Ubuntu Weekly Recipe

第833回Ubuntu 24.10の変更点

今回は10月10日にリリースされる予定のUbuntu 24.10の特徴的な変更点をお知らせします。

概要

まずはリリース概要です。24.10のコードネームは「Oracular Oriole」で、⁠神託のオリオール」という意味です。オリオールがどんな鳥かというのはUbuntu Weekly Topics 2024年5月10日号をご覧ください。実際のイラストを見てみるとただの小さな鳥としてしか描かれず、金色どこ行ったという感じですが。

デフォルトのデスクトップは図1です。

図1 24.10のデフォルトのデスクトップ

後述の理由により、過去最高に背景を変更したくなるリリースになるのではないかと予想します。

リリースノート

24.10をインストールする前に、必ずリリースノートに目を通してください。リリースノートのドラフトは現在でも読めますが、日本語訳などの詳細な情報はリリース後に公開されるUbuntu Weekly Topicsで案内される予定です。

祝20周年

Ubuntuの最初のバージョンは4.10ということで、この24.10は20周年記念リリースとなります。

まずは4.10のデスクトップがどんなだったか思い出してみましょう図2⁠。

図2 4.10のデスクトップ

初期のUbuntuはブラウンがテーマカラーでした。またデスクトップには旧ロゴがあり、懐かしい気持ちになります。

24.10の新機能として、アクセントカラーにブラウンが追加されています図3⁠。さらに4.10の背景を24.10に合わせてリマスターされた背景も追加されています図4⁠。

図3 右端にブラウンが追加されている
図4 一番最後にリマスターされた背景が追加されている

これらを組み合わせると、24.10のデスクトップを4.10っぽくできます図5⁠。

図5 4.10っぽくした24.10

「gnome-shell-extensions」パッケージをインストールして再起動し、セッションを「GNOMEクラシック」にするとさらに4.10に近づきます図6⁠。

図6 さらに4.10っぽくした24.10

実はubuntu-wallpapers-lts-legacyというパッケージに4.10で実際に使用されていた背景も収録されています図7図8⁠。LTSという概念がなかった頃のリリースなのに、lts-legacyと名がつくパッケージに入っているのが興味深いです。

図7 ubuntu-wallpapers-lts-legacyに収録されている歴代LTSの背景
図8 実際に4.10で使われていた背景に差し替え

ほかにも、起動(UEFIブート)時とログイン時に表示されるロゴに「20 YEARS」と入っています図9⁠。

図9 ⁠20 YEARS Ubuntu」となっている

ログイン時に4.10と同じ起動音が流れるようにもなりましたが、こちらはご丁寧にオフにもできます図10⁠。

図10 わざわざ「Startup Sound」でオフにできるようにしている

たった9月でサポートが切れてしまうのがもったいないくらいの出来ですが、記念事業にはちょうどいい期間のような気もします。

24.10 = GNOME 47

24.10のGNOMEはおおむねGNOME 47になっています。いつもの表を見ていきましょう。

バージョン コンポーネント(パッケージ名)
3.36.x gnome-menus
3.41.x gcr
3.52.x gnome-online-accounts
3.54.x gnome-terminal
42.x yelp
43.x gnome-power-manager, seahorse
45.x gnome-logs
46.x evince, gnome-disk-utility, gnome-keyring, gnome-session-bin, ubuntu-session
47.x adwaita-icon-theme, baobab, eog, gdm3, gnome-bluetooth-3-common, gnome-calculator, gnome-characters, gnome-clocks, gnome-control-center, gnome-font-viewer, gnome-initial-setup, gnome-remote-desktop, gnome-settings-daemon, gnome-shell, gnome-system-monitor, gnome-text-editor, gnome-user-docs, mutter-common, nautilus, orca, tecla

EvinceはGTK4にポートした派生版がリリースされたので、今後の扱いが注目されます。

gnome-session-binubuntu-sessionはともに同じソースコードからビルドされており、ソースパッケージ名はgnome-sessionですが、46のまま据え置かれているのがやや不可解です。

GNOME関連の修正は細かなものが多いですが、⁠ファイル」⁠Nautilus)に関しては大きな変更が加えられています。図11を見るとすぐに気づきますが、左ペイン(サイドバー)の並び順が「他の場所」がなくなって「ネットワーク」になり、ローカルディスクが見えなくなりました。またホームフォルダーにあるフォルダー(ドキュメントなど)が下に移動しています。

図11 大きく変わった「ファイル」の初期表示

Nvidiaのプロプライエタリなドライバーを使用していてもWaylandセッションを有効に

これはもう表題のとおりなのですが、NVIDIAのプロプライエタリなドライバー自体にも変更があったので少し紹介します。

NVIDIAのプロプライエタリなドライバーは少し前からカーネルモジュールをオープンソース化しており、Ubuntuでもプロプライエタリなカーネルモジュールとあわせて選択できるようになっていました。

あくまでデフォルトはプロプライエタリなモジュールという扱いだったのですが、現在最新版の560からオープンソース化されたカーネルモジュールがデフォルトになりました。しかしUbuntuでは今でもプロプライエタリなカーネルモジュールがデフォルトのようです図12⁠。

図12 リストの一番上にあるのがデフォルト。ここではあえてオープンソース化されたカーネルモジュールを選択している

この状態で「System Details」を見てみると、たしかに「ウィンドウシステム」「Wayland」になっています図13⁠。

図13 ⁠ウィンドウシステム」「Wayland」になっている

24.04 LTSでもパッケージ1つインストールするだけで実現できていましたが、これまでの紆余曲折を振り返るとなかなかに感慨深いです。

セキュリティセンター

「セキュリティセンター」というsnapパッケージが新たに追加されました図14⁠。Ubuntu Weekly Topics 9月13日号で紹介された「⁠パーミッションプロンプト」のフロントエンドです。

図14 セキュリティセンター

現状とりあえず搭載されましたくらいの代物であることは、先のTopicsのとおりです。

aptのバージョンアップ

aptがバージョンアップしており、インストール中に表示されるメッセージが大きく変更されています。

図15 インストールするパッケージ(Installing)と要約(Summary)がわかりやすくなった

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