明後日のコンピューティングを知ろう ~Internet Forecast Report

第19回街が放つ電波

普段、私たちはさまざまな電波を使って情報のやりとりをしています。地上波のデジタル放送を例として挙げると、470MHzから710MHzの周波数の電波を使用して映像伝送をしています。電波の周波数を気にしながら使っている方は世の中にほとんど存在していないとは思いますが、電波の世界も1つの工夫で見える化ができます。図1は、RTL-SDRというUSB接続のデバイス(ドングル)を通じて受信した電波を1MHz単位でそのdB値をグラフ化したものです。この調査方法は、もともとは筆者が大規模災害の際に情報インフラの被災状況を把握するために編み出したものですが短時間で周辺の状況を得ることができます。都市における日常的な情報流通の概略も把握できます。

図1 東京駅前におけるrtl_powerの測定結果(1MHz区切りでの受信)
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移動体通信では、5Gへの移行などを含めた高度化により、700MHzから29GHzまでの広範囲な電波が利用されています。一般論として700MHzなどの周波数帯は広範囲によく届き、Sub6と呼ばれる6GHz未満の周波数帯は局所的な通信に用いられると言われています。筆者は日常的な移動中に周波数帯を計測していますが、その結果によれば移動体通信に割り当てられている電波は、その周波数帯の特徴に合わせて適切に使い分けられていることがわかります図2⁠。日本国内において、4Gは1から42のバンドで示される周波数帯が、5Gではn77からn79、n257のバンドで示される周波数帯がモバイル通信事業者により使われています。

国土交通省離島振興対策分科会の資料によれば、日本の有人島は416あり、無人島は6,432あると言われています。過去の総務省の資料を紐解くと、携帯電話の人口カバー率はすでに99.97%を超えており、海洋を含む日本の国土のほとんどを包む巨大な情報インフラとなりました。

20世紀はインターネットや移動体通信網の通信障害が大きな社会問題となるほどの普及率ではありませんでしたが、すでに空気と同じように存在しているスマホ環境については、安定性についての社会的要請も、やや強めになったと筆者も感じています(大変な時代になりました……)

図2 日常的な移動中に計測した移動体通信網で使われているバンドおよび周波数の把握
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