新規IPv4アドレスを大量に必要とする状況には2つあります。まず1つめは、前回紹介したインターネットが普及中であり新規ユーザが劇的に増えている場合です。
2つ目の状況が、ダイアルアップ接続からブロードバンドの常時接続へと接続形態が変更されていく場合です。
常時接続では各ユーザによるIPアドレスの占有時間が長くなり、IPアドレス再利用の効率が下がるため、ダイアルアップと比較して約10倍のIPアドレスが必要となるためです(総務省 2008年報告書 「インターネットの円滑なIPv6移行に関する調査研究会 報告書」6ページ参照)。
日本ではブロードバンド化が既に終了していますが、ブロードバンド化が進んでおらず、ダイアルアップ回線が多い国では、常時接続への移行によるIPv4アドレス需要の増大という要素もあり得ます。
ブラジルは大変?
個人的に勝手に大変そうかもと思う国として、たとえばブラジルが挙げられます。
ブラジルは経済的な発展が著しい国の1つです。経済的な発展が著しい国を表しているBRICs(Brazil,Russia,India,China)という言葉もありますが、そのBはブラジルのBです。
経済的な発展が著しい国は、インターネット普及率が上昇していくという特徴を示す場合もあります。Internet World Statsによるブラジルのインターネット普及率データを見ると、ブラジルではインターネット普及率が急激に上昇しています。
年 | 人口 | ユーザ数 | 普及率 | GNI p.c. |
2000 | 169,544,443 | 5,000,000 | 2.9% | $3,570 |
2005 | 184,284,898 | 25,900,000 | 14.1% | $3,460 |
2006 | 186,771,161 | 32,130,000 | 17.2% | $3,460 |
2007 | 186,771,161 | 42,600,000 | 22.8% | $4,730 |
2008 | 196,342,587 | 67,510,400 | 34.4% | $5,910 |
BRICsのCである中国も同様にインターネット人口が急激に増加しているので、IPv4アドレス枯渇の影響を大きく受けそうです。
中国のインターネット人口も、ここ数年急激に増加しています。しかも、その規模も凄いです。中国での2010年のインターネット普及率は31.6%であり、人数にすると約4億2千万人です。
今、世界で最も大量のIPv4アドレスが欲しいのは、おそらく中国なのではないかと想像しています。
次回に続く
今回は、IPv4アドレス枯渇の影響を大きく受けそうな国の例としてブラジルと中国を挙げました。次回は、日本がIPv4アドレス枯渇によって受けるであろう影響を紹介します。