Ubuntu Weekly Recipe

第151回Ubuntu 10.10で4世代目iPod touchをマウントする

UbuntuとiPod

Ubuntu 10.04、正確には搭載されたGNOME 2.30の新機能として、iPodがマウントできるようになりました。その後、iPhone/iPodは新機種が発売され、iPadも登場しました。OS(iOS)のバージョンも上がっています。そんな理由で、以前はiPodをマウントできたけど今はできなくなってしまったというケースも多いのではないでしょうか。

今回は筆者が所有している4世代目iPod touch(2010年9月発売)をマウントする方法を紹介します。OSは執筆段階で最新バージョンのiOS 4.2.1です。これ以外での機種では動作確認しておりません。あらかじめご了承ください。

以後、この4世代目iPod touchを略してiPodと呼びます。

注意:
今回の手順を踏むことで、iPhone 4とそれ以前、iPod touchもより古いものでも動作すると思われますが、iPadは不明です(iPadでも動作するかとは思いますが……⁠⁠。
また、上述のiPod touchのみしか持っていないため、この機種、このバージョンで動かないというご報告をいただいても対応できませんので、あらかじめご了承ください(確認のしようがありません……⁠⁠。今後も可能な限りバージョンアップを行っていくつもりですが、それをお約束するわけではないことも併せてご了承ください。

パッケージのアップデート

本音としてはUbuntu 10.04でも動作させたかったのですが、パッケージ名の関係上Ubuntu 10.10のみです。インストールはPPAから行います。端末を起動して、次のコマンドを入力してください。

  1. リポジトリを登録する

    sudo add-apt-repository ppa:ikuya-fruitsbasket/ipod-touch4th
  2. アップデートをする

    sudo apt-get update
    sudo apt-get upgrade

これだけです。必要なパッケージはすでにインストールされているため、純粋にいくつかのパッケージのアップデートだけになります。一度ログアウトして再ログインし、iPodを接続すれば使えるようになるはずですが、うまくいかなかったら再起動してください。

マウントしない場合の確認方法

いくつかの環境で試してみたところ、うまくいく場合と、うまくいかずにdbusのエラーが出る場合とありました。うまくいかない場合は、次のことを試してみてください。

  1. libimobiledevice-utilsをインストールする

    sudo apt-get install libimobiledevice-utils
  2. 次のコマンドを実行する

    idevicepair unpair
    idevicepair pair
    idevicepair validate

一度USBケーブルを抜き、もう一度挿せばマウントするはずです。もしうまくいかなかったら、やっぱり再起動してみてください。

これでもうまくいかない場合は、残念ながら非対応である可能性が高いです。

図1 マウントに成功した場合のデスクトップ
図1 マウントに成功した場合のデスクトップ

音楽再生

Ubuntu標準のRhythmboxでも、UbuntuソフトウェアセンターからインストールするBansheeでも、iPodに入っている音楽を再生することができます[1]⁠。

Rhythmboxだとデバイスを右クリックしたメニューにある[デバイスと同期]で、Bansheeだとデバイスをクリックすることで[2]⁠、同期するメニューを表示することができます。ただし、同期を試す前に、事前にiTunesで同期しておくのを忘れないようにしましょう。操作ミスがあっても、簡単に復旧することができます。

図2 Rhythmboxの同期メニュー。この状態で同期すると消えてしまうので注意!
図2 Rhythmboxの同期メニュー。この状態で同期すると消えてしまうので注意!
図3 Bansheeの同期メニュー。左をよく見るとすべての曲がビデオに分類されているので、何らかの問題が起きている可能性がある
図3 Bansheeの同期メニュー。左をよく見るとすべての曲がビデオに分類されているので、何らかの問題が起きている可能性がある

原則として同期はiTunesで行うようにし、これらのアプリケーションでの同期は補助的に行うべきでしょう。餅は餅屋です。

フォルダを覗いてみる

Nautilusでファイルを覗いてみると、いろいろと興味深いことがわかります。音楽ファイルは[iTunes_Control]-[Music]以下にありますが、ファイル名はF+連番で、それ以下のフォルダを見ても、ファイル名からどの曲かわかるようにはなっていません。同期すると、すべてのファイル名が変更されるようです。何らかのツールを使わないと同期できないことがわかります。

iPodにEPUB/PDFリーダであるiBooksをインストールし、いくつかのEPUBファイルを同期すると[Books]フォルダ以下に配置されますが、EPUBが解凍された状態になっています[3]⁠。つまりどういうことかというと、気軽にNautilusでマウントしてファイルをやりとりすることは、きわめて難しいのです。しかし、よくよく考えてみるとiOSとはこういうもので、NautilusなりFinderなりに相当するアプリケーションは、標準では添付されていません。必ずiTunesを経由しなさいということなのでしょう。USBメモリのように手軽にファイルのやりとりができ、さまざまなファイラーが存在するAndroidとは対照的ですが、設計思想の違いなので、どちらがいいかということではありません。このような違いがあるというのを頭の片隅に置いておくといいでしょう。

図4 iTunesのフォルダ
図4 iTunesのフォルダ
図5 ファイル名が変更されて何かわからないが、プロパティを見るとMYXQ.m4aは「冬の日(StudioMix)」であることがわかる
図5 ファイル名が変更されて何かわからないが、プロパティを見るとMYXQ.m4aは「冬の日(StudioMix)」であることがわかる

iPodで再生できるCodec

iPodでは、音楽はMP3とMPEG4(AAC)、動画では同じくMPEG4(H.264)が主に使われています。これらはUbuntuでもエンコードすることができます。

Rhythmboxでリッピングできるようにするためには、ubuntu-restricted-extrasをインストールします。あとは[編集]-[設定]-[フォーマット]で[CD Quality, AAC]を選択するだけです。ただし、メタタグのデータベースはiTunesのほうが充実していますので、データを取得できない場合はiTunesを使うか、自分で登録する必要があります。

図6 AACでリッピングするための設定
図6 AACでリッピングするための設定

今までにリッピングしたOgg Vorbisなどの曲をAACに変換(トランスコード)したい場合は、UbuntuソフトウェアセンターからSound Converterをインストールしてください。[アプリケーション]-[サウンドとビデオ]-[サウンド変換]で起動し、[編集]-[設定]の[フォーマット]を[AAC(.m4a)]にします。あとはファイルやフォルダを追加して変換してください。

図7 SoundConverterの画面。あとは[変換]をクリックするだけだ
図7 SoundConverterの画面。あとは[変換]をクリックするだけだ

動画のエンコードには詳しく触れませんが、AvidemuxやHandbrakeを使うと簡単です。ただし、HandbrakeのパッケージはUbuntu 10.10には存在しません[4]⁠。PPAにスナップショットがあるため、必要であればこちらからインストールしてください。なお、スナップショットの特性上、タイミングによっては動作しない可能性もあります。

まとめ

ここまでお読みいただければわかりますが、UbuntuとiPodは相性がいいとは言えません。やはりiTunesありきでiOSのバージョンも上がり、新機種も精力的に発売されている現状、これに対応するのは容易ではありません。iPodをUbuntuで使うために購入しようと考えている方は、この点も考慮するべきでしょう。本稿執筆時点において、CreativeがAndroidを搭載した音楽プレイヤーを発売する予定ということなので、こちらも検討してみるといいかもしれません。

おすすめ記事

記事・ニュース一覧