インターネットって何だろう?

第21回2014年にはモバイルトラフィックは2009年の39倍に

2010年2月に発表されたCisco Visual Networking Index: Global Mobile Data Traffic Forecast Update, 2009-2014では、モバイルデータトラフィックが毎年倍に増え、2009年から2014年までに39倍へと増えるだろうと推測しています。さらに、そのモバイルトラフィックの66%はビデオだろうとしています。

モバイルトラフィック予測の内訳

Ciscoによるモバイルトラフィック予測の内訳は次のようになっています。

まずはデータの種別ですが、以下の図のように全ての項目が増加するとしています。中でも非常に大きく増加しているのがモバイルビデオによるトラフィックです。

図1 モバイルトラフィック内訳:トラフィック種別(Cisco VNI Mobile Forecastより)
図1 モバイルトラフィック内訳:トラフィック種別(Cisco VNI Mobile Forecastより)

機器の種別によるトラフィック内訳は以下のように予測されています。

一番大きくトラフィックが増加するのが「ラップトップやその他モバイル機器」であり、次がスマートフォンとなっています。その2つを合わせると2014年時点で全体の91%になるようです。さまざまなデータをやり取りできたり、大きめの画面でビデオを見られるような端末ということでしょうか。

図2 モバイルトラフィック内訳:機器別(Cisco VNI Mobile Forecastより)
図2 モバイルトラフィック内訳:機器別(Cisco VNI Mobile Forecastより)

スマートフォンの普及

Cisco VNI Mobile Forcastでもうひとつ面白いのが、スマートフォンの普及を国ごとに予測している点です。ホワイトペーパー内で、スマートフォンはそうでない携帯電話端末と比較すると10倍のトラフィックを発生させるとありますが、スマートフォンであるかないかはトラフィックという視点で見た時に非常に大きな意味を持ちそうです。

詳細はCiscoのホワイトペーパーをご覧頂きたいのですが、ざっと紹介すると、日本はスマートフォンの普及が急激に進まないとされています。一方で、カナダ、アメリカ、西ヨーロッパ諸国は最終的に約半数がスマートフォンになると予測されています。

この予測が正しいとすると、これらのスマートフォン普及率が高い国々と日本ではモバイル端末の種類や用途が、インターネットトラフィックの特性に大きな違いが出る要因の一つになりそうです。

Akamaiデータで見るモバイルトラフィック

Ciscoのホワイトペーパーは未来を予測するものですが、現時点のデータからモバイル端末の普及が急激に進んでいることを知る事も出来ます。 Akamaiが四半期毎に発表しているState of the Internet Reportの2009年第四四半期レポートでは、日本や韓国の平均的な通信速度が"低下"しています。

Akamaiのレポートでは、韓国の平均速度低下はモバイル端末が有線の光ファイバなどよりも通信容量が小さいために平均値が下がってしまったという現象であると解説されています。その解説では、韓国の平均通信速度が2009年4Qで24%下落すると同時に、特定のモバイル事業者によるユニークIPアドレスの急激な増加を観測したことから、2009年11月に韓国でAppleのiPhoneが発売されたことが数値に影響を与えているとしています。

今回のAkamaiレポートで上位10国の中で平均速度が韓国とともに低下した結果2位の座を香港に明け渡す形となった日本に関しては、低下の理由が明記されてなさそうですが、個人的には日本の速度低下も韓国と同様にモバイル普及という傾向があるのではないかと推測しています。

このような急激な変化をうけて、AkamaiのThe State of the Internet Reportの2010年第一四半期版ではモバイルデータは別項目として扱われるそうです。

スマートフォンと従量課金

ただし、これらの予測は今後方向性が多少変わる可能性があります。AT&Tがデータ通信の従量制への移行を発表したことに端を発して、他のモバイル通信事業者が従量課金制を検討していると噂されるためです。

スマートフォンと従量課金に関しては、まだ流動的なので、ここでは範疇外とさせてください。

最後に

このように、モバイルトラフィックの増加は世界的なトレンドとなっています。モバイルは、今後のインターネットで今以上に大きな存在になって行くだろうと推測されます。

モバイルトラフィックの中でも、ビデオトラフィックの増加予測は大きな割合を占めていますが、次回は、このビデオトラフィックに関してもう少し詳しく紹介しようと思います。

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