今回は、データセンターの中長期的な変化について分析していきましょう。
クラウドコンピューティングが一般化してから、すでに10年が経過しようとしています。インターネット上の普段使いのサービスの裏側の多くにパブリッククラウドが使用されています。さらにデータセンターがクラウドを動かすためにありますが、このような背後のしくみを気しない方も増えています。
現在、大型データセンター建設ラッシュが続いています。まるで2000年ごろのITバブル期を思わせるような勢いです。その設備の多くは国内企業の需要を見込んだものではなく、ハイパースケーラーと呼ばれるクラウド需要を持つ企業向けだそうです。
一方で、将来のエッジコンピューティング需要を見越して、マイクロデータセンターと呼ばれるカテゴリーの製品が市販化されつつあります。これらはおもに小規模の計算機設備を前提として、サーバを格納するラックや液浸冷却槽装置の開発につながっています。このようなマイクロデータセンター設備のベンダーとしては、Submer社、Zella DC社、DDC社などが挙げられ、すでに複数の企業で製品リリースが行われています。従来、データセンターは建設場所を探すことが困難でした。これに対してマイクロデータセンターは計算機の設置場所の自由度が上がるだけでなく、エコロジーによりいっそう配慮しつつ、効率的にサーバを安定動作させるための環境を近い将来に作ることができるので期待が持たれています
未来予測として2020年代後半には、CPUの熱密度が600W近くなり、最大搭載数も8ソケットまで可能なサーバの製品化が見込まれています。いま、筆者の所属するさくらインターネット研究所でも未来を見据えた実証実験をいくつか実施しています
以前から当研究所では、CPUから排出される熱を再利用するなど、データセンターを取り巻く貴重なエネルギーについて環境改善に注力してきましたが、引き続き