はじめまして。あきみちと申します。
この連載は、インターネットそのものの仕組みや、インターネットを使った人々の動きや感情などを中心になると思います。第1回として「インターネットとは何か?」に関して考察してみたいと思います。
人によって違う「インターネット」
インターネットはすでに社会インフラになりました。今日では、インターネットは多くの人にとって「無くては困ってしまうもの」です。では、「インターネット」という単語を聞いてイメージするものはなんでしょうか?
イメージするものは、恐らく人によって違うと思います。「何だかよくわからないけど情報を取り出せる何か?」という発想や、「情報を共有できるサイバースペース」や、「書く個人が意思や心にあるものを発表もしくは表現できる場」であると感じる人が居る一方で、光ファイバによって網の目のように構成されたネットワークインフラや、ルータやスイッチといった通信機器の集合体であったり、ISP(Internet Service Provider)の相互接続の集合体であると考える人もいそうです。
そもそものインターネット
インターネットは、本来は核攻撃にも耐えたり、戦時中に調達できる機器の有り合わせで即興ネットワークが作れて通信が維持出来たりという目的でアメリカ軍が研究開発した技術が元になっています[1]。元々は複数のネットワークが相互に接続して、さらに巨大なネットワークを構成するという意味で「Inter-net」という名前になりました。ネットワークとネットワークが接続し合うことこそが本来の意味での「インターネット」なのだろうと思います。
多くのユーザの感覚は……
私の感覚としては、以下のようなものがまとめて「インターネット」と呼ばれている気がします。
- Web上で表現できること
- Webやメールなどによって形成されるコミュニケーション
- オンラインでのつながり
- オンラインで意思が形成されていく過程
- 掲示板
- オンラインサービス
- Webやメールそのもの
- IE(Internet Explorer)
もはや多くのユーザにとって「インターネット」はInter-networkingのインターネットではないのだろうと思います。「ネットワーク同士が相互接続って何よ?」とか「核攻撃されてもネットワークが生存できる?(゚Д゚)ハァ?」なのでしょう。
インターネットはフラットというイメージ
多くの人にとって、インターネットは「フラット」なのではないでしょうか(ここで言う「フラット」は、多くの場で使われている「フラット」と多少使い方が違う気がするのでご注意ください)。
たとえば、WebであればURLを入力すればすぐにデータが出てきています。まるで隣にサーバがあるようです。メールであっても、手元のメーラソフトにメールアドレスを入力すれば相手にメールが届きます。そのとき、途中にある数多くのルータやスイッチや光ファイバなどの回線を意識することはあまりありません。 AS(Autonomous System)の通過まで考える人はごく少数だと思われます。
魔法のキーワードさえ入れれば、すぐ隣の情報が出てくる「フラット」なネットワークであると「勘違い/錯覚」している人が大多数であると思われます。インターネットの規模性を実現するためにほとんどのシステムが階層構造で運用されていて、さらに各機能を提供するネットワーク上のノードは可能な限りdumb(単純)であろうという思想で設計されているという実態とは大きくかけ離れているのではないでしょうか。
ただ、これはこれで「そんなものだろう」と思います。昔と違い、ユーザは知らなくても何も問題は発生しないからです。私も電話をかけるときに交換機や電信柱の立地などを意識する事はありません。強いて言えば電話をかける相手の距離と電話料金を多少気にするぐらいでしょうか。
インターネットに関しても恐らく同じようなもので、通信の仕組みを知らなくてもWebサービスを簡単に作れたりします。ユーザとして構築されたものを利用するだけであれば、通信の仕組みはさらに知らなくてもいい知識になってきます。
しかし、あえて技術に突っ込む
しかし……ここではあえて技術的な「インターネットの仕組み」を解説していきたいと思います。「インターネットは魔法のブラックボックス」でも良い場合も多いのは確かですが、何かを開発する技術者としてはインターネットの仕組みはアイデアやノウハウの宝庫です。これらを知っておいて損はありません。
また、何かのアプリケーションやサービスを実装/構築する際に、仕組みを知っていると知らないのでは出来上がった成果物の品質が変わることも多いです。インターネットがなぜインターネットで、どのような仕組みで動作していて、どのように活用すれば効率的なのかを知るには、仕組みそのものを知る必要があるのです。
この連載ではインターネットでの通信技術をわかりやすく伝えようと頑張ってみます。今後とも、どうぞよろしくお願い致します。