インターネットって何だろう?

第4回インターネットの識別子「IPアドレス」

前回、パケットのヘッダに記述されている情報として「宛先」「送信元」があるという説明をしましたが、インターネットではIPアドレスという識別子が利用されています。今回は、IPアドレス[1]について説明します。

IPアドレス

通信を行うためには各機器を識別しないといけません。インターネットでは、IPアドレスと呼ばれる識別子を利用して各機器を識別します。IPアドレスは、各機器に対して一意に割り振られます※2※3⁠。

IPアドレスは32ビットの値で表現されます。しかし、32ビットの整数値では人間が扱いにくいので、ドット付き十進表記(dotted decimal notation)と呼ばれる0~255の数字4組をドットで繋いだ記法で表現されます。たとえば、192.168.0.1のような感じです。

各「.」の間にある十進数は各8ビットを表現します。8ビットなので表現できる範囲は0から255になり、8ビットが4つなので32ビットです。この32ビットのIPアドレスがインターネット上の識別子として利用されます。

IPアドレスの割り当て

このIPアドレスは世界で一意でなければならないので、全てのIPアドレスに対してIANA(Internet Assigned Number Authority)という単一の組織が権威を持っています。

ただ、IANAが直接IPアドレスの個別割り当てを行っているわけではありません。IANAはRIR(Regional IR、地域IR)という組織にIPアドレス空間の一部を割り当てます。現在、地域IRとして以下の5組織があります。

American Registry for Internet Numbers (ARIN)
北米とカリブ海地域の一部
RIPE Network Coordination Centre (RIPE NCC)
ヨーロッパ、中東、中央アジア
Asia-Pacific Network Information Centre (APNIC)
アジア及び太平洋地域
Latin American and Caribbean Internet Addresses Registry (LACNIC)
ラテンアメリカ及び、カリブ海地域の一部
African Network Information Centre (AfriNIC)
アフリカ

日本はAPNICの管轄地域に含まれています。APNICはさまざまな国別インターネットレジストリ(NIR)が参加している非営利団体ですが、日本にはJPNICという組織があります。日本国内のIPアドレス割り当てはJPNICによって行われています。

IPv6

現在利用されているのは、IP version 4です。そのため、一般的に使われているIPアドレスもversion 4のアドレスです。IP version 4のIPアドレスは、IPv4アドレスと表現されることがあります。

このIPv4アドレスは32ビット長ですが、もうそろそろIPv4アドレスが足りなくなります。早ければ再来年ぐらいには枯渇するかも知れません。

インターネットが設計されていたころには、ここまで多くの機器がインターネットに接続されるとは考えられていなかったようです。当時は32ビットの空間は無限だったのだろうと思います。

このIPv4アドレス枯渇に対応するために、IP version 6が作られました。IPv6アドレスは128ビットで表現されているので、IPv4よりもかなり大きな空間です。表現できる大きさはIPv4アドレスの4倍ではなく、2の96乗倍と非常に大きいです。

現在、多くの機器でIPv6対応が進んでいます。Linux, Windows Vista,MacosX, FreeBSD, NetBSDなど主要OSの最新版はいずれもIPv6に対応しています。しかし、ISPからユーザへの回線やWebサイトなどの対応は、まだ一般的に普及したとは言い難い状況です。

IPv4アドレス枯渇とIPv6は、今年後半~来年ぐらいにかけての非常に大きなキーワードになると思われます。このネタに関しては、もう少し後になってから解説しようと考えています。

最後に

IPアドレスは数値です。そのまま人間が扱うのは非常に困難です。

その問題を解決するために産み出されたのがDNS(Domain Name System)です。人間が扱う時には、www.example.comという風に指定することはあっても、IPアドレスを数値として扱う事ってあまりないですよね? これは、DNSを利用することによって実現しています。

次はDNSによる名前解決を解説します。

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