Googleは、RISC-VをTier-1プラットフォームとする考えを、2022年12月に開催されたRISC-Vサミットで発表したとars TECHICAが報じています。
Google announces official Android support for RISC-V | Ars Technica
2022年のGoogle I/
ただ、すぐさまAndroidが動くわけではなく、実現のためには多くの過程があり、これをこなすために数年はかかると概説されました。ロードマップでは、2023年の第1四半期中にARTのサポートを開始すると示されているので、実現は意外にも近い未来の可能性はあります。
2022年10月のニュースですが、RISC-VでリードするAlibaba CloudがRISC-VでAOSPをコンパイルすることを目的としたパッチ群をAOSPに提出して、これが承認されてリポジトリへマージされたと、RISC-Vの公式ブログで取り上げています。
このブログで、今後数ヵ月以内にART、カーネル、エミュレーターなどのモジュールに関わるパッチを提出する予定としています。これは、先でGoogleが提示したロードマップともリンクし、密な協力体制がとられていることがわかります。
Alibabaは、2021年に同社が所有するT-Head SemiconductorがAndroid 10をRISC-Vプロセッサー
GitHub - T-head-Semi/
ARMを取り巻く環境が追い風に
Android 10が移植されたニュースを知った時点では、RISC-Vへの移行は懐疑的でした。MIPSのように、複数の半導体メーカが採用してCPUを開発・
1つはNVIDAの買収話です。これには多く人が眉間にシワを寄せましたが、結果、規制当局によって停止になりました。これが頓挫すると、ARMの最大顧客であるQualcommをライセンス契約違反と商標権侵害で提訴しています。
これは、2021年にQualcommが14億ドルで買収したNuviaが持つ技術をめぐり、双方が各種条件に合意ができなかったためです。Nuviaのチップは、Apple M1/
アプリ開発が必要になること
SoCがRISC-Vに変わったとして、アプリ開発者は何をする必要があるでしょうか。結論から書けば何もする必要がありません。
Androidアプリは、Javaで書かれており中間コードが配布されており、これをARTが解釈して実行します。実行には中間コードをネイティブコードにコンパイルする処理が加わるので、ネイティブコードを実行する方法と比較すると速度面で不利ですが、AOTやJITを組み合わせることで、速度面で不利にならない工夫がされています。
この仕組みがRISC-Vへの移行で有利に働きます。
単純な話、RISC-VでARTが動けば、アプリはSoCの違いを意識する必要がないというわけです。アプリにネイティブコードを組み込んでいる場合は、それの書き直しが必要になりますがコレだけです。Androidの黎明期にはMIPS、最近までx86でも動作していたことがあるので、RISC-Vへの移行が起こるとしても比較的スムースに行われるはずです。
ARTは、搭載SoCがARMに限られる現状ではメリットを感じられませんが、プラットホームの多様性のためでなく、維持のために活用されるのは意外な印象です。
今週は、このあたりで、また来週。