みなさん、こんにちは。さくらインターネット研究所の松本直人です。今回から「明後日のコンピューティングを知ろう」と題して、弊社研究所が日々取り組むリサーチ活動の中から、私たちの社会を支えるコンピューティングの「いま」と「これから」を解説していきます。
第1回は、私たちの社会を支える「サイバー空間のあらまし」について解説します。私たちは、スマートフォンとクラウドサービスを日常的に使っていますが、それがどのようなしくみでつながっているか正しく把握することはないでしょう。
日本国内の携帯電話基地局は66万局あり、それらのデータ通信は東京や大阪等に集約されパブリッククラウドやデータセンターにつながっていきます(図1)。
クラウドを構成するサーバの中でも、仮想化・コンテナ化されたランタイム環境が幾重にも控えており、それらが連携することではじめてクラウドサービスとして機能するのです。現在世界中で販売されるサーバは年間9兆円の売り上げ規模であり、2010年に始まったクラウドサービスの勃興を契機として、順調に計算機資源として世の中に投下されています。
総務省の情報通信白書によれば、クラウドサービスをなんらかの形で使っている企業の割合はすでに6割を超えており、2025年付近には8割を超えると筆者は予測しています。サイバー空間としてのWebページに目を向ければ、日本語コンテンツを含むドメインの実に7割以上が7つの企業/組織によってホスティングされており、情報資産と計算機資源の集約は年々進んでいるようにも感じられます(図2)。
しかし、社会に必要十分な情報資産と計算機資源が満たされたとき、クラウドサービス成長の鈍化と、さらなる新しいサービス/ビジネスの勃興も起こってくるのだろうと筆者は予測しています。