明後日のコンピューティングを知ろう ~Internet Forecast Report

第15回スマホの後ろ側

日本でクラウド・コンピューティングが利用されてから10年以上が経過し、データセンターを取り巻く環境が大きく変化しました。同じように、ここ4年でWebサービスにも大きな変化が見られます。NETCRAFT社の最新の報告によれば図1⁠、Webサーバのマーケットシェアを比較すると、主流であったApacheからnginxに優位が移り、OpenRestyという新しいリリースも急激にシェアを伸ばしています。

図1 Webサーバのマーケットシェアの変遷(ドメインを指標値とした場合)
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コンテンツ配信ネットワークであるCloudflareも着実な基盤化を見せており、市場を取り巻く変化が見てとれます。異なる視点でマーケットを見ると、総務省の統計によれば、スマートフォン(以下スマホ)の個人保有率がここ6年で67%を超えており、ライフスタイルの大きな変化が進んでいることも見てとれます。サーバ側のテクノロジと、クライアント側のテクノロジの変化が同時期に起こっていることに、因果関係は確認できませんが、技術的な転換点の1つに私たちは立ち会っているように、筆者は感じています。スマホを普段使いする私たちのライフスタイルは、ブラウザ越しにWebサイトを閲覧するよりも多くの時間を、モバイルアプリケーション経由で消費するようになり、その裏側で動いているモバイル通信基盤やクラウド・コンピューティングのあり方もモノリシックなサーバとプログラムから、より多くの外部サービスが連携するモノへと変化しました図2⁠。

図2 スマホの後ろ側の見える化(コンセプトマップ)
図2

スマホの後ろ側には、世界中にあるプログラムが連携しあい、ユーザーへ最適なサービスを提供する大きな基盤へ変化していっている過程とも見てとれます。ユーザーからのリクエストに耐えられるサイジング、セキュリティ脆弱性への対処、プライバシーへの配慮、ビジネス機会を逃さない短期間でのリリースなど、クラウド・コンピューティングによりインフラ面での心配事が減少した以上に、サービス開発への配慮や必要能力の重要度が増しているように感じます。私たちは、より注意深く今後もサービスを支えていく必要があるのでしょう。

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