今回は、技術革新により小型化・省電力化が進むセルラーIoT(Internet of Things)の今を紹介します。Raspberry Piと4G/LTE USBドングルを組み合わせることで手軽にIoTの開発をすることもだいぶハードルが低くなってきています。これらプロトタイプ開発を1つのボードで行えるデバイスも市販され始めてきました。図1は、Nordic Semiconductor社のSiP(Systemin Package)を搭載したThingy:91です。
各種センサーやGPSを搭載しつつ、付属のSIMカードを挿すだけで、LTE-M/NB-IoT回線を通じてクラウド上のポータルサイトとデータ送受信が可能になります。LTE-M接続回線として日本ではSoftBank社の網を利用しており、上り880MHz、下り925MHzのBand 8が使われています。各種アンテナも最初から用意されています。これ単体でセルラーIoTのほぼすべてのプロトタイプ開発が可能です。
昨今、セルラーIoTデバイスの小型化は劇的に進んでいます(図2)。
Nordic Semiconductor社のSiPを搭載した機器を使えば、世界のほとんどの無線通信規制に対応したプロトタイプ開発ができます。最近では、総務省の技術基準適合証明にも対応し、適合するLTE-M/NB-IoTやGPSのアンテナは自由に後付けすることもできます(総務省の問い合わせ窓口からの回答より)。
セルラーIoTデバイスの小型化は、消費電力の点でも優位性が増しています。少ない消費電力で長時間稼働するセルラーIoTデバイスは、用途を選ばず、さまざまなシーンで利活用が期待されています(図3)。
セルラーIoTの開発環境としても、統合的なRTOS(リアルタイムOS)や統合ソフトウェア開発キット(SDK)も用意されており、柔軟なプロトタイプ開発が簡単に実現できるようになってきています。
世代を経て進化するIoTの世界、今後の進展が楽しみです。