インターネットって何だろう?

第20回2013年のインターネットトラフィック

今回は、Ciscoが発表しているVisual Networking Index(以下Cisco VNI)の紹介です。Cisco VNIは、IPネットワークの成長や用途を調査し、それを公開しています。

Cisco Visual Networking Index
URL:http://www.cisco.com/en/US/netsol/ns827/networking_solutions_sub_solution.html

Ciscoはインターネット関連機器の有名企業です。インターネットを構成するルータやスイッチ、その他、さまざまな通信機器を販売しています。

『ComputerWorld』の記事によると、Ciscoのルータ市場でのシェアは世界一です。

調査会社のデロオログループ(Dell'Oro Group)によると、Ciscoは2007年のエンタープライズ向けルータ市場(42億ドル規模)で82%のシェアを占め、サービスプロバイダー向けのエッジルータ市場(47 億ドル規模)では54%、サービスプロバイダー向けのコアルータ市場(27億ドル規模)では55%のシェアを占めている。

「勝者はどっち!? 激闘! シスコ IOS×ジュニパー JUNOS」より引用

トラフィックグラフ貼付けツール

Cisco VNIは調査結果を文章で公開していますが、その内容をわかりやすく表示できるようなWebツールも公開しています。このツールを使うことによって、ユーザはCisco VNIの内容を示す図を簡単に作成したり、Webに貼付けたりできます。

Cisco VNI Forecast Widget
URL:http://www.ciscovni.com/vni_forecast/index.htm
図1 VNI Forecast Widget
図1 VNI Forecast Widget

Cisco VNI Widgetを使って2009年~2014年までのインターネットトラフィック予測グラフを作成してみました。Flash版とJPEG版を選べますが、今回はJPEG版にしました。

図2 Cisco VNIグラフ
図2 Cisco VNIグラフ

このように、2009年以降インターネットトラフィックは急激に伸び続けると推測されています。この図は、Ciscoによるインターネットトラフィック予測ですが、個人的には、恐らくこのような傾向になるだろうと思います。ISPバックボーンで計測されるトラフィックは、毎年増えており、最近は特にインターネットビデオによるトラフィックが急激に増えているという話は良く聞きますし、そう述べている研究もあります。

実際にトラフィックが伸びる「量」はさまざまな要因で変化すると思われるので、その年になってみないとわからない面がありますが、恐らく、少なくとも今後数年は増加トレンドが続くものと推測されます。

2013年にはビデオトラフィックは91%になると予想

Cisco VNIによると、2013年にはインターネットトラフィックの91%がビデオによるものになるそうです。この表現には、実は一部カラクリがあります。Cisco VNIでは、P2Pデータも実質ビデオトラフィックだと述べています。

かつてはインターネットトラフィックを最も発生させているとされたP2Pですが、Cisco VNIによると、もうすぐP2Pトラフィックはインターネットビデオトラフィックに追い越されます。Cisco VNIに限らず、他の研究や資料でもP2Pがインターネットトラフィック内で占める割合が減少傾向にあると述べているので、私もインターネットビデオがP2Pを追い抜く日は近いのではないかと考えています。

最後に

今回は、インターネット全体としてのネットワークトラフィックがどうなるかを、Ciscoが予想したホワイトペーパーを紹介しました。これによると、現在のインターネットトラフィックで急激な伸びを見せているビデオトラフィックは、今後も増え続け、数年後にはインターネットの大半がビデオトラフィックになるそうです。

2000年代後半から、YouTube、ニコニコ動画、Ustreamなど、Webを通じたビデオ視聴が急速に普及して来ています。このようなビデオトラフィックは、今後のインターネットにとって非常に重要な要素となるのだろうと思います。

次回は、普及が著しいモバイル環境とインターネットに関しての状況を紹介します。

おすすめ記事

記事・ニュース一覧