前回の最後に、「ASやBGPの話だけを読んでも、イマイチ良くわからないと思います。次回は、Googleの組織間接続の形態を推測するという実例を挙げながらASに関して解説しようと思います。」と書きましたが、よく考えたら、その説明をする前にインターネットでどのように「番号」が管理されているのかを解説する必要があることに気がついてしまいました。
そのため、まずは「IPアドレスやAS番号がどのように配分されているのか?」に関して説明したいと思います。
IPアドレスの管理組織
インターネットにおける識別子であるIPアドレスは、世界で一意である必要があります[1]。そのため「アナタはこのIPアドレスを使ってもいいですよ」という割り振りを一括して行う組織が必要になります。インターネットでは、IANA(Internet Assigned Numbers Authority)がさまざまな「番号」の割り当てを行っています[2]。
割り当てられるものには、たとえば以下のようなものがあります。
- TCPやUDPのポート番号
- プロトコル番号
- IPv4アドレス
- IPv6アドレス
- マルチキャストアドレス
- AS番号
- その他、世界で一意な割り当てを必要とするもの
割り当て方法
IANAは割り当てを行っていますが、IANAが世界中の細かい割り当てを全て行うわけではありません。ここではIPv4アドレスの割り当て方法を例として説明します。
IANAがIPv4で割り当てるのは /8 単位のIPアドレスです。 /8ということは、16,777,216個のIPv4アドレスを表現できます。 32ビット長のIPv4アドレスには256個の/8アドレスブロックがあります。IANAはこの/8ブロック単位での割り当てを、RIR(Regional Internet Registry, 地域レジストリ)に対して行います。
地域を代表するRIRとしては、以下の5つの組織があります。
- AfriNIC(アフリカ)
- APNIC(アジア太平洋地域)
- ARIN(アメリカ)
- LACNIC(ラテンアメリカおよびカリブ海地域)
- RIPE NCC(ヨーロッパ、中東、中央アジア)
実際のIPv4割り当て表は、「IANA IPv4 Address Space Registry」をご覧ください。AS番号割り当ては、「Autonomous System (AS) Numbers」をご覧ください。
RIRからNIRへ
RIRは/8アドレスブロックをさらにNIR(National Internet Registry, 国別レジストリ)に割り振ります。日本の国別レジストリはJPNICで、APNICに所属している組織という形になっています。
国別レジストリは新たなIPアドレス割り当てが必要になると、所属しているRIRからIPアドレスを受け取ります。国別レジストリは、RIRから受け取ったIPアドレスを国内の組織に割り当てるとともに「誰に割り当てたのか」の情報を管理します。
このような形でIPアドレスは世界的に管理され、複数の組織が同時に同じIPアドレスを使うという事態を避けています。
- 参考:「JPNIC : IPアドレスの管理」
- URL:http://www.nic.ad.jp/ja/ip/admin.html
次は「AS番号を知る方法」を解説します
「Googleの組織間接続の形態を推測する」という実験に向かって次にするのは、AS番号を知ることです。次回は、公開された情報を利用してAS番号を調べる方法を説明します。