2011年2月3日にIPv4アドレスのIANAプールが枯渇しました。最後の5つの/8ブロックを割り振りするセレモニーがICANNによって行われ、その様子が世界中に向けてインターネット配信されました(現在は非公開です)。
セレモニーは、ICANN CEOのRod Beckstrom氏が/8ブロックを各RIR代表者に手渡すというものでした。
このセレモニーと同時に、IPv4アドレスのIANAプールが枯渇し、長年言われ続けていたIPv4アドレス枯渇が現実のものとなりました。
ICANNによる記者会見
ICANNによるIPv4アドレス最終割り振りセレモニーの直後にプレスイベントも行われました。
主にアメリカ国内メディアが集まっていたようですが、記者からの質問や、その回答もネット中継されていました。
それを見ていての個人的な感想なのですが、記者からの質問が今までの経緯を全く知らない感じだったのが印象的でした。
たとえば、「どの会社がIPv6に積極的なのか?」という質問が出たりしていました(最初は「具体的な社名は控える」とか回答しつつも、途中でNTTの名前がICANNの回答から登場していました)。
しかし、これは、それまで全く感心を示していなかった一般メディアが注目したということの裏返しでもあります。実際、その直後はIPv4アドレス枯渇のニュースが世界中で報道されました。
日本でも非常に多くのメディアがIPv4アドレス枯渇問題を取り上げたこともあり、今後、IPv4アドレス枯渇やIPv6対応に関する話題が増えるものと思われます。
本当の枯渇はこれから
2011年2月にIPv4アドレスは枯渇しましたが、「IPv4アドレス枯渇」と一言で言っても、何が枯渇なのかは文脈によって異なります。
今回の枯渇は「IANA(Internet Assigned Numbers Authority)在庫の枯渇」であり、話題としては大きかったとしても、一般のユーザに直接影響が出るわけではなく象徴的なイベントだったと言えます。
IANA在庫の枯渇のアナロジーとしては「IPv4アドレス製造工場で製造中止された状態であって、問屋と小売店には、まだIPv4在庫が残っている」という感じかも知れません(IANAはIPv4アドレスを作っているわけではないので製造工場というよりも巨大倉庫の方が近いと思いますが、今回はわかりやすさを優先して「製造工場」としました)。
ユーザに実際に影響が出はじめるのは、まだもう少し先の話です。そろそろ恐らく最初のRIR在庫枯渇が発生するものと予想されていますが、その後、新規IPv4アドレスの割り当てが不可能になった後に、ユーザに直接影響が発生する案件がポツポツと登場しはじめるのだろうと思います。
最後に
今回は、実際にIPv4アドレスのIANAプールが枯渇したことを紹介しました。
次回は、IPv4アドレス利用を圧縮するために多くのISPで導入されると思われるLSN(Large Scale NAT)について紹介します。