この記事では、最近注目を集めているMastodon
注目されるMastodon
イーロン・
そのようななか、特定の人物の影響力が強すぎるプラットフォームを嫌って、また今後のTwitterを不安視して、他のSNSに興味を持ち始めるTwitterユーザーも現れ始めています。インターネットには様々なSNSがありますがその中でも、Twitterのようなレイアウト
今回の出来事の初期に、Mastodonに興味を持ち始めたのは欧米のTwitterユーザーが中心でした。ただ日本国内でもTwitter改革のニュースが取り上げられる度に、Mastodonや他のSNSへ興味を持つ人が増えているようで、国内のMastodonサーバーへの登録も今月は増えています。Mastodon関連のネットワーク全体で見ると、Twitter買収劇の1週間後にはのアクティブユーザー数が100万増え、20日には11月のアクティブユーザー数が200万を超えたことが報告されています。また、Mastodonのサーバーも大きく数を増やしています。
もちろんTwitterの巨大なユーザー数と比べればこれらの数字は微々たるものですが、オープンソースプロジェクトがMastodonのサーバーを建てたり、既存のMastodonサーバーに企業がアカウントが作成されることを見かけるようになりました[1]。直近では、Mastodonのプロトコルとして採用されているActivityPubに、Tumblrが追加の対応を表明したことや、Flickrが対応の是非について意見を聞いていることが話題になっています。
以下に、Mastodonの新規ユーザー数の推移についてわかりやすいグラフを見かけたので紹介しておきます。なお現在の月間アクティブユーザー数は、Mastodon公式サイトの集計によると253万
MastodonはFediverseの一部に過ぎない
前項で述べたとおり、Mastodonは分権組織型のSNSです。そのあたりについて説明しておきます。
Mastodonのプログラムはオープンソースとして公開されており、Mastodonを動かしているサーバーは現在7000以上あります。そしてMastodonでは、Mastodonサーバー間のユーザーの投稿や会話等のやり取りのために、ActivityPubというプロトコルを採用しています。このActivityPubもオープンな仕様です[2]。そのためMastodon以外のActivityPubを採用しているSNS等とも相互につながれます[3]。またActivityPubを採用したSNSも多くはオープンソースでそのプログラムを公開しています。よってそれらのサーバーもいくつも建てられています。
つまり、ActivityPubを採用しているサーバーは基本的にすべてつながることが可能なわけです。またActivityPubはプロトコルでしかないため、それぞれのサーバーは独自のルールを作って自治を行うことが可能です。自分たちで新たにサーバーを建てるのも自由ですし、自分たちのサーバーのルールと相反するサーバーとは距離を置くこともできます。
このネットワークのつながりは、各サーバーを星々に見立てそれらが宇宙の構造のように連合している様相からFediverse
FediverseのアカウントはユーザーIDとドメインがくっついた@user@example.
Fediverseにある他のサーバーとつながるかどうかは各サーバーにゆだねられているため、Fediverse内に流れる投稿等をすべて俯瞰することは現実的に不可能です。つまりサーバーが把握している範囲でしかFediverseを見渡せません。もしサーバーの外の観測範囲を増やすためには、他のサーバーの情報をサーバーが取得するよう設定するか
では、サーバーのルールの違反者への処理、いわゆるアカウントの凍結やシャドウバン
Fediverseには数多くのSNSがある
Fediverseには様々なタイプのSNSがあります。Mastodonと同じマイクロブログプラットフォームでありますが機能がより多岐にわたりデザインがよりポップなMisskey
- マイクロブログ:Mastodon, Misskey, Pleroma, GNU social, GoToSocial, Takahē, honk
- ブログ:Plume, WriteFreely
- 写真画像共有:Pixelfed
- 動画共有:PeerTube
- 音楽共有:Funkwhale
- リンク共有:Lemmy
このほかたくさんのFediverseを構成できるSNSがあります。詳しくはFediverse.
次に、マイクロブログ型のSNSに注目してみましょう。TwitterとMastodon、日本のユーザーの多いMisskeyを取り上げて主な機能を比較したのが次の表です。
Mastodon | Misskey | ||
---|---|---|---|
タイムライン | ホーム |
ホーム/ |
ホーム/ |
公開範囲 | 公開/ |
公開/ |
パブリック/ |
返信できるアカウント | 全員/ |
- (ただし公開範囲によって投稿の見える範囲を指定できる) | - (ただし公開範囲によって投稿の見える範囲を指定できる) |
返信の非表示 | ○ | ○(会話をミュート) | ○(スレッドをミュート) |
投稿の名称 | ツイート | 投稿 |
ノート |
一つの投稿の文字数 | 280字 |
500字 | 3000字 |
再投稿 |
リツイート | ブースト |
リノート |
引用投稿の名称 | 引用リツイート | - | 引用リノート |
投稿内の絵文字 | ○ | ○(登録されているカスタム絵文字も使用可能) | ○(登録されているカスタム絵文字も使用可能) |
認証バッジ | △(Twitterが認証。Blueで提供予定) | ○(外部サイトの所有権をリンクで示す) | - |
リアクションの名称 | いいね |
お気に入り |
リアクション |
ブックマークの名称 | ブックマーク | ブックマーク | お気に入り |
投稿の |
△(Blueで提供) | ○(4. |
- |
投稿を |
- | ○(名称は |
○ |
リスト | ○ | ○(フォローしている必要がある) | ○ |
検索 | サービス内で検索可能 | サービス内で検索できない |
サービス内で検索可能 |
投稿のピン留め | ○(1つの投稿のみ) | ○(4つの投稿) | ○ |
コンテンツの警告 | - | ○ | ○ |
画像の閲覧注意 | △(アカウントに対してしか設定できない) | ○(個別の画像に対して設定できる) | ○(個別の画像に対して設定できる) |
MastodonとMisskeyは両方ともFediverseに属するSNSですが、それぞれの機能が異なることが見て取れます。ActivityPubで相互接続されるわけですが、SNSとしてのデザインがそれぞれ異なっているわけです。しかし同じ種類のSNSの場合、ある程度の互換性が維持されるように開発されていることが多いようです。たとえば、リアクションに絵文字を使える機能はMastodonにありませんが、Mastodonユーザーのある投稿に対してMisskey側で絵文字を使ったリアクションした場合には、Mastodon側で通常のお気に入り
なお、前項で言及したとおりFediverseのSNSプログラムはオープンソースで公開されていることが多いため、同じSNSのプログラムを使っているように見えてもそのサーバーごとに独自の改造が加えられていることもあります。そういった独自の機能はそのサーバーのために提供されているわけですが、他のサーバーとうまく配慮されるように開発されていることが多いです。たとえば、Mastodonにおける一つの投稿は最大500字が標準ですが、最大3000字まで書けるようにしているサーバーもあります。Mastodonの標準機能としてコンテンツの警告を使って長文を隠すことができますし、タイムラインを流れる投稿が見た目上33行以上だと
機能面を見てきましたが、単純にユーザーインターフェースや配色の好みもあるでしょう。MastodonもMisskeyもログイン後のユーザーインターフェースとして、Twitter風のWebUIとTweetdeck風のWebUIの2種類のモードをそれぞれ持っています。また、Mastodonのテーマは標準ではライト、ダーク、ハイコントラストの3種類しか持っていませんが、Misskeyのテーマはが標準で様々なものがあり、カスタマイズ手段も用意されています。
改めてMastodonとは ——Twitterとの方向性の違い——
話をMastodonに戻しましょう。Mastodonの基本の使い方は公式のドキュメント
MastodonがSNSとしてどのように設計されているかについて、もうすこし触れておきます。Mastodonの設計についてはMastodon公式ブログの初期の
2023年9月28日追記
Mastodonユーザーの増加と要望を受けて、2023年9月にリリースされたMastodon 4.
また、Twitterでは今後有料サービスであるBlueのサブスクリプション購入することで本人の認証ができるようにしようとしていますが、Mastodonではアカウントの本人認証というものはありません。しかしながらMastodonでは自分のアカウントの所有権を示すために、最善策として自分の既存のドメイン上でMastodonサーバーを建ててアカウントを作ること、次善策として自分のサイトにアカウント情報を記載した上で、Mastodonのプロフィールにアカウント情報を記載したページのリンクを記載することで、そのリンクに所有マークを入れる方法を持っています。次善策の方法であれば余計な費用はかかりません。
Mastodonでは他のユーザーの投稿の検索が基本的にできないため、自分と同じ趣味や興味を持っているユーザーの発見能力がTwitterに比べて弱いです。この点についてMastodonでは地道に試行錯誤や改善が続けられており、先日リリースされたバージョン4.
他のユーザーの発見能力という意味合いでは、Mastodonにはローカルタイムラインや連合タイムラインという、現在サーバーを流れる投稿を眺められるタイムラインを持っていますので、ここから関心のあるユーザーを探すこともできます。ただしサーバーのルールを守っている投稿は何でも流れているため自分にとって玉石混淆に見えるかもしれません。そのため、ブロックやミュートという機能もきちんと整備されていて、ミュートではミュートする時間まで設定できるようになっています。
そのほか、外部サービスのfediverse.
なお、日本語圏のMastodonを含むFediverseでは、企業や公共機関などのアカウントが現在ほとんどありません。そのため現代のTwitterの特徴の一つである情報取得ツールの代替としては使えないでしょう。この点が現在のところTwitterと決定的に異なっています。よって情報を取得したいという人にとってはMastodonは使いにくいものに映るかもしれません。ただそれは使い方の問題とも言えます。またFediverse/
Mastodonサーバーについて最後に。記事冒頭で触れたとおり、企業や団体が管理しているサーバーは海外で少しずつ増えてきた印象ですが、現在多くのサーバーは個人が運用しているところが多いのも事実です。サーバーの維持にはお金がかかりますので、寄付を受け付けていたりしている場合もあります。興味のある人は確認してみるといいでしょう。
Fediverse/Mastodonへの参加はサーバーの選択から始まる
それではMastodonに参加してみましょう[8]。そう考えたとき、Mastodonのアカウントを作成することになるわけですが、数多くのMastodonサーバーの中からどのサーバーで登録するか、ということに悩むかもしれません。
大前提として、既存のサーバーに登録する方法と、サーバーを自分たちで建てる方法の2種類があることを覚えておいてください。今回サーバーを建てる話は取り上げませんが、アカウントの恒常的な維持や独立性を考えるのであれば、サーバーを建てることも十分な選択肢に入ってくるでしょう[9]。
では、既存サーバー上で登録する場合はどうするのがいいでしょうか。1つは、Mastodon公式サイトでいくつかのMastodonサーバーが紹介されているので[10]、そこから選択することです
公式サイトで紹介されているMastodonサーバーはごく一部です。そこで公式サイトではありませんが、数多くのサーバーが紹介されているMastodon instances (instances.
そのほか、登録を受け入れ中のサーバー管理者などは、サーバーを紹介する公開投稿を発信していることもあります。日本の場合それらの投稿には、ハッシュタグとして#サーバー紹介や#インスタンス紹介などが付いているものが多いです。ここからサーバーを探すのも良い手段でしょう[11]。また最近の出来事を受けて、Mastodonを使っているユーザーも各サーバーの特徴を紹介している記事も見かけますので、そういった記事を読むのも参考になるかもしれません[12]。
こうして気になったサーバーがあったら、そのサーバーのサイトにアクセスしてみましょう。そのサーバーのルールを確認できるほか、サーバー内を流れる公開投稿や管理者の公開投稿を見たり、サーバーに登録しているアクティブなユーザー
ユーザーの考えではなくサーバー側の考えもあります。そのためサーバーごとにルールが規定されています。また、大きくなりすぎたサーバーは登録受付を閉じて他のサーバーへの登録を促しているものもありますし[13]、小さいサーバーは友人たちのみを登録のみを許諾しているものもあります[14]。
……と色々とヒントを紹介してきましたが、はじめてMastodonなどのFediverseのサーバーに参加する場合は、そこまで深く考えなくてもいいかもしれません。なぜなら、アカウントの削除や引っ越し
なおMastodon公式アプリ
アカウントを登録したら、設定を確認したり投稿したりしてみましょう。筆者としては最初に、自分のプロフィール