Fedora Linuxのデスクトップエディション「Fedora Linux Workstation」はデフォルトのデスクトップ環境にGNOMEを採用しているが、KDE PlasmaやXfceなどを利用したいユーザのためにそれぞれのデスクトップ環境にカスタマイズされた「Fedora Spins」が用意されている。また、天文学やデザイン、ゲーム、ロボティクスといった特定の用途にフォーカスしたSpinとして「Fedora Labs」も提供されており、新規にインストールすることはもちろん、既存のFedora環境に追加して利用することも可能だ。
Fedora Linux 37で3つのSpinが消える?!
Spins/LabsのメンテナンスはFedoraプロジェクトの有志が行っているのだが、Fedoraクラスのコミュニティであってもメンテナー不足は起こりうる。7月20日、FedoraプロジェクトのプログラムマネージャであるBen Cottonは「Robotics Spin」「Games Spin」「Security Spin」の3つのSpinについて、新しいメンテナーが見つからなければ2022年10月リリース予定の「Fedora Linux 37」に含めない方針であることを明らかにした。
- Some spins/labs to be dropped from F37 -devel Fedora Mailing Lists
Fedoraプロジェクトの意思決定機関であるFESCoは2018年8月にSpins/Labsのメンテナンスに関するルールを定めており、それによればSpins/Labsの各オーナー(メンテナー)は開発中のバージョン(今回はFedora 37)に対してメンテナンスを続ける”keepalive”の意思があるかどうかをプロジェクトに対して示す必要がある。だが、前述の3つのSpinのメンテナーは
- Robotics … メンテナーが「今回のリリースをメンテナンスする時間を作ることができない」と表明
- Games / Security … 返事がない
という状況にあり、誰かが手を上げない限り、これら3つのSpinはFedora 37から外れることになる。Cottonは「もしこれらの3つのSpinのどれかのメンテナーになっても良いという人がいたら、コメントしてほしい」と呼びかけており、7/26時点ではSecurityとGamesにそれぞれ1名が「本当にメンテナーと連絡が取れないなら/誰もいないなら、自分がやってもいい」と手を挙げているようだ。
誰もメンテナンスしなくなったプロジェクト/プロダクトをどう扱うかは、オープンソース開発における厄介な課題のひとつだ。メンテナーが継続して活動できなくなったとき、そのプロジェクトはどうなるのか、あるいはどうすべきなのか。まずは今回のようにあらかじめルールを作っておくことで、次のステップ(サポート継続/ドロップの決定)に進みやすくなるのは確かだろう。