前回、エジプトが国内のインターネットを遮断するために、インターネットから離脱した事件を紹介しました。
エジプトの事件は一時的で非常に極端な事例と言えますが、国民へのインターネット接続性を定常的に遮断したり、通信を制限したり、通信内容を傍受するような「ネット検閲」に関してまとめた「インターネットの敵」という報告書があります。
この報告書は、国境なき記者団がまとめています。
- Reporters without borders: The Enemies of the Internet
- URL:http://march12.rsf.org/en/#ccenemies
この報告書では、激しいネット検閲が行われている「インターネットの敵」と、「国民が監視下に置かれている国」という2つの分類があります(エジプトは「インターネットの敵」ではなく「国民が監視下に置かれている国」に分類されています)。
「インターネットの敵」とされているのは、以下の国々です。
- ビルマ(ミャンマー。報告書には「ビルマ」と記載されています)
- 中国
- キューバ
- イラン
- 北朝鮮
- サウジアラビア
- シリア
- トルメキスタン
- ウズベキスタン
- ベトナム
「国民が監視下にある国」とされているのは、以下の国々です。
- オーストラリア
- バーレーン
- ベラルーシ
- エジプト
- エリトリア
- フランス
- リビア
- マレーシア
- ロシア
- 韓国
- スリランカ
- タイ
- チュニジア
- トルコ
- アラブ首長国連邦
- ベネズエラ
各国が何故このリストに掲載されているかに関しては、報告書内に記載されています。
それらの内容を読むと、各国で行われているインターネットへの制限が垣間見えます。
報告書内には記載されていませんが、それらの仕組みを実現するための手法や機器がどのようなものであるかを想像すると、今後、他の国でどのようなインターネットへの制限が増えるかに関して考察することもできそうです。
インターネットが社会インフラとして重要になればなるほど、国によってはインターネットへの制限事項が増えて行くという可能性もあります。そして、国によって制限の内容が違うということは、インターネット上に見えない国境が構築されて行くことでもあります。
今後、各国でのインターネット制限やネット検閲は、インターネットそのものの大きな要素となるのではないかと私は予想しています。
日本でのブロッキング
現時点では「インターネットの敵」という報告書に記載されるレベルではありませんが、日本にもインターネットへの制限はあります。次回から数回にわけて、日本で2011年4月から開始されたブロッキングに関して紹介します。