Ubuntu Weekly Recipe

第94回オンラインストレージサービス"Ubuntu One"を使用する

Ubuntu Oneとは

Ubuntu Oneは、Ubuntu 9.10から標準で使用できるようになるオンラインストレージサービスです。DropboxWindows Live Syncのようなサービスといえばわかりやすいでしょうか[1]⁠。アカウントをサインアップし、特定のフォルダに置いたファイルを自動的にサーバにアップロードします。ほかのPCに同じアカウントでログインしたら、自動的に同期します。また、Webインターフェースでのアップロードやダウンロードも可能です。今のところファイルやフォルダを公開する機能はないようですが、メールアドレスを知っている特定の人とファイルやフォルダを共有する機能はあります。

Ubuntu Oneのプランは、無料で2GBと月10ドルで50GBの2種類のプランがあります。これはほぼDropboxと同様です[2]⁠。Ubuntu Oneのクライアントはオープンソースライセンスで配布されていますが[3]⁠、パッケージとして配布されているのはUbuntu 9.04用とUbuntu 9.10用のみです。サーバはプロプライエタリですが、今のところオンラインストレージサービスのサーバがオープンソースという方がまれでしょう。

Dropboxなどほかのサービスとの違いは、Ubuntuに標準で含まれていることと、EvolutionやTomboy、Firefoxのデータと同期できることが挙げられます。逆にDropboxよりも劣るのは、事実上Ubuntuでしか使用できないことです。WindowsやMacなどほかのプラットフォーム用のクライアントがなく、使用する場合はWebブラウザが必須でしょう。しかも、Operaでは注意点があるようです

アカウントをセットアップする

Ubuntu Oneが始まった時は、初期のニコニコ動画のように申請してから登録されるまでかなりのタイムラグがありましたが、今はLaunchpadのアカウントがあれば即使用可能になります。もちろん、アカウントがなければ登録すればいいだけです。なお、ここではUbuntu 9.10 RCを使って一連の作業を行います。

[アプリケーション]-[インターネット]-[Ubuntu One]をクリックすると、Firefoxが起動します。Launchpadのアカウントがある場合はメールアドレスとパスワードを入力しますが、ここではないものとして、登録から行います。[What is your e-mail address?]に登録したいメールアドレスを入力し、[Do you have a Launchpad password?]は[No, I want to create an account now]を選択し、[Continue]をクリックしてください。

図1 登録したいメールアドレスを入力する
図1 登録したいメールアドレスを入力する

すると、入力したメールアドレスにメールが送信されます。そのメールにあるリンクをクリックすると、表示名とパスワードを入力するページが表示されます。それぞれ入力して、[Continue]をクリックしてください。

図2 登録したいメールアドレスにメールを送信したことを告知している
図2 登録したいメールアドレスにメールを送信したことを告知している
図3 表示名とパスワードを決定する
図3 表示名とパスワードを決定する

しばらく待つと、使用するPCのホスト名(コンピュータ名)を登録するページに遷移します。通常はデフォルトのままでいいでしょう。確認して[Scribe and Add This Computer]をクリックします。

図4 コンピュータ名を登録する。これをしないと使用できるようにならない
図4 コンピュータ名を登録する。これをしないと使用できるようにならない

登録が完了すると、Ubuntu OneのWebインターフェースに遷移します。ファイルの共有やアップロード、新しいフォルダの作成はここからも可能です。

図5 Ubuntu OneのWebインターフェース
図5 Ubuntu OneのWebインターフェース
図6 同じところをNautilusで表示したところ
図6 同じところをNautilusで表示したところ

あとは、同期したいファイルをUbuntu Oneフォルダに移動ないしコピーするだけです。

Tomboyでメモの同期

Tomboyはいわゆる付箋紙ソフトで、メモを登録するのに使います。この内容が同期できると便利ですね。そこで、この利用方法を紹介します。

まずは[アプリケーション]-[アクセサリ]-[Tomboyメモ]でTomboyを起動します。サンプルとして次のようなメモを登録します。

図7 登録テスト
図7 登録テスト

次は同期に必要な設定です。[全てのメモの検索]から[編集]-[設定]をクリックするか、通知スペースのTomboyのアイコンを右クリックして[設定]を選択し、設定画面を表示させてください。[同期]タブを開き、[Connect to Server]をクリックします。

図8 Tomboyの同期の設定
図8 Tomboyの同期の設定

すると、図4と同じくコンピュータ名を登録するページがFirefoxで表示されます。デフォルトで"None"なので、任意に入力してください。通常は図4で登録したものと同じで問題ありません。[Add This Computer]をクリックすると、[Tomboy Web Authorization Successful]というページに遷移します。あとはTomboyの設定に戻り、[保存]をクリックします。

図9 [保存]をクリックして表示されるダイアログ
図9 [保存]をクリックして表示されるダイアログ

ここで[はい]をクリックすると、同期が開始します。

図10 同期中
図10 同期中
図11 同期完了
図11 同期完了

Webインターフェースでメモを確認することもできます。

図12 Webインターフェースでメモを表示。図7と同じ内容であることを確認する
図12 Webインターフェースでメモを表示。図7と同じ内容であることを確認する

ファイルの共有

ファイルの共有も簡単にできます。もちろんWebインターフェースからもできますが、ここではNautilusでのやり方を解説します。まずはUbuntu Oneフォルダの中に共有したいファイルあるいはフォルダを作成します。ここの例では、[公開用]というフォルダを使用します。フォルダを作成し、右クリックして[Ubuntu Oneで共有する]をクリックします。

図13 Ubuntu Oneで共有するをクリックする
図13 Ubuntu Oneで共有するをクリックする

するとダイアログが表示されるので、共有するメールアドレスと共有名をクリックし、[Share]をクリックしてください。

図14 共有のダイアログ
図14 共有のダイアログ

入力したメールアドレスにメールが送信されるので、指示にしたがって承認すると、[Shared With Me]フォルダの下に先ほど設定した共有名のフォルダが作成されます。これで無事に共有できたことになります。

図15 共有成功!
図15 共有成功!

最後に注意

執筆段階を含め、Ubuntu 9.10リリース直前直後はUbuntu Oneのサービスが不安定で、うまく動作しないこともあるかと思います。筆者も何度もサーバエラーに遭遇し、執筆を諦めなくてはいけないかと思ったくらいです。よって、当面はあまりシビアな用途には使用しない方がいいでしょう。Dropboxなどほかの類似サービスと併用するのも有効な手段です。

次回も、Ubuntu 9.10での大きな変更点を紹介する予定です。

おすすめ記事

記事・ニュース一覧