実はメインのOSはずっとDebian GNU/Linuxで、Ubuntuをメインにしたのは6.06前後のことでした。さらに厳密にいえばUbuntuではなくKubuntuで、今もPanasonic Let's note CF-W7にはKubuntu 8.04をインストールして使用しています。とはいえ、近日中にはUbuntu 9.04 Netbook Remixにしようと思っています。KDE4を常用するのはちょっとしんどいです。
Ubuntu 8.04 LTSをインストールしているPCもあります。今ではすっかり有名になったASUS社のベアボーンを使用しています。この記事はこのPCで執筆しており、これから話す内容は主にこのPCに関してです。
また、Netbookも2台あり、どちらもこの連載で登場しました[1] 。他にもWindows PCや検証用のPCもあり、いったいPC何台あるんだか、という感じです。
[1] ASUS Eee PC 901 16GとDell Inspiron mini 9です。これらは動作検証用で、まだ本格運用できるまでは至っていません。特に前者は普通に使えそうというところまで検証していますが。
PC以外のハードウェア
プリンタ
筆者はディスプレイで字を読むことができません。正確には、読んでも頭に入ってきません。そのため、プリンタが必須です。主に使用しているプリンタはブラザー社のHL-5270DN です(現在は後継機種のHL-5380DN が発売中です) 。
このプリンタは、プリンタの認識時にPPDのピックアップまでやってくれるため、設定がきわめて簡単であることがポイントです。もちろん専用ドライバもあります 。あと、両面印刷も大変重宝しています。一度使うとこの機能がないプリンタを使いたくなくなるぐらいのインパクトがあります。
インクジェットプリンタも数台所有しています。主に使用しているのはキヤノン社のPIXUS iP4500 です(現在は後継機種のiP4600 が販売中です) 。キヤノン社はここ最近Linux、特にUbuntuサポートを充実させており 、ちょっと工夫が必要ですがUbuntuでも使用することが可能です。両面印刷ができることもポイントが高いです。プリンタに関する詳細は、またいずれ触れることができればと思っています。
NAS
NASサーバとして玄箱(くろばこ) PRO も使用しています。OSはDebian GNU/Linux 4.0です。主にファイルサーバ(Samba)とSSHサーバとして使用しています。筆者のように複数台PCがあると、ファイルサーバがないと著しく不便です。外出先からログインするため、SSHサーバも必須です。
ルータ
最近は、バッファロー社のWZR-HP-G300NH というルータを手に入れ、遊んでいます。これはファイルサーバ機能やDLNAサーバ機能もあって、なかなか面白いです。設定はもちろん、ファイルサーバ機能もDLNAサーバ機能もPPTPサーバ機能も、今のところすべての機能がUbuntuから使用できています。ただし、UbuntuではDraft2.0 IEEE802.11nの接続ができていません(ドライバレベルでは対応しているようではありますが) 。
ちなみに、Ubuntu 9.04からは標準の動画プレイヤー(Totem)がDLNAクライアントになります。totem-plugins-extraをインストールし、[編集]-[プラグイン]を開いて[コヒーレンスDLNA/UPnPクライアント]にチェックを入れてください。あとはサイドバーの上のプルダウンから[コヒーレンスDLNA/UPnPクライアント]を選択してください。
ソフトウェア
筆者はオープンソース・ソフトウェア/フリーソフトウェア(自由なソフトウェア)が大好きですが、現実的にはプロプライエタリなソフトウェアなしで生活していくのはなかなか厳しいものがあります。この記事はATOK X3 for Linux を使用して書いていますし、動作検証にはVMware Workstation が必須です。他にもAdobe Reader 9やStarSuite 9 なども使用しています。一番よく使用しているフォントはIPAフォントですが、これはプロプライエタリとはいえないものの自由でもない、一つ前のバージョンを使用しています。
他にはこれといって特徴はなく、皆さんがお使いのようなものを私も使用しています。といいますのも、Ubuntuのいいところはインストール段階でかなり使えるものになっており、追加するべきパッケージが最小限で環境構築にかかる時間が短いということだと思っていて、Compizですら有効になっている使用環境はありません。Ubuntuのどこに価値を見出すかというのは人それぞれであり、これは特に正解というわけではないと思います。半年ごとにリリースされるので、いつも新しいバージョンが使えるというのをメリットに感じる人もいるでしょう。
Firefoxの拡張機能もあまり入れていませんが、Launchpadの検索プラグイン と、Flashblock というAdobe Flash Playerの自動実行を阻止するアドオンは便利に使っています。特に後者は、これによってFirefoxのクラッシュが格段に減ったと思うので、おすすめです。
細かな設定変更も行っていますが、そのほとんどはこの連載で紹介させていただきました。テーマやツールバーもカスタマイズしていますが、配置程度でわりとデフォルトに近いです。あえていえば、画面左下の[デスクトップの表示ボタン]はわりと多用します。
その他
Dropbox というストレージサービスがあるのですが、Nautilusと統合ができるのでとても便利に利用しています。あとよく利用しているWebサービスはTwitter でしょうか。主にWebブラウザから見ており、クライアントもいくつか使用していますが、今のところこれ、というのが見つかっていません。携帯電話のmovatwitterが一番便利です。
通信の話をするとEMOBILEも使用しています。通信カードはD02NE というPCカードタイプのものですが、最近USB2-PCADPN を購入してPCカードスロットがないPCでもUSBで接続が可能になりました。これはハードウェア的には特に何もしてないので、普通にUbuntuでも使用できます。ただし、9.04のNetwork ManagerではEMOBILEは使用できないようです。よって、gnome-pppを使用したり、8.10のNetwork Managerをバックポートしたり、いろいろと工夫している真っ最中です。
それでは、後編もお楽しみに。