PulseAudioに流れている音声ストリームは、pavucontrolでコントロールすることができます。pavucontrolを表示してPlaybackタブを見ると、現在再生されている音声を見ることができます。音声はほとんどの場合マザーボードに搭載されているサウンドデバイスに出力されていると思いますので、「ALSA Playback on Internal Audio Analog Stereo」が表示されているはずです。
図1 PulseAudio Volume ControlでのALSA Plug-in
マザーボードに搭載されているサウンドデバイスではないものを使っていたり、サウンドデバイスのプロファイルでデジタル出力や7.1チャンネルサラウンドを選択しいる場合は、「ALSA Playback on Internal Audio Analog Stereo」ではないものが表示されます。このような環境であれば、これ以降の「Internal Audio Analog Stereo」を適宜読み替えてください。
また、複数のサウンドデバイスを使える環境であれば、PulseAudioで音声の出力先デバイスを自由に変更することができます。たとえば、AMD (ATi) のHDMI音声出力内蔵のGPUを利用している場合、「R*** Digital Stereo (HDMI)」などといったデバイスが選択肢に表示されます。筆者はCreativeのEMU 0404 USBというUSB外付けオーディオインターフェースを使っていますが、「E-Mu 0404 Analog Stereo」が選択肢に表示されます。アプリケーションの音声出力先をこれらに指定すると、そちらから音声を出力するようになります。
OKで設定を適用したら、ウインドウ上部の録音ボタンを押し、録音のスタンバイに入ります。そしてpavucontrolに戻ると、RecorderタブにAudacityが表示されます。先ほどと同じように、「Monitor of Internal Analog Stereo」を選択してください。音声が流れたらAudacityが録音を開始します。
図5 Monitor of Internal Analog Stereoを選択図6 録音中のAudacity
PulseAudioは、一種の「デジタルパッチベイを兼ねたミキサ」として機能するため、「接続するケーブルをつなぎかえる」「あるサウンド入力を別の場所に流す」といったことができます。例えば、これまで録音ソフトウェアに流す音声として、「Monitor of Internal Analog Stereo」を選択してきましたが、これは「今このサウンドデバイスで再生されている音」、つまりFlashや音楽プレイヤーなどの音声、OSからの各種サウンドなど、サウンドカードに流れ込んでいる音声すべてをモニタリングしていたわけです。
ここで、Recordingタブでアプリケーションに流す音声を、デフォルトの「Internal Analog Stereo」にしてみましょう。すると、「サウンドデバイスに外部から入力された音」が流れます。具体的には、例えばマイク入力になるため、ラジオやレコードプレーヤーの出力ラインをつなぐと、一般的なデジタルレコーダーとして振る舞います。
Audacityでライン入力を視聴しながら録音したい場合は、Audacityの設定ウインドウの項目「録音」において、「ソフトウェアによるスルー再生」を有効にしてください。録音を開始すると、pavucontrolのPlaybackタブにAudacityが表示されますので、出力したいサウンドデバイスを指定します。今回は「Internal Analog Stereo」に出力してあげます。