第109回では、UbuntuをHDD&DVDレコーダRD-S502のDLNAクライアントとして使う方法を紹介しました。今回も、UbuntuからRD-S502を活用する方法を紹介します。
Wake On LAN
RD-S502は、マジックパケットに反応するので、wakeonlanコマンドで電源を入れられます。wakeonlanパッケージをインストールしていない場合は次のコマンドでインストールします。
wakeonlanコマンドは、RD-S502のMACアドレスをつけて次のように使います。
マジックパケットを送ってから、ブラウザからのアクセスに反応するようになるまで30秒ほどの時間があるので、sleepコマンドを使って、次のように実行すると便利です。
ただし、電源投入の指令にいつでも反応するわけではなく、本体の表示窓に時刻とともに次のように表示され、バックグラウンドで処理を行っているときは反応しません。
pingには反応しても、ブラウザからのアクセスに反応しない場合は、このようなバックグラウンド処理中なので、本体が置いてあるところまで行って、電源を投入しなければなりません。
Javaアプレット
ブラウザからアクセスできる画面では、Javaアプレットを使う機能がいくつかあります(図1)。
これらを使うにはJava用のブラウザプラグインをインストールする必要がありますが、Ubuntuでインストールできるプラグインは2種類あります。
mainリポジトリのIcedTeaプラグインと、multiverseリポジトリのSun社製のプラグインです。
RD-S502と接続する場合にはSunのプラグインの方が安定している印象を受けます。しかし、筆者が必要とするのは「ネットdeリモコン」で電源を切ることだけなので、IcedTeaプラグインで十分です。
IcedTeaプラグインは次のコマンドでインストールします。
Sunのプラグインをインストールする場合は次のコマンドを使います。
IcedTeaプラグインを使う際の注意として、ログインが成功していないように見えるという問題があります。
アプレットを起動したときに、ユーザ名とパスワードの入力を求められますが、正しいユーザ名とパスワードを入力しても、再び入力画面が出てきてしまいます。ログイン自体は成功しているので、2回目の入力画面では「キャンセル」をクリックすると、アプレットが使用できます。
録画ファイルのダウンロード
アナログ放送を録画したものをDLNAで配信可能な設定になっている場合、Ubuntuからwgetコマンドなどを使って簡単にダウンロードできます。そうすることで、Ubuntu側にテレビ録画のためのハードウェアやソフトウェアを用意しなくても、録画したファイルを入手できます。
そのために、まずファイル名の特定が必要ですが、第109回で紹介した要領で、TotemでRD-S502内のファイルを再生し、再生一覧を表示させます。再生しているファイルを右クリックし「場所のコピー」をクリックするとファイルのURLがコピーされます(図2)。
ファイルのURLを取得するだけなら、upnp-inspectorを次のコマンドでインストールして使う方法もあります。
[アプリケーション]-[プログラミング]-[UPnP Inspector]から起動し、DLNAサーバの項目を右クリックして「browse MediaServer」を選択します。
サーバ内のファイルが表示されるので、URLを取得したいファイルを選択し、「DIDL-Lite:res」の項目を右クリックして「copy URL」を選択します(図3)。
wgetコマンドとコピーしたURLを使って次のように実行すれば、録画したファイルをそのままダウンロードできます。
中断したダウンロードを再開する場合には、「-c」オプションをつけます。すると、前回の続きからダウンロードできます。
このようにURLを取得できればダウンロードできるのですが、ネットワーク上のファイル再生に対応しているプレーヤであれば、ダウンロードしなくても、URLを入力してストリーミング視聴できます。DLNAクライアントの機能を持たないプレーヤでも、DLNAサーバに保存された映像が視聴できるわけです。
録画ファイルを携帯電話で持ち出す
動画ファイルをUbuntu上でau携帯電話向けに変換して持ち出す方法を紹介します[1]。
Ubuntu上で変換すると言っても、Ubuntu 9.10のリポジトリにあるffmpegの関連パッケージでは、音声をAACでエンコードできません。そこで、Medibuntuからパッケージをインストールすることにします。
必要なパッケージは、以下の4つです。
Ubuntu 9.10 x86の場合は次のように実行してダウンロードします。
続いて次のコマンドでインストールします。
ffmpegコマンドは次のようにして、実行します。筆者所有のW56Tで再生を確認したものですが、au携帯電話はプラットフォームが共通化されているため、KCP+採用機種では問題なく再生できるでしょう。
変換後のファイルは、microSDのルートからみて、「PRIVATE/AU_INOUT」に保存します。
保存したファイルは、携帯電話メニューの[microSDメニュー]-[PCフォルダ]に表示されます。