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第623回LibreOffice 6.4 CalcとMicrosoft Excel 365の関数比較

今回は第438回の更新版として、LibreOffice 6.4 CalcとMicrosoft Excel 365の関数について、対応しているもの、していないものなどを詳細に確認していきます。またLibreOffice Calc 5.3から6.4までの変更点も紹介します。

参考書の紹介

第438回が掲載されてから4年弱の月日が流れましたが、LibreOffice Calcの解説書はありません。最近今すぐ使えるかんたんmini PLUS Excel関数超事典 ⁠2019/2016/2013/2010/365対応版]が刊行されたため、これを参考書として解説を行います。発行は技術評論社のため本連載でおすすめしやすいのはもちろんですが、解説自体もわかりやすくていいと思いますし、その点からもおすすめです。

関数の概要

LibreOffice 6.4 Calc(以下特にバージョン表記がない場合はCalc)とMicrosoft Excel 365(以下特にバージョン表記がない場合はExcel)の関数の数に先に触れておきます。Excelで対応している関数の数は、参考書の表紙にもあるとおり485個で、Excel 2016より9個増えています。これら新しい関数は現在のところCalcではサポートされていません(バグ報告12⁠。

Calcでサポートしている関数は505個で、そのうちExcelと同じ名前の関数は457個です。Calc 5.2では453個だったので4個増えただけのようにみえますが、Calc 5.2ではExcelと名前が同じであるものの互換性のない関数もありました。しかし今回のCalc 6.4では(正確にはもう少し前から⁠⁠、名前が同じで同様の動作を行わない関数は減っています(0になっているかは確認していません⁠⁠。そのため、Calc 5.2よりもExcelとの相互運用性が向上しています。

Excelにあり、Calcにない関数

では個別に見ていきましょう。まずはCalcでは対応していない関数を表にします。26個ありました。対応バージョンが空の関数は、2007以前からあることを示しています。

関数名 Excelの対応バージョン 備考
BINOM.DIST.RANGE 2013 CalcのB関数
CUBEKPIMEMBER Microsoft SQLサーバー用
CUBEMEMBER Microsoft SQLサーバー用
CUBEMEMBERPROPERTY Microsoft SQLサーバー用
CUBERANKEDMEMBER Microsoft SQLサーバー用
CUBESET Microsoft SQLサーバー用
CUBESETCOUNT Microsoft SQLサーバー用
CUBEVALUE Microsoft SQLサーバー用
DATESTRING 日本向け
FIELDVALUE 365
FILTER 365
FORECAST.ETS 2016
FORECAST.ETS.CONFINT 2016
FORECAST.ETS.STAT 2016
FORMULATEXT 2013 CalcのFORMULA関数
NUMBERSTRING 日本向け
PHONETIC 日本向け
RTD
SEQUENCE 365
SKEW.P CalcのSKEWP関数
SORT 365
SORTBY 365
UNIQUE 365
XLOOKUP 365
XMATCH 365
YEN 日本向け

Excel 365で追加された関数がどういったものなのかの解説はここでは省略します。参考書を入手し、ご確認ください。

Calc独自の関数

Calc独自の関数は、次のように48個でした。第438回では45個でしたが、⁠STYLE」⁠TINV」⁠TTEST」関数が抜けていたので、正確には48個でした[2]⁠。すなわち個数としては同じですが、内容は少し変わっています。まずは具体的な関数一覧です。

関数名 備考
B ExcelのBINOM.DIST.RANGE関数
CEILING.XCL ExcelのCEILING関数
CHISQDIST CHISQ.DISTと同じ
CHISQINV CHISQ.INVと同じ
COLOR
CONVERT_OOO
CUMIPMT_ADD Excel 2003のCUMIPMT関数
CUMPRINC_ADD Excel 2003のCUMPRINC関数
CURRENT
DAYSINMANTH
DAYSINYEAR
DDE
EASTERSNDAY
EFFECT_ADD Excel 2003のEFFECT関数
ERRORTYPE (ERROR.TYPEとは完全に別)
EUROCONVERT
FLOOR.XCL Excel 2007以前のFLOOR関数
FORECASTS.ETS.ADD
FORECASTS.ETS.MULTI
FORECASTS.ETS.PI.ADD
FORECASTS.ETS.PI.MULTI
FORECAST.ETS.STAT.ADD
FORECAST.ETS.STAT.MULTI
FORMULA ExcelのFORMULATEXT関数
FOURIER
GCD.EXCEL2003 AOOのGCD_ADD関数
ISEVEN_ADD ExcelのISEVEN関数
ISLEAPYEAR
ISODD_ADD ExcelのISODD関数
LCM_EXCEL2003 AOOのLCM_ADD関数
MONTHS
NETWORKDAYS_EXCEL2003 Excel 2003のNETWORKDAYS関数
NOMINAL_ADD ExcelのNOMINAL関数
OPT_BARRIER
OPT_PROB_HIT
OPT_PROB_INMONEY
OPT_TOUCH
RAWSUBSTRACT
ROT13
ROUNDSIG
SKEWP ExcelのSKEW.P関数
STYLE
TINV
TTEST
WEEKNUM_EXCEL2003 AOOのWEEKNUM_ADD関数
WEEKS
WEEKSINYEAR
YEARS

具体的どのような変更があったかは次項で説明します。

Calc 5.3から6.4までの間に変更があった関数

Calc 5.3から6.4までの間に変更があった関数は17個でした。具体的にどのような変更があったのか個別に見ていきましょう。

DURATION・DURATION_ADD・CONVERT・CONVERT_OOO・CONVERT_ADD

Calc 5.3よりExcelに準じ、DURATION関数をPDURATION関数に、DURATION_ADD関数をDURATION関数に変更しました。

また従来のCONVERT関数をCONVERT_OOO関数に、CONVERT_ADD関数をCONVERT関数に変更しました。すなわちCONVERT_OOO関数とCONVERT_ADD関数は別物なので気をつけください。

EFFECT

EFFECTIVE関数はCalc 5.3よりExcelと同じEFFECT関数に名称を変更しました。

ROUNDSIG

Calc 5.4よりROUNDISIG関数が追加されました図1⁠。バグ報告によると、小数点をいくつまで表示するかを指定する関数です。

図1 ROUNDSIG関数
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COUNTIF・SUMIF・AVERAGEIF

COUNTIF関数とSUMIF関数とAVERAGEIF関数は引数によってはExcelと違う結果を返すことがありましたが、Calc 5.4より同じにする修正が加えられました。

FINDB・SEARCHB・REPLACEB

Calc 6.0よりFINDB関数とSEARCHB関数とREPLACEB関数はExcelと同様の動作に変更されました。

REGEX

REGEX(正規表現)関数はCalc 6.2から追加された関数です図2⁠。詳しくはバグ報告を参照してください。

図2 REGEX関数
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LARGE・SMALL

LARGE関数とSMALL関数はCalc 6.2から配列にRANK関数を使用するようになりました。バグ報告はOpenOffice.org時代のもので、14年越しの修正でした。

FOURIER

FOURIER(フーリエ)関数はCalc 6.3から追加された関数です図3⁠。具体的な解説はリリースノートを参照してください。

図3 FOURIER関数
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