Ubuntu Weekly Recipe

第402回SystembackでUbuntuをホットバックアップする

今回はSystembackというUbuntuで動作するホットバックアップやライブイメージ作成を行うツールを紹介します。

バックアップは大事です

第399回執筆後に筆者のメインPCのHDDが故障しました。その前からHDDの読み書きに異常に時間がかかるようになり、それでも無理して使用していたのですが、突然リードオンリーになってしまいました。いよいよダメだということで新しいHDDを購入し、データをコピーしました。

どうしても読み出せないセクタがあり、いくつかのファイルはコピーできませんでしたが、そのうち甚大な被害となるところだったVirtualBoxのゲストOSになっているWindows 10のスナップショットファイルは、辛くもバックアップがあったのでなんとかなりました。ご存知のとおり、Windows環境の再構築には多大な時間がかかるため、大変助かりました。バックアップは大事です。

図1は、読み出せないセクタがあるにもかかわらず正常だと主張するS.M.A.R.T.の結果です。⁠S.M.A.R.T.の結果として」は正しいですが、S.M.A.R.T.の結果とHDDの故障はユーザーの感覚として必ずしも一致しないことの参考になるのではないかと思います。

図1 どう見ても故障なのに正常と主張するS.M.A.R.T.の結果
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Systembackの概要とインストール

Systembackは、第399回で取り上げたTimeShiftよりも高機能でカスタマイズできるところが多いため、便利な場面も多いでしょう。特筆すべき機能としては、ライブイメージの作成があります。ここではスナップショットの作成、ライブイメージの作成、リストアの3つにしぼって紹介します。

SystembackもTimeShiftと同じくUbuntuのリポジトリではなくPPAからインストールします。次のコマンドを実行してください。

$ sudo add-apt-repository ppa:ppa:nemh/systemback
$ sudo apt-get update
$ sudo apt-get install systemback

なお、執筆時点ではUbuntu 14.04、15.04、15.10、16.04のパッケージが用意されています。

インストールするとメニューに登録されるため、そこから起動してください。UbuntuだとDashからです。端末からは起動しないほうがいいでしょう。理由は後述します。

起動と初回スナップショット作成

Systembackを起動すると、ユーザー名とパスワードを入力するダイアログが表示されるのですが、今までに見たことがないデザインです図2⁠。権限を取得するアプリケーションも自前で用意しているということなのですが、なかなかに驚きです。

図2 Systembackの認証ダイアログ
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正しくパスワードを入力するとパスワードの右横に緑のチェックが入り、そこで[OK]をクリックすると起動します。マウスカーソルを右上に移動すると、最小化ボタンと終了ボタンがポップアップします図3⁠。このようなことまで独自で行っているのですからさらに驚きです。ちなみにマウスカーソルを左上に移動するとウィンドウのDPIを変更することができます。HiDPI環境に優しいです。

図3 メインウィンドウとポップアップした最小化/閉じるボタン
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いよいよ最初のスナップショット作成(バックアップ)を行います。まずは[Storage directory]にスナップショットの保存フォルダを指定します。右横の[...]をクリックするとパスを指定するダイアログが表示されます。今回はボリュームラベルを[backup]にした外付けHDDを用意したと仮定します図4図5⁠。

図4 保存フォルダを指定するウィンドウ
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図5 Storage directoryを指定した
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続いてほぼ中央にある[Point operations][Create new]をクリックします。これでスナップショットを作成します。スナップショットの作成が終わると、⁠Restore points]の下に作成した日付を元にしたラベルが表示されます図6⁠。

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図6 初回のスナップショット作成が完了した

左側のラジオボタンは、スナップショットをいくつまで保存するかを指定しています。例えば上から4番目にラジオボタンがある場合は、スナップショットは4つまで保存されます。次にスナップショットを作成した際は、赤くハイライトされたスナップショットが削除されることになります。

どうしても保存しておきたいスナップショットがある場合は、ラベルの右側にあるチェックボックスにチェックを入れ、⁠Point operations]にある[Hilight]をクリックします。すると[Hilighted restore points]に移動します。これでそのスナップショットはローテーションから外れ、自動的に削除される対象ではなくなります参考⁠。

除外または包含するフォルダやファイルの指定

[Function menu]の一番下には[Exclude]があり、右矢印をクリックして次のページに遷移した一番上に[Include]があります。これは、スナップショットに除外あるいは包含するファイルやフォルダを指定できます。

図7は除外するファイルやフォルダで、⁠Exclude hidden user files and directories from restore points]にチェックが入っています。非常にわかりにくいのですが、これはExclude(除外)からExcludeするという意味で、すなわち左側のリストに入っているファイルやフォルダはスナップショットに含まれています。

図8はまだわかりやすく、左側にあるファイルやフォルダーはスナップショットには含まれておらず、もし包含したい場合は該当のファイルやフォルダを選択して右矢印をクリックしてください。

図7 除外するファイルやフォルダ
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図8 包含するファイルやフォルダ
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というわけで、デフォルトでスナップショットに含まれるファイルやフォルダはTimeShiftと同様です。

ライブイメージの作成

ライブイメージの作成は、まず[Function menu][Live system create]をクリックします。するとライブイメージ作成画面図9に遷移するので、⁠Working directory]を指定します。どこでもいいのですが、スナップショットを作成するフォルダと同じにしておくのがいいでしょう。⁠Name of the Live system(参考訳:ライブシステムの名称⁠⁠]の変更と[Include the user data files(参考訳:ユーザーデータファイルを含める⁠⁠]にチェックを入れるかどうかは任意で決定してください。設定が終わったら、⁠Create new]をクリックして、しばらく待ちます。終了後にダイアログが表示されます図10⁠。このダイアログに表示される参考訳は、⁠ライブシステムの作成が完了しました。作成した.sbliveファイルはペンドライブ(USBメモリのこと)に書き込むことができます」です。これを読んでもわかるとおり、まだISOイメージにはなっていません。ISOイメージにするためには、⁠OK]をクリックしてライブイメージ作成画面に戻り図11⁠、⁠Created Live images]に追加されているのを確認してから[Live operations][Convert to ISO]をクリックします。作業が完了すると、Working directory(作業ディレクトリ)にISOイメージができています。

ISOイメージも同時に作成したい場合は[Function menu][Settings]を開き、⁠Create Live ISO images automatically (faster than the convertion)]にチェックを入れます図12⁠。参考訳は「自動的にライブISOイメージを作成する(変換するより高速⁠⁠」です。その一つ上の[Use XZ compressor for squashfs filesystems]にもチェックを入れておくといいでしょう。参考訳は「squashfsファイルシステムにXZ圧縮を使用する」です。

図9 ライブイメージ作成画面
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図10 ライブイメージ作成後に表示されるダイアログ
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図11 ISOイメージを作成する
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図12 Systembackの設定画面
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作成したISOイメージから起動すると、4つの選択肢が表示されます図13⁠。そのうち使用するのは一番上と二番目でしょう。注意点としては、Ubuntuだと[Boot Live system]から起動してもインストールができますが、Systembackで作成したイメージでは[Boot system installer]から起動しない限りインストールできません。

あと注記すべきこととしては、UEFIブートもサポートしています図14⁠。

図13 ISOイメージからの起動画面
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図14 UEFIからブートした場合のISOイメージ起動画面
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リストア

スナップショットからリストアする場合は、リストアしたいスナップショットのラベルの右にチェックを入れ、⁠Function menu][System restore]をクリックします図15⁠。すると[Restore type][Options]が表示されますが、通常はデフォルトのままでいいでしょう図16⁠。⁠Next]をクリックすると確認のダイアログが表示され、⁠Start]をクリックすると実際にリストアが始まります。あとは待っていればリストアが完了します。

図15 リストアするスナップショットを選択する
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図16 リストアタイプとオプション
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