Google Spacesで、スレッド返信ができるスペースを使いやすくするChrome拡張機能

この記事ではGoogle Workspaceを導入している人向けに、Google Spacesのスレッド返信ができるスペースをパソコン上で使いやすくする、筆者が気に入ったChrome拡張機能を紹介します。

なおChrome拡張機能の話になるため、ブラウザはChrome限定になります。またChat・Spacesのツール名称自体は英語表記とし、それぞれのツールを使った際のやり取りを指す場合にはチャット・スペースと言うことにします。

この夏、Gmailは統合型のレイアウトに

本題に入る前に、この夏、Gmailは統合型のレイアウト変わったことを取り上げておきます[1]。この変更により、主にプライベートの会話のやり取りを行うChat、主に組織上で継続した話題のやり取りを行うSpaces、オンライン会議用のMeetのスケジュールが、Gmailを一度開けばすばやく確認できるようになりました。これはGoogle Workspaceにおけるハイブリッドな勤務形態での課題への対処の一環として行われています。

図1 Gmailは統合型のレイアウトになり、画面左側にコミュニケーションツールのアイコンが並ぶようになった
図1

さらにGmailにおける検索結果の画面で、チャットやスペースの投稿、スペースの名前を検索対象にしてその結果を見られるようにリンク(ボタン)が追加されました。逆にChatやSpacesにおける検索結果の画面でも、メールの検索結果を見られるようにリンクが追加されました。このように、Gmailとコミュニケーションツールの連携が強化される方向で開発が進められています。

図2 Gmailの検索結果から、チャットとスペースの投稿、スペースの名前の検索に移行できる
図2

これまでのChatとSpaces

これまでのChatとSpacesのについて軽く触れておきます。

Chatはテキストを主体としてコミュニケーションを取るためのツールです。以前Googleのコミュニケーションツールとして主力だったHangoutsを置き換える目的で開発されました[2]。Chatは独立したツールであり、Gmail内でチャットを表示するだけでなくChatのページを開くことができます。

Spacesは、もともとChat上で組織上でオープンなやり取りするのを主な目的に「チャットルーム」の機能として作られていたものです。その後、Gmailとの連携を深めるにあたって、チャットルームはスペースと改名されました。またChatと並列に扱うためにSpacesと名乗るようになりましたが、現在もスペースはChatの一機能です。そのため単独のSpacesのページというのはありません。

なお今回はChatとSpacesの基本的な使い方を取り上げません。実際の利用方法などを知りたい人は、以下の公式のヘルプなどを参照してください。

スペースは現状スレッドのないデフォルトのものを使うべきか

ここでSpacesに着目します。Spacesでデフォルト設定のままスペースを新規作成してそのスペースで投稿すると、画面下部に随時追加されていきます。

図3 デフォルト設定で作成したスペース
図3

スペースを新規作成する際に「スレッド返信を使用する」を有効にすると[3]、そのスペースでは、スレッド返信ができる投稿(いわゆるスレッド)が画面下部に随時追加されます。スレッドでは返信の投稿を書き込むことができるわけです。

図4 「スレッド返信を使用する」を有効にしたスペース
図4

デフォルト設定のままのスペースでも、各投稿に対して返信が付けられると便利なのですが、現在一般的にはそれができません[4]。そのため他社の類似サービスと比べてしまうと使いにくいかもしれません。

よって用途によっては、スレッド返信ができるスペースのほうが使いやすい状況です。とは言ってもスレッド返信ができるスペースは、そのスペース上でスレッドを探す手段が物足りないように感じます(ブラウザ上でスクロールするか、検索するかになります⁠⁠。

Gmailと統合されてSpacesが表示しやすくなったことは確かなのですが、このあたりが改善されることを期待したいです。

スレッド形式のスペースを便利に使うための拡張機能

そこで今回、スレッド返信ができるスペースにおいて、前項で挙げたスレッドの探しやすさを改善できないかを含めてパソコン上でより便利に使えないかと、Chromeの拡張機能を探してみました[5]。ここではGmailの統合型のレイアウト上のSpacesを表示した時に使いたかったのでそれを踏まえて紹介します。

スレッドを一覧表示できる「Thread Master」

スレッドの探しやすさを改善するための拡張機能がThread Masterです。インストールしてスレッド返信ができるスペースを開くと、便利さにすぐ気づくはずです。

Thread Masterを導入することで、画面右側に各スレッドのリンク(ボタン)が一覧表示されるようにます。このリンクの名前には、各スレッドの冒頭の文字列が利用されます。このリンクをクリックすることで各スレッドに移動できます。

図5 各スレッドの冒頭文字列がリンクの名前となり、画面右側でそのリンクがー覧できる
図5

このリンクの名前(タイトル)は各スレッドの上部にも表示され、そこで名前を編集できます。編集すると右側のリンクの名前にも自動的に反映されます。つまり、自分用にあとからスレッドの名前を調整できるわけです。ただ、あとからリンクの名前を修正するのは面倒ですので、新規スレッドの1行目はタイトルを書くようにしたほうが良いでしょう。

またThread Masterでは、関心のないスレッドはこの名前を除いて、スレッドを隠すことも可能です。

図6 各リンクの名前はスレッドの上部にも記載され、ここで編集できる
図6

なお、似たような拡張機能にGoogle Chat Thread Switcherもありました。この拡張機能を使うと、スレッドの冒頭の文字列の一覧が、画面右上の選択ボックス内に表示されます。

各スレッドのURLをコピーするための「Google Chat thread links & quote reply」

Thread Masterだけでも便利な拡張機能なのですが、もう一つほしい機能として、何かの機会にスレッドを提示するためにスレッドのURLをコピーする手段です。そこで目についたのがGoogle Chat thread links & quote replyです。

Google Chat thread links & quote replyを導入することで、各スレッド右上にそのスレッドのURLをコピーするボタンを表示します。また各投稿には引用ボタンを加わります。この引用ボタンを押すと、そのスレッドの返信欄にその投稿をコードブロックとして貼り付けられ、カーソルもフォーカスされます。

しかし現在、Gmail/Chatの表示言語を英語以外に設定していると、各スレッドのURLをコピーできるボタンが表示されません。また、コピーされるURLがChatのページ上でのURLであるため、Gmailの統合型のレイアウトでSpacesを使う場合に不便です。

そこでこの拡張機能のソースコードを手直しして、上記の問題を解決したものをzipファイルで用意してみました。インストール手段は次のとおりです。

  1. zipファイルをダウンロードして解凍する。
  2. Chromeの拡張機能ページを開いて、右上のデベロッパーモードを有効にする。
  3. 拡張機能ページ画面上部に「パッケージされてない拡張機能を取り込む」が表示されるので選択し、解凍後のディレクトリを選択する。

これにより期待した機能になります。つまり表示言語が日本語においてスレッドURLのコピーができるようになり、そのURLがGmail上のSpaces画面のものになるはずです。

図7 スレッド右上に、スレッドのURLをコピーできるボタンが付いた
図7

おわりに

この記事ではGoogle SpacesのChrome拡張機能を主に取り上げました。ただ、紹介したわりにはまだSpacesに慣れていません。徐々にSpacesの機能が強化されるのに期待して、記事を結びたいと思います。

おすすめ記事

記事・ニュース一覧