前回 は、whois情報を利用してGoogleのAS番号を取得する方法を説明しました。次は、それを使ってGoogleのAS間接続地図を作ってみます。
まず、最初に前回のおさらいです。whoisを利用して得られたのは、以下のAS情報です。
Google Inc. (AS15169) GOOGLE 15169
Google Inc. (AS36039) GOOGLE 36039
Google Inc. (AS36040) GOOGLE 36040
Google Inc. (AS15169) GOOGLE 15169
Google Inc. (AS36039) GOOGLE 36039
Google Inc. (AS36040) GOOGLE 36040
Google Incorporated (AS36384) GOOGLE-IT 36384
Google Incorporated (AS36385) GOOGLE-IT 36385
で、次はこれらのASがどことつながっているのかを調べるためにUCLA Cyclops に各AS番号を入れてみます。利用するのは、「 Global Visibility > AS Connectivity」です。ASの接続状況がここでわかります。
ここで現れる入力フォームの「ASN or AS name」に15169などのAS番号を入れていきます。すると、多くのレコードがあるのがAS15169であることがわかります。 ここでは、AS15169に注目して調べてみようと思います。
出て来る結果が非常に多いので、ちょっと最初は図を作成するのは難しいかも知れませんが「どことつながっているのだろう?」というのを知るのは面白いです。
BGPフルルートを使って調べる
Cyclopsで出て来るBGP peering情報だけである程度の図は書けますが、何となくそれでは物足りなかったので、オレゴン大学が公開しているBGPフルルート情報を使ってみました。
Route Views Project
URL:http://www.routeviews.org/
RouteViewsで公開されている情報を見て行くと、実はGoogleの主要ASであるAS15169はトランジットを提供していることがわかりました。AS15169がトランジットを提供しているのは、YouTube、DoubleClick、Postini、Google-IT、GOOGLE-CORP-APAC-AS-APでした。
YouTube、DoubleClick、PostiniはGoogleが買収した企業です。 Google-ITが何であるかはよくわかりませんでしたが、AS15169としか接続されていないスタブで冗長化されて無さそうなところを見ると、恐らく内部利用で一般公開されていないネットワークではないかと推測してみました。 GOOGLE-CORP-APAC-AS-APは「AS number for Google Corporate Network in APAC」とあるので、アジア太平洋地域にあるネットワークであると推測できます。
AS15169がトランジットを提供しているのは全てGoogle関連企業なので、組織全体という視点で見るとGoogle全体はスタブ的ではありますが、最初にこれを発見したときには個人的に非常に面白いと思いました。
経路を図にしてみる
さて、ではここまでの情報をもとに、実際にPowerPointで図を描いてみました。
最終的にできあがった図が以下のものです。接続数が非常に多いので、特徴がある部分だけを個別表示してあります。
この図では、GoogleとGoogleが買収した企業によるASは赤で表現し、それ以外は青で表現しています。
「インターネットはBGPでAS同士がつながっている」と言われてもあまりビンとこないと思いますが、このように調べて図を作ることを行うと何となく理解しやすくなると思います。今回はGoogleでしたが、たとえばFacebookやAmazonなども調べてみると面白いのではないでしょうか。
最後に
ここ数回はASという大きい単位で「インターネット」の構成を眺めてきましたが、今度は逆に手元のネットワークを調べてみる方向に戻ってみたいと思います。次回は、特定の宛先まで到達可能かどうかのチェックを行うpingコマンドの紹介を行う予定です。