Ubuntu Weekly Recipe

第139回UbuntuにおけるFirefox

ご存知の通りUbuntuの標準ウェブブラウザはFirefoxです。しかし、過去138回を数えるこの連載では、Firefoxについて詳しく触れていませんでした。そこで今回は、UbuntuでFirefoxを使うポイントを紹介します。

アドオンをAPTでインストールできる

アドオンは、Firefoxメニューの[ツール]-[アドオン]から、またはMozilla.orgのアドオン配布ページからインストールできます。

さらにUbuntuやDebianでは、Firefox用のアドオンのうち代表的なものがパッケージとして提供されています。膨大な数のアドオンの中から自分に合ったものを探すのは大変なので、まずはすでに一定の人気があってパッケージ化されている中から探してみるといいでしょう。

また、APTを使うと、Ubuntuシステム上の全ユーザ、Firefoxの全プロファイルにアドオンをインストールできます[1]⁠。筆者のようにFirefoxのプロファイルを5つ使い分けていて、Flashblockなどの必須アドオンを全プロファイルにインストールするのが面倒だという場合に重宝します。

Ubuntu 10.10のリポジトリでは、標準状態でインストールされるubufoxを除いて、次のようなパッケージが利用できます。

  • xul-ext-adblock-plus - 広告をブロックする
  • xul-ext-all-in-one-sidebar - サイドバーの機能を拡張する
  • xul-ext-bindwood - Firefoxのブックマークをcouchdbと同期する(Ubuntu Oneで使用)
  • xul-ext-downloadstatusbar - ダウンロード時のステータスバー表示を改善する
  • xul-ext-firebug - Web開発用のプラグイン
  • xul-ext-firegpg - ブラウザ上でGnuPGを使う
  • xul-ext-flashblock - Adobe Flashコンテンツをブロックする
  • xul-ext-flashgot - 外部のダウンロードマネージャをFirefoxから使う
  • xul-ext-gears - Webアプリケーションをより強力に使う
  • xul-ext-gnome-pm - GNOMEの電源管理との統合
  • xul-ext-greasemonkey - ユーザのスクリプトでWebページのカスタマイズを可能にする
  • xul-ext-mozgest - マウスジェスチャーを設定する
  • xul-ext-notify - ダウンロード完了のお知らせをNotifyOSDを使って表示する
  • xul-ext-pwdhash - サイトごとのパスワードを生成する
  • xul-ext-sync - デバイス間でブックマーク、パスワード、その他のデータを同期する
  • xul-ext-webdeveloper - Web開発者用のツール集

日本/日本語環境へのローカライズ

UbuntuのFirefoxパッケージは、ローカライズのためのデータを含まない単一のソースコードからビルドされています。そのため、Mozillaが提供している日本語版Firefoxと比べると、日本でよく使われる検索エンジンのデータが入っていないなど、足りない部分があります[2]⁠。

UbuntuのFirefoxでMozillaの日本語版と同じ検索エンジンを使えるようにするには、次のコマンドでMozillaのリポジトリからファイルを取得して配置します。ここでは特定のプロファイルに対してインストールするので、⁠xxxxxxxx.PROFILE_NAME」の部分は環境に合わせて変更してください。

$ wget http://hg.mozilla.org/l10n-central/ja/archive/tip.tar.bz2
$ tar xjf tip.tar.bz2
$ cd ja-*/
$ cp browser/searchplugins/* ~/.mozilla/firefox/xxxxxxxx.PROFILE_NAME/searchplugins/

Firefoxを再起動すると、日本向けの検索エンジンが追加されます図1⁠。

図1 日本向けの検索エンジンが追加された
図1 日本向けの検索エンジンが追加された

Mozilla Japanの検索エンジンのインストールページでは、追加の検索エンジンをインストールできます。

また、OpenSearchプラグインに対応したページ(Wikipedia日本語版、YouTubeなど)を開くと検索バーのアイコンの背景色が変化するので、アイコンをクリックして検索エンジンを追加できます図2⁠。

図2 OpenSearch対応ページでも検索エンジンを追加できる
図2 OpenSearch対応ページでも検索エンジンを追加できる

余談ですが、Launchpad用の検索エンジンを追加する"firefox-launchpad-plugin"というパッケージも提供されています図3⁠。

図3 Launchpad用の検索エンジンもある
図3 Launchpad用の検索エンジンもある

それぞれの役割は次のようになっています。

Bug Lookup
バグ番号を入力し、バグ報告ページへ飛びます。例えば"1"と入力して検索した場合には、有名なLP: #1のページへ飛びます。
People / Team Search
Launchpadに登録しているユーザ・チームを検索します。
Ubuntu Bugs Search
名前の通りUbuntuのバグを検索します。ただし筆者がバグを検索する際にはGoogleのサイト内検索(site:bugs.launchpad.net/ubuntu/)を使っています。
Ubuntu Package Bug List
Ubuntuパッケージに対して報告されているバグのリストを表示します。
Ubuntu Package Search
Ubuntuのパッケージを検索します。ただし、アーカイブサーバから消えてしまったバージョンを手に入れたいという場合でなければ、Ubuntu Packages Searchを使ったほうが便利かもしれません。
Ubuntu Specification Search
Blueprintsを検索します。
Ubuntu Support Search
Answersを検索します。

Launchpadのバグ報告を読みやすく

Ubuntuにはバグと日々格闘するBug Squadというチームがあります。このメンバーを主な対象として提供されているLaunchpad用のGreasemonkeyスクリプトは、バグと闘うときだけでなく、バグ修復の進捗状況をただ確認するときにも役立つので紹介しておきます。

まずは次のコマンドを実行してPPAリポジトリの追加とパッケージのインストールをします。

$ sudo apt-add-repository ppa:gm-dev-launchpad/ppa
$ sudo apt-get update && sudo apt-get install firefox-lp-improvements

Firefoxを再起動して、LaunchpadのBugsページを開いてみると、追加情報が表示されるようになっているのに気づくでしょう図4⁠。firefox-lp-improvementsはバグのページ上に、Launchpadでの活動の活発度を示すKarmaや、バグのImportance(重要度)を決める権限を持つ"ubuntu-bugcontrol"の一員であることを示すチェックマークのアイコン、"ubuntu-dev", "ubuntu-core-dev"などのメンバーシップに応じたアイコンを表示します。

このような情報が表示されることで、コメント欄が長く続いているときでも、⁠俺のところでもそのバグ影響あるから早く直せや」といったバグを直す上で役に立たないコメントに惑わされることなく、状況と進捗を素早く把握できます。

注目しているバグがなかなか直らなくてイライラしてしまう場合でも、⁠早く直せや」コメントを残さず、"affect me(私にも影響がある)"ボタンをポチッと押して、忍耐強く待っていただけたらと思います図5⁠。

図4 LaunchpadのBugsページにKarmaやメンバーシップに応じたアイコンが表示されるようになる
図4 LaunchpadのBugsページにKarmaやメンバーシップに応じたアイコンが表示されるようになる
図5 バグ報告の上部にある"affect me"ボタン。ポチッと押して忍耐強く待とう
図5 バグ報告の上部にある

Ubuntuの標準ブラウザはChromiumに取って変わられるんじゃないかと言われていますが、Ubuntu 10.10でもFirefoxは標準ブラウザの座を守っています。Firefoxとの付き合いがマンネリ化してしまったと言わず、APTでのアドオンインストールやLaunchpadとの親和性など、あなたが知らなかった一面に触れてみてください。

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