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第366回Ubuntuのディスク管理ツールを活用する

今回はUbuntuにインストールされているディスク管理ツール(Disks)の解説をします。

Disksとは

DisksはUbuntuとUbuntu GNOMEにインストールされているディスク管理ツールです。GNOMEに由来するのですが、GNOMEはコアアプリケーションの名称をシンプルなものにしています。この⁠Disks⁠もそうですし、ファイルブラウザーは⁠Files⁠⁠、Webブラウザーは⁠Web⁠です[1]⁠。本稿ではディスク管理ツールと称します。

このディスク管理ツールはHDDやSSDのほか、光学メディアやUSBメモリー、SDカードなどあらゆるデータを読み込み/書き込みできるものが扱えますが、ここでは便宜上⁠ディスク⁠と総称します。

ディスク管理ツールがどのバージョンのUbuntuから使えるようになったのかは正確には確認できませんでしたが、少なくとも8.04にはなく、10.04にはありました。当時のプログラム名は⁠palimpsest⁠でした図1⁠。これは12.04まで採用されていましたが、12.10以降は完全に書き換えられ、⁠gnome-disks⁠というプログラム名になりました図2⁠。今回はこの⁠gnome-disks⁠を対象とするため、12.04ユーザーは対象外となります。検証環境は14.04です。

図1 Ubuntu 12.04の⁠palimpsest⁠です。うちにはもう実機がないので、仮想マシンのです。
図1 Ubuntu 12.04の“palimpsest”です。うちにはもう実機がないので、仮想マシンのです。
図2 Ubuntu GNOME 14.04の⁠gnome-disks⁠です。筆者が現在メインで使用しているPCのスクリーンショットです。合計17.5TBですが、近日中に20.5TBに増強予定です。
図2 Ubuntu GNOME 14.04の“gnome-disks”です。筆者が現在メインで使用しているPCのスクリーンショットです。合計17.5TBですが、近日中に20.5TBに増強予定です。

あまりにも当たり前すぎるのか、あるいは存在感がないのか、多機能で便利なツールなのですが、あまり語られることがありません。と言うわけで、今回ピックアップすることにしました。

起動と概要

Unity Dashで⁠disks⁠(引用符は不要)などで検索すれば「ディスク」が表示されるので、これをクリックして起動します。図3が起動直後の画面です。

図3 ディスク管理の起動直後の画面
図3 ディスク管理の起動直後の画面

正直なところパッと見た感じではわかりにくいので、ひとつひとつ解説して行きます。

右上の大きな歯車アイコン

ディスクに関するサブメニューが表示されます。詳しくは後述します。

「デバイス」の右にあるチェック

これをクリックすると複数のディスクが選択できるようになります。選択すると左下に箒らしきアイコンが表示され、初期化できます。複数のディスクを初期化する場合に便利です[2]⁠。選択を終わらせる場合は[完了]をクリックします。ちなみにGNOME 3.14(Ubuntu 15.04)以降からはなくなっています[3]⁠。

パーティションの右下にある★アイコン

これはどうもシステムで管理していることを意味するようです。具体的には/etc/fstabなどです。

パーティションの右下にある▶(三角)アイコン

マウントしている場合に表示されます。

パーティションの下枠にある■アイコン

選択しているパーティションをアンマウントします。

パーティションの下枠にある―アイコン

選択しているパーティションを削除します。その必要がある場合は、まずはここで削除するようにすると良いでしょう。

パーティションの下枠にある小さな歯車アイコン

選択しているパーティションについてのサブメニューを表示します。

ディスクのサブメニュー

ディスク(大きな歯車アイコン)のサブメニューの機能について解説します図4⁠。

図4 ディスクのサブメニュー
図4 ディスクのサブメニュー
初期化

ディスクを初期化できます。ゼロ書き込みもできますが、本当に完全にデータを上書きしたい場合はshredコマンドを使用したほうが良いでしょう。

ディスクイメージを作成

ディスクイメージ、すなわちディスクのバックアップを取ることができます。詳しくは後述します。

ディスクイメージをリストア

上記の「ディスクイメージを作成」で作成したイメージをリストアできます。

ベンチマーク

ディスクの読み込み/書き込みベンチマークを取ることができます。ただし、アンマウントしている必要があります。警告がありますが、書き込みテストを行う場合は使い込む前にしたほうが良いでしょう。結果はグラフで表示されます図5⁠。

SMARTのデータとセルフテスト

SMARTのデータ表示と、さらなるテストができます図6⁠。ただ、SMARTの結果を読み取るのは非常に困難であるということは常に頭に入れておきましょう[4]⁠。セルフテストは「短い」⁠拡張」⁠伝達」から選択できます。

ドライブの設定

APMと書き込みキャッシュの設定が変更できますが、よほどの理由がない場合変更しないほうが良いでしょう。

今すぐスタンバイ

対応している場合、有効になります。

電源オフ

対応している場合、有効になります。

図5 ベンチマークの結果
図5 ベンチマークの結果
図6 SMARTの結果
図6 SMARTの結果

パーティションのサブメニュー

パーティション(小さな歯車アイコン)のサブメニューの機能について解説します図7⁠。すべて選択しているパーティションに関しているため、別パーティションを選択した場合は表示される項目が変わることがあります。

図7 パーティションのサブメニュー
図7 パーティションのサブメニュー
初期化

パーティションを初期化します。ディスク全体の初期化よりも選択・設定できることが増えています。具体的にはラベルの設定が可能などです[5]⁠。

パーティションを編集

パーティションのタイプを変更できますが、通常は変更する必要はないでしょう。

ファイルシステムを編集

パーティションのラベルを変更できます。設定されていない場合は設定できます。

パスフレーズを変更

パーティションが暗号化されている場合、パスフレーズの変更ができます。

マウントオプションの編集

/etc/fstabを編集できます。変更にはfstabに関する高度な知識が必要ですので、通常は変更しなくても良いでしょう。

暗号化オプションを編集

パーティションが暗号化されている場合、オプションを変更できます。

ディスクイメージを作成

パーティションのディスクイメージを作成できますが、パーティションだけのディスクイメージはディスクまるごとと比較して扱いが難しいので、この機能を使うかはよく検討してください。

ディスクイメージをリストア

「ディスクイメージを作成」で作成したイメージをリストアできます。

ベンチマーク

ベンチマークを取ることができます。HDDの場合はパーティションによって速度差が出ることもあるので、その計測に使用すると便利かも知れません[6]⁠。

応用例1:ディスクのバックアップ

と、ここまで見てきたように、普通に使うだけでも便利そうに思いますが、応用例を2つばかり紹介します。

まずはディスクのバックアップですが、これは普段使用してるディスクのバックアップには向きませんが、例えば第362回で作成したmicroSDHCカードのバックアップしておくと便利です。コピーする場合は同じ容量のmicroSDHCカードが必要となりますが、いまどき8GBや16GBのmicroSDHCカードはどうでもいい価格で販売されているので、特に理由がなくても複数購入しておくと良いでしょう。今回は試しませんでしたが、第362回にあるパーティションの作成はコマンドで行われていますが、このディスク管理ツールでも作成することができます[7]⁠。

「ディスクイメージを作成」機能を使う場合の注意点は、そのディスクの実容量の分だけバックアップ先の空き容量が必要です。例えファイルがひとつもなかったとしても、8GBのmicroSDHCカードをバックアップする場合は8GBの空き容量が必要ということになります。ただ、⁠ディスクイメージをリストア」を見るとxzで圧縮してあってもリストアできるようなので、バックアップ完了後圧縮するのも良いでしょう。圧縮したいバックアップファイルを右クリックし、⁠圧縮」をクリックします。するとダイアログが表示されるので、拡張子を⁠xz⁠にするのが簡単です。ただ、圧縮するのに時間がかかるので、gzあたりにしておくのも良いでしょう。そのあたりは利便性との兼ね合いで決めてください。また、場合によっては圧縮しても全くサイズが変わらないこともあります。

応用例2:USBメモリーの暗号化

普段持ち歩くUSBメモリーを暗号化したい場合、どういった方法が一番簡単なのかを調べてみると、どうやらこのディスク管理ツールを使用するのが一番簡単のようでしたので、ここで紹介します。

作業前に、まずは⁠cryptsetup⁠パッケージがインストールされているか確認してください。インストールされていない場合はインストールしてください。

手順は箇条書きで紹介します。

  1. USBメモリーを接続する
  2. USBメモリー内に必要なファイルがある場合は、事前に退避させておく
  3. ディスク管理ツールを起動する
  4. 対象のUSBメモリーを選択する
  5. ■アイコンをクリックし、アンマウントする
  6. ―アイコンをクリックし、パーティションを削除する
  7. +アイコンをクリックし、パーティションを作成する。その際「タイプ」「暗号化、Linuxシステムと互換 (LUKS + Ext4)」にする。すると「パスフレーズ」「パスフレーズを確認」が追加されるので、パスフレーズを入力する。設定が終わったら「作成」をクリックする図8
図8 暗号化パーティションの作成
図8 暗号化パーティションの作成

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